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第五百十四話 解けない封印?それは子供だからか!?

「nzaeobrtitoeea?」


「何故…船から放りだされたから?」


 俺の着替えも終わり、“2人”の話し合いが始まった。

 相変わらず津瑠が通訳をさぼっているため、俺は何も出来ない。


「srmoeoargua…

 nzaeknoosmianiktia?」


「あ、そっち?それなら守君に…あ!ゴメン、通訳忘れてた!」


「別に良い。」


 俺が会話に参加できなくなるだけだから。


「この島に来た目的について、詳しく説明してあげて。」


「ああ、俺の友達にこの島出身の獣人が居てな。

 そいつを帰すために来たんだ。」


「suieboa、omeraatoissyonijznuinmoitnaa…

 srdoee、itouiknoosmianitituawkaedgaa…krkroeaadusrouukida?」


「これからどうするかだって。」


「まずは全員合流だろうな。

 はぐれたままじゃ危険だ。」


 主に戦闘力的な意味で。

 戦闘能力皆無の俺と、元々戦えない津瑠しか居ない。

 この状況は非常にまずいと言える。魔物に出くわしでもしたらひとたまりも無い。


「sukoa…

 nraa、knooueniaruskaawonbttooeiktiiuo。

 snooskainiarumroiwonkrbueea、sguumtainitkuu。」


「分かった、ありがとう。

 …もし出来ればでいいんだけど…町まで着いてきてくれない?」


 もし津瑠の頼みが通れば、シャチ野郎の戦闘能力によっては安全に合流する事ができるだろう。


「ttliu。

 wrinaua、yuznbuoinonhiaiiomidoeganlndeenna。」


「分かった。

 事情がありそうだし、無理にとは言わないよ。」


 …断られたっぽいな。

 こうなったらひたすら魔物と会わないように祈り続けるしかない。

 でも、そんな感じの祈りは天に通じた試しが無いんだよな…







「守君!もっと速く走って!」


「無茶言うな!

 これでも全力なんだよ!」


 俺の先を走る津瑠が無茶振りをしてくる。

 腕力だけでなく足も津瑠に負けたことにショックを受けなかったわけではないが、今はそれどころじゃない。

 シャチ野郎に言われたとおりの道を進み、森の中をさまよっていたら案の定魔物と遭遇してしまった。

 幸い動きが鈍い魔物らしく、俺でも全力ならなんとか逃げられるようだ。


「何か無いの!?魔物を追い払える手段とか!!」


「思いついたらとっくに試してるに決まってるだろ!」


 魔力が無くなってしまった俺の頭脳は、俺になんの解決策も与えてくれない。


「じゃあ、私が思いついたのをいくらか言うけど良い!?」


「解決策なら大歓迎だ!じゃんじゃん言ってくれ!!」


「前にみ…なんとかドラゴンって言うのを封印してたよね!?」


「ミラーアイズセイントドラゴンだ!

 って、その手があったか!」


 ドラゴンを封印したカードは持ってきている。

 こいつを使えば…


「出てこい!ミラーアイズセイントドラゴン!!」


 カードを取り出し、走りながら上に掲げて叫ぶ。


「………」


「……何も…起きない?」


 いくら待っても、封印されたドラゴンが出てくる気配は無い。


「どうした!早く出て来い!」


「守君!そんなことしてる余裕は無いよ!」


 理由は分からないが、ドラゴンは出てこない。

 納得しきれないが現状が現状なのでそう割り切る。詳しく考えるのは後だ。


「次だけど、能力は使えないの!?」


「能力?」


 能力はノーコストで使えるということは知っている。

 しかし、今の俺には魔力が使えない。能力と魔力の関係が分からないため、使えるかどうかは分からないが…試すしかないか。

 魔物はちょうど俺の後ろを走っている。なら俺の後ろに障壁を出せれば…


「出来ないとは思うが、試してみるぞ!」


 現状の打開を祈りつつ、普段と同じように能力を使おうとした。







「こっちだよ~!」


 地元の人げ…獣人がいると迷わなくて済んで良い。

 守と津瑠がいないことを知った俺達は、フラルとタカミに空からの捜索を依頼して獣人の島にある村へと行く事にした。

 2人が心配で、捜したい気持ちはあるのだが…どこに流されたか分からない以上捜しようが無い。未だに海を漂っていてもおかしくない。

 それに、ひょっとしたら地元の人間からこのあたりの海流などを聞けるかもしれない。

 そうすれば、2人が流された場所を推測することもできるはずだ。


「キャビが居て助かったね。」


「本当にそう思うわ。おかげで楽に早く進めるし。」


 どうもそのあたりは皆同じように思っているらしい。

 何においても、知っている人間がいると言うのは便利なものだ…


「ん?

 今の声、ひょっとしてキャビちゃんか?」


 前方から突然何者かの声がした。


「あれ?漁師のおじちゃん?」


「いつも言ってるけど、そのおじちゃんって言うのは止めてくれないかな?

 こう見えてもまだ三十代だからさ。」


 まだ…なのか?

 三十代にしても老けているように見える。実年齢ごまかしてないよな?


「キャビの知り合いか?」


「うん。

 このおじちゃんはいつもあたしに、とりたてで新鮮な魚をくれるんだよ!」


「キャビちゃんは魚が大好きだからな~、ついついあげちゃうんだよ。」


 魚が好きなのは猫の獣人だからなのか?

 同時に野菜が嫌いなのも。


「悪いけど、ちょっと一つ訊いて良い?」


「ああ、俺に答えられることなら何でも訊いちゃってくれ。」


「なら…この辺りの潮の流れは分かる?」


「潮の流れ…何か海の上で落としたりでもしたのかい?」


「ええ、ちょっと…」


「それなら、そこの砂浜かその反対側の砂浜に流れ着いてると思うけどな…

 誰かが拾って持って行かれる前に、急いだ方がいいよ?」


「教えてくれてありがとう。

 一つ頼みたいんだけど、その反対側の砂浜に連れて行ってくれない?」


「オーケーオーケー、どうせ暇だしそのくらい手伝うよ。」


 半分はキャビとさっきの道を戻り、もう半分は漁師と反対側の砂浜へと向かった。

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