第四百八十四話 既に浮いてる?まさに無表情!?
森を抜けた俺たちは、とある光景を目撃する。
「でかい城だな~。」
「ここから見えるって、どんだけでかいんだ?」
一言で片付けると、巨大な城だ。その前には広大な荒野が広がっている。
そんな荒野を挟んでもなお良く見えるほどの大きさだ。近くで見ればとんでもない大きさだろう。
それだけではない。
「なんかあの城、見たことがあるような…」
「それはそうでしょうね。アレがアンカー王国の王城。つまり、私の家なんですから。」
…やっぱりか?
薄々そうじゃないかとは思っていた。
「えぇ!?アレが…」
「たまにリセスが王女って忘れるけど、コレが家だと知ったらそれを忘れなくなりそうね…」
「あんな城に住んだら家の中で迷いそう…」
十人十色な反応をしている皆だが、以前見た俺はというと特に驚きも無い。
はたから見れば、無反応な俺とリセスはさぞ浮いているように見えるだろう…いや、そっくりさんの時点で既にそうか。
「次に別れるのはリセスか…」
「おい、もう別れの話すんな。」
そう言えば、リセスは国の内情を調べるために旅に出たんだったな。
本当に調べてたかは分からんが。ぶっちゃけるとほぼ旅行だったような…
「早く行きますよ。ここまでの旅の報告をしないといけないんですから。」
一応報告はするらしい。あんな旅でも。
俺たちは先を歩いていくリセスに付いていった。
荒野長っ。
いや、結構歩いてるはずなのに王城が…見えてるけど遠い。
あと、目の前に立ちふさがるコイツは何なんだ…せめて止まれとか一言言えよ。
「なんだコイツ?」
「さあ…?」
「スルーでいいでしょ。さ、行くわよ。」
立ちふさがるコイツは、タカミ達が素通りしても無反応のままだった。
だがリセスが通ろうとした瞬間、その道を遮った。
「なんですか?
なんで私達だけ通してくれないんですか?」
「……」
「無反応ですか…通りますよ。」
何も喋らない。ただ、無言を貫くだけだ。ソイツが着ているコートも、まるで時間が止まったかのように動かない。無反応だ。
話しかけても動かないコイツを避けて通ろうとすると、先ほどと同じく通行を阻まれる。
「本当になんなんですか?
通せんぼなら別の人にでもしてください。では。」
リセスはまた邪魔される。
「いい加減にしてください。
どうしてもというのなら、こちらにも考えがありますよ?」
「……」
顔は目以外隠されていて、その目には何も映っていない。
無表情。これほどコイツにぴったりと当てはまる言葉があるだろうか。
「…守さん。障壁を。」
「オーケー。」
考えって俺かよと思いつつ、障壁でコイツをどけようとした。
しかしコイツはひらりと障壁を避け、またリセスの前に立ちふさがった。
「……守さん。もっと徹底的にお願いします。
具体的には、この人が身動きをとることが出来なくなるように。」
「努力はする。」
本当に俺まかせだなと思いつつ、障壁の中に閉じ込めようと能力を使う。
ただ普通に閉じ込めようとしたところでまた避けられることは明白なので、牽制も織り交ぜつつ障壁を創っていったもののそれすら読めれていたかのように避けられる。
気配を探れば動きが読める。
創って避けられを繰り返しているうちにそのことを思い出した俺は、ソイツの気配を探った。
「……!?
気配が無い…?」
確かにそいつは目の前に居る。
だが、気配は微塵も感じない。それこそネズミほどの気配も…
どういうことだ?人間、いや、生き物には全て気配がある。例えどんなに小さくとも。
それが、目の前のコイツには全く…
死んでいるものが動く訳が無い。例え操り人形のように糸で操っても限界はあるはず…
それに、操っている糸が障壁に絡まらないのはおかしい。上下左右、あらゆる方向に創っているというのに。
気配を感じない存在は何かと考えると、ふと、あるものが頭をよぎった。
夏休みから一週間…肝試しのつもりが、戦いになってしまったことを。
1つ目は幽霊。これは考えられない。
幽霊ならわざわざ障壁を避けたりしない。すり抜けて終わりのはずだ。
そして2つ目は…
そこで俺は気付く。コイツは全身を何かしらのもので覆っている。靴、仮面、手袋、コート…全く肌が見えない。
俺はあえてぎりぎり掠るように障壁を突き出す。
狙い通り当たらないと判断したらしく、ソイツは避けようとはしなかった。
そしてかすり、そのコートが少し裂ける。
「あ、あれは…」
「やっぱりか…!」
リセスの前に立ちふさがった、ソイツの正体。
それは紛れも無く……
「ロボット…?」
裂けたコートの奥。
そこにある金属質な輝きが、その誰が発したかも分からない呟きを肯定した。




