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第五百六話 決定的な油断?期待の先には!?

字数ダイエット、今回は失敗したようです。

 誰かが近寄ってくる。

 寝ぼけながらも、それを察知した俺は夢の世界から強制的に脱出を強いられてしまった。

 こんな時間に誰だ?人がせっかく気持ちよく眠っていたというのに…

 というだらけた思考は、その者の敵意を察知したことにより吹き飛ばされた。

 少なくとも、俺の仲間ではない。こんな敵意を持っていたら、旅についてくることなど無いだろう。


「ねえ、聞こえてる?」


 一瞬起きているのがばれたのかと思い驚くが、表に出す事はない。

 ここは聞こえていないフリをして、あいつの攻撃に備えた方が危険は少ない。

 眠っていると勘違いしてくれた方が、油断もしてくれることだろう。


「へえ、あなたも創造神の欠片を…」


 …創造神の欠片?

 まさか、この前女神様に心の強化をされた時にでも…


「……まあ、どうでもいいわ。」


 しばらく沈黙が続く。

 …何してんだ?部屋から出て行く気配すら全く無いが…


「…これで良し。」


 な、なんだ!?

 体が、重い…力が、入らない…


「…狸寝入りが分からないとでも思った?」


 しまった、ばれていたか!他人に油断を誘っておいて、俺自身が油断するとは…

 だが、後悔しても既に遅い。

 俺の意識は徐々に遠のいていき、ついに暗闇に包まれた。







「……る……も…」


 声が聞こえる。

 体は重いまま。意識もぼんやりとしている。

 こころなしか、まぶたも重い。


「…まもる、守!」


 ゆっくりとまぶたを持ち上げ、起き上がろうと腕に力を込める。

 ……重い。が、なんとか起き上がれる。


「どうしたの?そんなにのんびりしちゃって。」


 タカミは相変わらず辛辣なことを…


「djbaiouu?」


 …!?

 なんだ今の!?何語だ!?


「ま、待ってくれ。

 ギーナ、今なんて言った?」


「e?

 djbttaiouue…」


「…何語だ!?」


「守?」


 ギーナの言葉が分からない。

 何を喋っているかどころか、何語かすらも…


「tkmaai、mmraounomrykaougaoksiai…」


「え?それ本当!?」


 …なんでこの2人は会話が成立してるんだ…


「守、今ギーナが言ってたんだけど、アンタの魔力がおかしいって。」


「魔力が?」


 なんでまたそんなことが…

 …心当たりなんて一つしかない。

 昨夜の謎の人物。そいつが俺の魔力をおかしくさせたに違いない。

 とはいえ、ギーナの言葉が分からなくなった理由が解決していない。

 タカミの言葉は分かるって事は、みんなの言葉が分からなくなったって訳でもないはずだ。


「なあ、実は俺…ギーナの言葉が分からなくなったらしいんだ。タカミは分かるのにな…」


「「え?ええええええええええええええええええええ!?」」


 叫び声だけは、2人とも分かるらしい。







 その後、緊急会議が行われた。

 相変わらずほとんどの言葉は分からなかったが、母さんと父さん、令音やタカミの言葉も分かるようだ。

 しかし、俺の言葉は皆に分かるようで、どうも先ほど上げた4人以外の言葉は俺からの一方通行らしい。


「…なるほど。そう言う可能性もあるか…」


 さっきからギーナが何かを話しているが、俺にはちんぷんかんぷんだ。言語的な意味で。


「…守、昨日の夜に誰かが入ってきたという話は本当だろうな。」


「ああ…って、嘘を付いてどうする。」


「それもそうだな。

 しかし、昨日の夜にお前の部屋を訪れた奴はいないらしい。

 どうやらお前の言うとおり、ここにいる誰かではないのは事実らしいな。」


 やっぱりこいつらじゃなかったか…

 昨夜の出来事と、今現に起きている事は会議の始めに言っている。

 それが無ければ話は始まらなかったしな。


「今ギーナが話していたのは、お前が何を聞いているのか分からなくなったことに対する考察だ。」


 おお、マジでか。

 それが分かれば、この会議で嫌と言うほど感じた不便さを二度と味わうことも無くなるかもしれない。希望が見えてきた。


「今の守は、普通全身に行き渡っている魔力が行き渡っていないという状態らしい。」


 …ん?その場合死ぬんじゃないのか?


「そんな状態なら普通は死んでいる。

 だが、何故かお前は生きている。それに関しては後で考えるとしてだ。

 翻訳魔法というのは、自分が発した言葉を相手の魔力によって、相手が分かる言語で翻訳する魔法だ。

 つまり、喋った相手に魔力が無ければ…翻訳魔法はその力を失う。元々知っている言語なら話は別らしいがな。

 その証拠に、言葉が分かるのは俺たち日本人。分からないのは異世界のやつらだろう?」


 ピタリと的中している。

 父さんも母さんも、令音も日本人だ。タカミは…なにかの手段で日本語を学んだ外国人かもしれないな。顔は日本人っぽいけどあれアバターだし。ハーフかもしれないし。

 言語が分からない、4人の他は全員異世界人…つまり、父さんの言ってることは…ギーナの推測は正しいかもしれない。

 それだけじゃない。

 ギーナの推測は、同時に力が入らないことにも説明がつく。

 人の身体能力は全身に行き渡る魔力の量にも左右される。

 それが全くと言っていいほど無くなったならば、当然身体能力は落ちる。


「すげえな…ここまで分かるなんて。

 じゃあ、ひょっとして魔力の戻し方も…!」


 俺の目には期待の色が出ているであろう。それは鏡が無くても分かるほどに。

 しかし、それを向けられたギーナは俯いて目を閉じ、首を横に振るだけだった。

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