第五百十二話 三角の何か?翻訳係仕事しろ!?
評価ありがとうございます!(超今更)
「…う…ゲホッゲホッ…」
咳き込んだ後、口の中にしょっぱい味が広がっている事に気付いた。
ぼんやりとする意識の中でゆっくりと立ち上がり、見回すと砂と海が見えた。
どうやら砂浜の上に倒れていたらしい。しかし、なんでこんなところに…
え~と、確かイカダが転覆して…何故か泳げず溺れかけて…海面から出てた三角の何かが近づいてきたところで完全に沈んで…
……え?三角の何か?
ちょっと待て、それってひょっとしなくても…
恐る恐る海を見る。
すると、海面の一部から三角の何かが突き出ていた。
「ぎゃああああああああああああああ!?
マジで出た!?やばいやばいやばい!!来るな来るなくんな止めろうわああああああああ!!」
………あ。
今更気付いた。今俺が居るのって陸じゃん。なんで陸で鮫なんて警戒しなきゃならんのだ。
はぁ…数秒前騒いでた俺がバカらしい。
と完全に安心していた時。
ザバァ
…ザバァ?ザマァじゃなくて?
あれ?なんかさっきの三角がゆっくりと浮上してくんだけど。最近のサメは空をも泳ぐってことか?
「止めろー!止めろー!!来るなー!!」
「……tltiu、skkkeautsktyttaueeaattennoi、snooiigskyuaao。」
「止めろー!もし来たらぶっと…ばす事は出来ないからえーと…えーと…ペンギン?」
海から上がってきたのはサメではなく、人のような何かだった。
そのペンギンをほうふつとさせる手こそ違うものの、他は全て人間のものだ。
「pngneninjneae!orehasytaida!!」
…ああ、怒っていることは分かる。
ただ、何を喋っているのかがさっぱり分からないので、何に対して抗議しているのかがわからない。
と思った瞬間、びしょ濡れになった半そでの服のそでから人間の腕が飛び出してきた。
ペンギンの翼と思っていたものは二の腕についていたひれのようなものだったらしい。ペンギンじゃなかったのか。
「何を怒ってるのかは知らんが、悪い。
悪気は無かったんだが…」
「助けた?私達を?」
津瑠居たのか!?
今の今まで気付かなかった。が、会話の流れがぶった切れそうなのでそれは外に出さないようにした。
「…tltiu、maamziuningstaaieyryauo。sudoa、omeraahaoregatsktauea。
skksiaiarkea?kitouhnykmhuonauaogakkniiaatdmoeoiunkoa?」
「そう、守…この人には翻訳魔法が効いてないから、あなたの言葉は分からないの。
通訳なら、翻訳魔法が効く私がする。それでいい?」
「tltiu、nnktnaoohadudmiioeo。ktbooagatuznnrnuinaaa。」
「言葉が通じるなら良いって。」
「snnktonaooyroi、ssstaaohndionainihirzauo。
omeraahanzaeobrtitoeea?」
「ここに来る前に、魔物とぶつかりかけて船が転覆しちゃって…
それで、船から投げ出されちゃったんだ。」
「huo、sitouhasinnaandttnaaa。」
「まあ、なんとか守君の手をつかめたから離れずに済んだけどね。」
「…obrtittkoeeaoikraazttkuoa。iyuonasyunnuenwoknzrnaniua。」
「絶対に守君は守るって、決めてたから。」
「ttliu、sukoa。」
「ところで、その舌打ちは癖?」
「ttliu、snnonatkroooda。
bteuniomeraanitistaiestrieuwkaejanーkreaaknsnniiuna。」
「ならいいけど…止めた方が良いんじゃないかな~?
ただでさえ喋り方もそうなのに、余計に感じ悪くなっちゃうよ?」
「tltiu、ursluee。
sybrktaeiaahamtmtoooo、stutiaihaksuenndana。sktnidriaaaao。」
「そう。
守君のことじゃないから別に良いけど。」
…今の会話、着いていけない人ー。
俺の頭の中では上がった手の数が千を越えているが、一般人が聞いても翻訳魔法のおかげで分かるのだろう。
通訳を申し出た津瑠は会話に集中して翻訳してくれないし、他に日本人がこの場に居るわけでもない。
つまり、俺は暇。
翻訳係が仕事を放棄したため、会話に参加することはおろかその内容すら知ることすら出来ない。
こうしてボケッと海を見て、暇だ暇だと思うことしか出来ないのだ。ハハッ、魔力が無いだけでこれだよ。
「へくしっ!」
くしゃみが出る。
海に入ったため服はずぶ濡れになった。乾かすことすらできない。
そりゃ、そんな状態で野ざらしなんてされたら体は冷える。
あと、関係ないけど無駄に長い髪も水を含んでいるため頭が重い。
「…snmmooaadtaokzaehkniua。
imakraaornieeonianninasruu。titkiueo。」
「風邪引くかもしれないから家に案内するって。」
くるりと後ろを振り返った……命の恩人の背中を見ると、背びれのような三角の物体がくっついていた。
「さっきのサメお前かよ!」
「orehasmaejniaa。sytaida。」
「サメじゃなくてシャチだって。」
冷静なツッコミを受け、不完全燃焼のまま頭が冷えた俺はややふてくされながら津瑠とシャチ人間に付いて行った。
…やや体が温まってきた気がするのは、早くも風邪を引いてしまったからだろうか。




