第四百八十五話 たちの悪い誤作動?ジト目が無ければ気付かない!?
少し呆けてしまった。
もしあのロボットに攻撃する意思があったら、その間に一発貰っていただろう。
ロボットは自分の正体を知られたことなど意に関せず、相変わらず棒立ちを続けたままだ。
「一言も喋らないのは不自然だと思っていましたが、まさか人工物だったとは…」
そう言えばコイツ、今まで一言も喋ってなかったな。
だがそれも、会話機能が付いていないロボットだと言うのなら納得はいく。
…障壁をあんなに避けられたのは納得できないが。
「…ねえ、このロボ…もしかして、私達に対して敵対意思は持って無いんじゃない?」
「え?なんでそうなるの?」
妙な仮説が聞こえてきたので、耳を傾ける。
敵対意識が無い?思いっきり通せんぼしたくせにか?
「さっき、コレがロボットだって分かった時…私達は無防備になったじゃない?」
「そう…だな。」
「もし敵対意識を持ってたら、その隙に攻撃でも仕掛けてくるんじゃないかって思ったんだけど…」
言われてみて気付いた。
このロボットはリセスに対してしつこく通せんぼしたこと以外、こちらに被害を及ぼすような事は何もしていない。
俺自身も思ったではないか。もし攻撃する意思があったら、と。
「なるほどな。
じゃあ、なんでリセスの邪魔をするんだろうな?」
となると、出てくるのがこの疑問だろう。
「リセスが通ると何かまずいとか?」
「そういうことだろうけど…
一体なにがまずいのか…」
ロボットにとってまずいこと…
…………壊されるくらいしか思いつかない。しょーりょー。
「…あのね。
ロボットを誰かが動かしてるって発想は無いの?」
「あ。」
「その発想は無かった。」
「じゃあ、次は誰が…」
「……」
「…なんだ俊太。急に黙って、あのロボの真似か?」
「次から次へと考える事が出てくる…
俺の性に合わねえ!ちゃっちゃと進む!」
「あ、俊太!」
俊太はロボが通せんぼしていた先へと進んでいく。
確かに、わざわざ邪魔をしていたと言うことはその先に何かあるのは間違い無いだろうが…だからと言って一人で突っ走るのは危険だ。いつも変わらんなコイツは。
「仕方ない、追うぞ!」
「全く、俊太はホントに馬鹿なんだから…!」
「僕も行く!」
太郎と光は俊太を追う。火太郎もだ。
「…俺もついていくことにするか。流れ的に。」
流れ関係無しに行くつもりではあったが。
しかし、俊太を追おうとした所でロボに阻まれる。
「なっ、この…邪魔だ!どけ!」
フェイントをしても、蹴って通ろうとしても、目の前のロボが道を開けることは無い。
俺がリセスだと思われているらしい。
たちの悪い誤作動だ!クレームしてやる!
…誰にだよ!
「では、今のうちに私が通れ…」
リセスが通ろうとしたが、やはり阻まれた。
とはいえ、同時に行くのであれば防ぎきれないらしい。おかげで俺は通ることが出来た。
「守君が行くなら私も!」
津瑠も付いてきた。
「なら、私も…」
「いや、他の皆は待っててくれ。
このままじゃ、どの道リセスが通れないからな…誰であれ、1人にしたら危ない。
だから、皆はここでリセスの護衛をしててくれ。
それに王女に何かあったら、この国がまずいだろ?」
「…わかったわ。」
俺の指示に従ってくれるらしく、待ってくれるらしい。
俺は遠くなった5つの気配を追いかけ始めた。
…さりげなく移図離も追いかけてたんだな。そこに居ないし。
「やっと追いついたか…」
身体強化の魔法を使わずに追いかけてきたため、追いつくのに時間が掛かってしまった。
5人に追いついたのは、王城がある都…王都の入り口だった。
「おお、やっときたか。
よく追いつけたな。津瑠を背負って。」
「仕方ないだろ…どっかの誰かさんが急に走り出したんだからな。」
「ゴメン…」
「謝る事は無い。」
追いつくのに苦労した理由は、魔法を使わなかったからという理由だけではない。
俺たちのような身体能力が無い、津瑠を背負ってきたからだ。
今後のためにも、津瑠を鍛えた方が良い気がしてきた。いざという時でも戦えるようにした方がいい。
いつまでも現代の一般人でいても、この世界では通じないからな。一般人を辞めてもらわないとな。
『津瑠さんを人外にすると?』
そこまでは言ってない。ただ、この世界の基準くらいは…って、女神様?
『この世界の基準でも、貴方達の世界で言うと運動神経が良い人よりも上ですよ?
運動部の部活をしている人の中でも、1位2位…少なくても、5位くらいでなければ。』
…この世界の人間って、化け物なのか?
『いえ。貴方達の世界の人間が貧弱なだけです。
原因は全身を循環する魔力…体内循環魔力量の少なさなので、それをなんとかしてしまえば簡単に追いつきますが…』
なるほど。それをどうにかすれば一般人でも…
『ちなみに、貴方の体内循環魔力量は、少なく見積もってもこの世界の人間と比べても5倍い』
(止めろー!俺が人外みたいな言い方は止めろー!!)
俺は人外じゃない。それだけは絶対に認めない。
『…二度も魔力切れになりましたからね。化け物染みてもおかしくないですよ。
魔力切れの後は、体内循環魔力量が爆発的に増えますから。筋肉痛みたいなものですかね。』
…2回も爆発的に増えたら仕方ないかー。
なんて、諦めない。
誰がなんと言おうが、俺は人間だ。
「…守、聞いてた?」
「え?ちょっと女神様とテレパシーして……あ、いや、なんでもない。
す、すまん、考え事をして聞いてなかった。」
つい口が滑ってしまった前半の言葉で一斉にジト目で見られたのでとっさに嘘を付く。
ジト目が無ければ気付かなかった。もう手遅れな段階まで喋ってしまったが。
「女神様~?」
「だ、だからなんでもないって言ってるだろ。それより、何の話なんだ?」
「……後でじっくり聞かせてもらうよ?
その女神様が誰なのか、ものすご~く気になるからね。」
よりによって津瑠が食いついてしまった。
気にしなくて良かったのにと思いつつ、俺は光に話を訊いた。




