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第五百十六話 何かが弾けた?こんな時でも平常運転!?

 その瞬間、理解できたのは腕に強い力がかかったことだけだった。

 その直後に力がかかった場所に津瑠が居たことを知る。

 その次の瞬間には津瑠に引っ張られたことを知る。

 そしてその横には迫ってくる魔物が…


「津…!」


 手を伸ばすが、俺の体は後ろに引っ張られていく。

 魔物は勢いを殺さぬまま津瑠に衝突する。

 津瑠は倒れ、魔物は少し跳ね返り更に進む。

 見えた魔物を良く見ると、先ほど檻に入れて無力化した鳥のような魔物だった。

 視界の端に映った檻は大きく歪み、檻としての役目を果たせない状態になっている。

 どうやらあの魔物の次の標的は俺らしく、進路を俺に向け始めた。鳥魔物の勢いはどんどん増していく。

 横に跳び避けようとしたが、滑って地面に耳を打ち付けてしまった。

 さすがに鳥魔物も滑ることを予測していなかったらしく、速度をそのままに俺の上を通り過ぎていった。

 まずい。あの速度じゃ起き上がってからはもちろん、転がっても回避できない。

 覚悟を決めて衝撃に備えようとした俺は、鳥魔物の動きを見る。

 するとどう言うことか、鳥魔物は進路を逸らし始めていることに気付いた。

 よし、さっさと津瑠を連れて……!アイツ、津瑠を狙ってるのか!?


「津瑠!避けろ!!」


 呼びかけても起きない。

 動かないのか動けないのかは分からないが、このままでは津瑠が…

 津瑠に迫る鳥魔物を再度見る。

 あの距離と速度では能力は間に合わない、助けに入ることどころか、かばう事すらできない。

 一瞬見えた鳥魔物の表情が、俺たち2人を嘲笑っているかのように見える。


『本当に惨めだな。』


『悔しく無いのか?』


『なんて女々しい男だ。』


 幻聴だ。あの鳥がこんな一瞬でテレパシーなんて使うわけが…


『お前は人一人、守れやしないのか?』


 ………


 バチッ


 何かが弾けたような音が、鮮明に聞こえた。

 気付けば俺は倒れた津瑠の前に居て、鳥魔物のくちばしを握りつぶさんばかりの強さで持っていた。


「……!………!!」


 くちばしをつかまれた鳥は、俺の手から逃れようと必死にもがいている。

 今何が起きたかなんて俺にも分からない。

 ただ、憎いつらしたこの鳥に制裁が下せるならそれで充分だ。


「…ぶっ飛べ。」


 鳥魔物の望みどおりに手を離し、解放したところをサッカーボールのように蹴り上げた。

 鳥魔物の姿は一瞬にして見えなくなり、落ちてくることは無かった。







「今、なんか飛んで行かなかった?」


「え?気のせいじゃない?」


「いや、確かに何かが…」


「私もそう思う。」


「…お仕事モードは私と被る。主に口調と雰囲気が。」


「それはゴメンね!」


 数人なにやら騒ぎ出すが、こういう時に何かの前兆かとか心配しても心労が無駄にたまって終わるだけだ。

 それを知っている俺は慌てないし気にしない。


「随分と冷静だな。」


「今そんなことで騒いでどうする。ってか、お前には見えたのか?」


「見えた?何がだ?」


「お前も知らないんだろ…」


 平常運転の俊太に呆れつつ、歩を進めていく。


「…る!……つ…!!」


「ん?この声は…」


 森の中から聞き覚えのある声がする。

 アイツら砂浜に居るはずじゃないのか?


「向こうね。」


「どうやらココまで来てたみたいだけど…早くなって助かるわ。2つの意味で。」


 2つの意味はお察しだ。

 とりあえず、生死の心配は必要無さそうだ。死にながら声を出すなんて芸当ができるわけが無い。


「さて、皆。

 とうとうこの時が来たな…突撃!」


 俊太の掛け声を合図に走り出した皆。俺もそれに付いて行く。


「津瑠!津瑠!起きろよ、なんか言えよ!どうせ寝たフリ…なんだろ…?」


 …これは深刻な事態かもしれない。


「皆急ぐぞ、ふざけてる場合じゃない!」


 寝たフリ、徐々に小さくなっていく気配。

 何が起きているのかはこの2つの事柄が証明している。最早見なくても明白だ。


「津瑠!ま…!」


 2つの人影が見えたので、確認もかねて声を掛ける。

 居たのは確かに捜していた二人に違いない、が…何かがおかしい。


「………」


 守は目を瞑り、津瑠に手を押し当てている。

 押し当てられた守の手は光り、光はまるで津瑠の輪郭という輪郭からにじみ出ている。

 その光は“神々しい”という言葉がふさわしい。

 あれは魔法か?だとしてもあんな演出をわざわざつける必要も…誰も見ていないのに。


「あれは魔法なんて物じゃない、まるで…

 …だとしても一体どうやって…」


「ギーナ、そんなことより津瑠の様子が…!」


 津瑠はゆっくりと目を開け始めた。

 気配を調べると元に…いや、それ以上になっている。

 守…お前は一体何をしたんだ?

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