表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
513/630

第四百九十二話 負の気配?そんなに叩いても!?

 リベルは数年前、王城の使用人として働いていた。

 彼は優秀(本人談)で、あらゆる仕事を全うできた(らしい)。

 ある日、彼は王様に食事を持っていくように言われた。

 言われたとおりに王様に食事を持って行ったリベルが見たのは、苦悩している王様だった。

 そんな王様を見て、リベルは考えた。愚痴を聞く要領で何について悩んでいるのかを聞けば、少しは王様の気が晴れるのではないかと。

 一通り話を聞いたリベルは、王様に一言、とある事を言う。

 それは本人にとっては相槌の延長線で、何の気も無く口に出た言葉だったのだが…それが解決の糸口になってしまった。

 その結果リベルは実力以上の期待を持たれ、急激に上昇した責任の重さによりストレスがたまっていった。

 そんなある日の事。

 真夜中に眠ろうとベッドに倒れこんだリベルの元に、フードを被った者が現れた。

 疲れがたまっていて何があったかという記憶は曖昧になっていたものの、力を与える、しもべ、創造、使役…など、一部の単語だけは鮮明に覚えていた。

 ゴーレムが創れるようになったことに気付き、使役させて仕事し始めるようになったのは翌日の事だった。

 …で、ゴーレムの使役始めてしばらくたったある日、事件は起きた。

 リベルは王様にある提案をした。

 それは、兵士の替わりに自分のゴーレムが城を守るということ。

 兵士を解雇する事で人件費は減り、世の中に使う金が増える…そう思ったリベルだったが。


『リベルよ。

 その案は却下させてもらう。』


 この時のことは、光景や王様の声色、自分の心情に至るまで、今でもはっきり覚えているという。

 その後、王様はなにやらリベルに話していたものの…提案が却下された事のショックが大きかったらしく、全く耳に届かなかったらしい。


「それから、俺は王に復讐することを決意した。

 今まで俺は王に仕え、王を支え、どんなに重い責任でも背負って見せたというのに…

 それなのに、俺は王からすれば集団の中の1人、エキストラ…そんな程度の認識だったと気付かされてな!!」


 身勝手だ。たった一つの提案を蹴られたくらいで、ちょっと仕事がきつかったくらいで、そう思う人もいるかもしれない。

 でも、リベルにとっては本当に一生懸命だったんだ。

 過去の話をしている時に見せた、本当に悔しそうで、本当に王様が憎そうで…そして、本当に辛そうな顔。

 それが全てを物語っている。苦しみも悲しみも。


「それだけじゃない…王も最低な奴だが、その周りの奴らはもっと最低な奴らだった!

 俺が居ないところで、ゴーレムの影しか踏めないだの、ゴーレムがいなければ何も出来ないだの!

 こっちはしっかりこの耳で聞いてんだよ!!」


 リベルが放つ負の気配がどんどん強くなっていく。これまでに感じた事の無いほど大きな負の感情だ。

 その気配は、彼がこれまでに味わってきた負の感情そのものを想起させた。


『早く気配察知を止めてください!』


 気配察知を止める?

 自然にしてきたから止め方が分からないんだけど…


『なら、リベルさんから離れて!』


 入り口はロボ…改め、ゴーレムに封鎖されているため、出口から出る事は出来ない。

 後ろは普通の壁。叩いてみても隠し扉が出てくるわけでもない。

 まだ出る可能性があるので、叩く、叩く、叩く…叩き続ける。


(…駄目、離れる場所も無いし。)


『あー……なら、耳を塞いで目を瞑ってください。少しはマシになるかと…

 あと、そんなに壁を叩いても何も出ませんよ?』


(マシ?

 マシって、さっきからあふれ出てくる破壊衝動の事?)


『もう手遅れでした!?』


 さっきから無性に物が壊したい気分になっている。

 まずはこの壁から壊そうかなと思ってるんだけど…そろそろ壊れると思うんだよね。ヒビも入ってるし。


『ストップストップ!そんなに物が壊したいなら、自分で創った障壁でも壊せば良いじゃないですか!』


(え~?でも、まずはこれから壊そうと思ってるし。)


『完全に手遅れですね…守さんもそろそろ壊れそうですし、早くなんとかしないと…』


 なんとかって、別に私は正常だけど?

 ちょっと何かを壊したいだけで。


『…今更ですが、一応言います。

 気配察知は索敵から心情の読み取りなど…幅が広くて便利な技能ですが、デメリットもあります。

 気配の様子から直接心情を深く読み取ってしまうので、自身の精神にも大きな影響を受けるのです。

 気配察知の対象の気分が明るければ明るくなりますし、暗ければ暗くなります。

 もし、それが強い怒りや復讐心だったら…それが今の貴女です。』


 へ~、まあ、どうでも良いけど。


『地下室が崩れて生き埋めになっても知りませんよ?』


(いや、その時はのしかかってくる土を壊せば良いだけだし。)


『完全に駄目ですね…これは。

 あ、そうそう。更に厄介なところは、自分が異常な状態になってることに気付きづらい事ですね。』


 あ、そう。


『…もう私の手に負えませんね。

 ごめんなさい、守さん…はっ!守さんは!?』


 守?さっきから心の中で閉じこもってるけど。


『…外界からの情報を完全にシャットアウトしてますね。無事で良かったです。』


 あ、無事だったんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ