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第四百七十六話 慣れとかあるのか?まさかのオーバーフロー!?

残業で疲れ、レポートを書き…

色々あって執筆の時間が取れませんでした。申し訳ありません。

レポートはまだ書き終わっていないので、また今後もペースが遅れるかもしれません。ご了承ください。

「うぐっ…」


「え?」


 偽タカミは俺の拳を普通に受けて後ずさる。

 避けるなり受け止めるなりすると思っていた俺は、虚を突かれて追撃のために動かしていた足を止められなかった。


「ぐああ!!」


「えぇ…?」


 偽タカミはまた攻撃をくらって、普通に吹っ飛んでいく。


「ぐっ…」


「……なあ、もしかしてお前…弱いのか?」


 ふと思ったことを言う。

 別にタカミが弱いと言っているのではない。

 もしかすると、タカミに化けた数多姿族本人が弱いのではないか?と言う事だ。

 いくら肉体が強くても、戦うための技術が無ければ弱いままだ。

 単純な力押しで戦っても、強さがそれに伴う事は無い。


「う、うるさい!

 まだこの体に慣れてないだけよ!」


 慣れとかあるのか?


「多分、体が変わるっていうのは筋肉のつき具合、血管の流れ、体の調子…

 その他にも色々なことが変わるから、慣れが必要に…」


 な、なるほど。なんとなく分かった。

 …ん?じゃあ、性別が変わったときにはなんで…


『…まあ、あれじゃない?結局は自分の体だから、慣れに時間が掛からなかった…とか?』


 ……深く考えるのは後回しだ。

 とにかく、今なら偽タカミは自分の体に慣れていない。これはチャンスだ。


「じゃあ、早いところけりをつけましょう。

 皆が捕まる前に。」


 確かに、ギーナの言うとおりあまりのんびりしていると皆が捕まる可能性がある。

 だから速攻で終わらせる。時間をかける意味が無い。


「さあ…終わらせてやる!」


「その台詞はちょっと早いんじゃない?」


「早くない、すぐに終わらせるからな。

 その前に一つ言っておく。さっきの攻撃が本気だと思うか?」


 さっきの攻撃は外れることが前提の牽制。

 それに本気を出す事はほとんど無いだろう。意表を突くのが目的って狙いでも無ければな。


「…!

 まさか、あれが牽制!?」


「覚悟は出来たか!?行くぞ!!」


 魔法で身体強化をし、偽タカミに一気に近付く。


「速いけど見える…なのに、体がついていかない…!」


 体の動かし方も分からないようじゃ、いくらタカミの体と言っても俺には追いつけない。

 俺は近付いた速度も込めた一撃を偽タカミにぶつけ、勝敗を決した。







「…しかし、見つからないもんだな。」


 偽タカミを撃破した後、皆を捜しているもののなかなか見つからない。


「結構広い町って訳でも無さそうなのにね…

 あ、そろそろ明かりが居る?」


 後ろから少し光が差す。

 ギーナが魔法でも使ったのだろう。


「おお、そうだな。

 ありがたい…んだが…いつの間に手錠を壊したんだ!?」


 振り向いてみると、手のひらを上に向け、その少し上に魔法で作ったと思われる光の球を浮かせているギーナがいた。

 その両手はフリー。さっきまであったはずの手錠は既に無くなっている。


「ああ、あれ?

 あれなら、魔力を少し多めに流してみたら勝手に壊れたけど?」


 オーバーフロー!?

 俺でもそんなこと出来なかったのに…絶対に少しとか言うレベルじゃねえぞ!?何人分流したんだ!?


「タカミの偽者と戦ったときには壊れてたけど?

 まさか、私からも身体強化系の魔法が掛けられてたってことに気付いてなかった?」


 マジか。どおりでいつもより体が軽いと思った…

 よくよく考えたら、さっきは不自然に思えるほどやけにあっさり勝てていた。

 ノーガードだったとはいえ、俺一人の力でタカミを一撃で倒せたわけが無いか…


「あれ、津瑠じゃない?」


「え?津瑠?」


 ギーナが指を指した方向を見ると、なにやら土煙が立ちそうな勢いで近付いてくる人影が見えた。

 その形相は必死そのもの。まるで何かを睨んでいるかのようだ。


「…敵意の方向、私達だって分かってるでしょ?」


「ああ、実は考えないようにしてたんだ。」


 現実を見て訂正しよう。

 睨んでいるようだ、ではなく本当に睨んでいる。それも俺達を。


「守く~ん!?ギーナ~!?」


 この面倒ごとから早く逃げたい。

 だが、逃げてしまえばもっと酷い状況になりかねないのでそれをすることは出来ず、俺はまともに津瑠の突進を食らった。

 何故か、待った覚えも無いのに待ったかと訊かれ、無反応で居たら無視すんなやゴラァと言われた理不尽な少年の気持ちが分かった気がした。


「2人で何してたのかな?

 まさか、デートか何かか?私と守君もまだなのに?」


「まさかと思ったけど、やっぱりそう思われてたみたいね…」


 まさかと思ってたのか。

 年頃の男女が一緒にいるとすぐそれだ。これじゃから最近の若者は…けしからん。

 ………あれ?瑠間?ツッコんでくれよ。俺はボケたぞ?おーい。


「デートなんてそんな悠長なものじゃないわ。

 守と合流できたから、2人で皆を捜してただけ。

 津瑠は誰かと一緒じゃなかった?」


「あ、な~んだ。ならいいや。

 それで、皆の事だけど…さっきまで一緒に居たけど、守君がチラッと見えたから急いできたんだ。」


「ってことは、皆一緒に行動してるってこと?誰一人欠けることも無く?」


「そう、誰も捕まってないし、離れてもない。」


 今まさに津瑠が離れているが、それはともかくいい知らせを聞けた。

 まだ誰も捕まっていない。これならすぐにでも合流して…


「あ、居た居た。

 皆、こっちよー!」


 …はやっ。

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