第四十八話 異世界に行く理由?俺は仲間外れ!?
「なあ、守?」
「なんだ?」
説明が終わると、俊太が訊いて来た。
「お前が言ってた、もう一つの理由ってなんだ?」
そう、俊太達には異世界に行く理由が、二つある。
一つはさっき世界の意思が言った、俺の補佐。しかし、もう一つの理由は俺も聞いていなかった。
「なあ、俊太達のもう一つの理由って何だ?」
『それは、先に述べた四人は、”能力”が目覚めかけているからだ。能力をあの世界で目覚めさせたら、あの世界の意思になにをされるかわからないからな。』
「何!?」
「え!?」
「嘘!?」
「…信じられない…」
「嘘でしょ!?」
「本当に!?」
「この場にいる全員が驚いた。もちろん俺も例外ではない。」
「何言ってんの?」
おっと、口に出ていたか。
「じゃあ、俺と守の両親はなんでここに?その話を聞く限り、関係ないんじゃ?」
「太郎の言うことは最もだ。太郎と俺の親達を連れて行く意味がない。」
「だから何言ってんの?」
「口が滑っただけだから気にしなくてもいい。」
また口が滑った。まさかこの空間にはそんな特殊能力が…!
…あるわけないか。
『ああ、それは、佐藤太郎もまた、能力に目覚めかけているからな。守の両親は…』
「俺達は?」
わざわざ間を置く。いらんだろ、この間。
『高壁守、ギーナ、フォルフ、以外に戦闘の手解きを頼みたい。こちらの世界では、戦闘など日常茶飯事だからな。あと、能力が目覚め次第、そちらも訓練してくれ。』
「…え?俺たちは?俺たちはどうなんの?」
皆が訓練してる間、どうすんだよ俺?どうすんだよ俺!?
続く!…ってやかましいわ!
『まずギーナは戦闘訓練している者に魔法の訓練を、守は、他の者とは違う場所に行ってもらう。そして他の者が今行く、コンネ大陸のスタット村に向かってもらう。道中で修行するように。まあ、すぐに向かえば着くさ、君なら。フォルフは…そうだな。守に着いて行くと良い。』
…は?俺とフォルフだけ仲間外れ?
「コンネ大陸のスタット村って…!私達の村じゃない!」
「え?そうなの?」
じゃあ、皆はとりあえずギーナの村に行って、そこで訓練をするって事か。納得。
「って!?何で俺らだけ違う場所に!?」
『今更訓練を受けたところで、君はほぼ変わらんだろう。そっちの方が効率はよさそうだしな。フォルフは人間の武術は使えんし、技量もあるしな。』
「…話しても無駄だということは分かった。でも、最後に二つ、聞かせてくれ。」
『何かな?』
「なんでこいつらは能力に目覚めた?」
『それは恐らくだが、能力持ちの高壁守、ギーナ達の魔法のせいで、元々眠っていた能力が触発され、目覚めかけているのだろう。
まあ、元からそのメンバーは放って置いてもそのうち目覚めていただろう。』
「もう一つだ。俺の役割って何だ?」
『その時が来ればわかる。君は君が正しいと思ったことをすればいい。以上だ。あと、少なくとも守がスタット村に着き、訓練が終わらなければ、
いかなる手段を用いてもあの世界には帰れない。と、言っておこう。では、送るぞ。』
俺達は光に包まれ、何も見えなくなった。




