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第五十二話 捕まったのか?この世は理不尽だ!?

 捕まった後、連れて行かれたのは”おさ”とか言う奴のところだった。

 どうやらそいつはここらでは偉いやつらしい。なんか捕まるとお偉いさんに突き出されるというジンクスが出来てきたきがする。

 まだ二回だ、さすがにジンクスとは言えないから大丈夫だ、と、自分に言い聞かせていると、”長”の所に着いた。

 長の部屋にはさっき俺たちを捕まえに来た奴らもいる。そして部屋の奥には一人の老人が座っていた。

 

「ようこそ、とでも言えばいいかな?」

 

 座っている老人が言った。確実にコイツが長だろう。

 

「いや、言わなくてもいい、俺たちはあんたらにとって侵入者みたいなモンだ。自分で来たくて来たわけじゃないが、あんたらには関係ない。そうだろ?」

 

「まあ、最近の若いのは血気盛んじゃがのう。わしは違うよ、老いぼれだから暴れることもできんしな。では、そちらの事情を訊こうかの。」

 

「まあ、簡単に言うと、知り合いの転移できる魔法の実験の被験者にされてな、

 ちょっとそこに出るはずだったんだが、失敗したみたいで、ここに来たってわけだ。」

 

 もちろん嘘を吐く。誰が見ず知らずの奴に世界の意思だの異世界だのを話されて信じるものか。

 

「ふむ…そうか…で、お前さん方はこれからどうする気じゃ?」

 

 長が訊いて来るが、答えは一つしかないだろう。

 

「帰る。」

 

「だろうな。だが、報告によれば、お前さんは能力持ちだそうじゃないか。黒い小屋を突然出したとか。」

 

 げ、あれ見られてたのか…なるほど。わざわざ押しかけてくるわけだ。

 

「で?それがどうしたんだ?」

 

「お前さん方には頼みたいことがある。信頼しているかどうかは微妙なところだが、緊急事態なのだ。だからお前さん方にも頼む。」

 

 老人は少し間を空けた。

 

「ここに迫ってきている、巨大な”怪物”を撃退、もしくは討伐してもらいたい。」

 

「…”怪物”?」

 

 そんなことできるか!

 

「そんなことでき」

「言っておくが、これに参加しない場合、お前さん方は牢に入れる事となる。曲がりなりにも、お前さん方は”侵入者”なのだからな。」

 

 うわ~詰んだよこれ。現実逃避してないとやってらんないね!

 

「羊がいっぴ」

「で、どうするのじゃ?」

 

 現実逃避すら許されない。世の中は非常である。

 

「…わかったよ、行きゃいいんだろ行きゃあ…」

 

「よし、なら決まりだな。行って来い。さあ!」

 

 …は?

 

「え?今から?」

 

「今でなくていつ行くんじゃ!さあ!」

 

 ………

 

「まじかよおおおおおおおおおお!!!」

 

 俺は叫んだ。この世の理不尽さに。

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