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第四百七十四話 過去の失敗がよぎる?ホイホイ連れてくるもんじゃない!?

 

「おい!あんなのどうやって捕まえりゃいいんだよ!」


「知るか!ゴロボ様でも駄目なら、俺達にできるわけ無いだろ!」


 下ではやいのやいのと議論が繰り広げられている。

 様子を見るためにしばらく聞き耳を立てていたが、どうやら案が浮かんでいない訳ではないらしい。


「誰か、魔法で打ち落とせないか!?」


「駄目だ!魔法を撃ってもさっきみたいに防がれて終わりだ!」


 だが、このようにどれもこれも使える意見は出ない。これではいくら議論しても結論は出ないだろう。

 …これだけ議論に集中してるなら、逃げられるんじゃないか?

 ゴロボ一味は目の前の仲間しか見ておらず、俺に視線を向けるものは居ない。

 それに気付いた俺は、近くの屋根に飛び移って逃走を始めた。

 が、すぐにそこで気付く。

 今度は降りてきたところを狙われるのでは?

 タムと出会った時、障壁で上に逃げたときのことが頭をよぎった。

 あの時は至る所で待ち伏せされていて、降りるに降りれなかった。

 しかも、結果はひどいものだった。

 かなり強引にごまかしてなんとか振り切ったという感じだったし、結局タムにはお見通しだった。

 別の世界とはいえ俺の話を書いているので、振り切るのは無理だったかもしれないが…


『早めに地上に降りたほうが良さそうだね。』


(ああ、ついでに変装もしないとな。)


 さすがにこの格好では目立ちすぎる。

 過去の失敗を活かす為、俺は地上に降りて障壁でローブを創って着た。

 …あ、王子どうしよう。







「戻ったぞー!」


 俺は黒いローブを着たまま鍛冶屋に戻ってきた。

 幸い戻る途中でゴロボ一味に出くわす事は無かったので、割と早く戻ってこられた。


「………」


 返事が無い。


「なんだ?そうやってスルーして、困らせようって魂胆か?

 みえみえなんだよ、だから大人しく出て来い!」


 …………………………………

 ……強情な。


「ったく、気配消えてないんだからバレバレに決まってるだろ…」


 と言って、気配がある扉を開ける。


「……ん?

 おかしいな、確かに気配が…」


「そこだぁ!」


 急いで振り返ると、そこには棍棒を振りかぶっているリーダー格の姿があった。

 背後からの奇襲。それに俺は…


「…隠れる気があるなら気配を隠せ。」


 バッチリ対応。

 棍棒を障壁で受け止める。


「なにぃ!?

 お前は気付いてなかったんじゃねぇのかよ!?」


「演技だよ、演技。

 気付いてるって言ったらどう出るか分からなかったが、気付いてないフリをしたらお前は不意打ちをするだろ?

 行動を誘導したってトコか。それだと対応も簡単だからな。」


 分からない行動より、分かっている行動の方が対処しやすい。まあ、当たり前だな。


「で、どうやってここを突き止めた?

 そして、皆はどこだ?」


「質問が多いな…まあ、答えてやることにしてやる。ありがたく思いな。

 まず、ここをどうやって突き止めたのかだ。

 聞いたぜ?お前はここに俺の部下を招待してくれたんだってなぁ?」


 しまった…あの偽王子か。

 そうホイホイ敵を連れてくるもんじゃないな…


「なるほどな。」


「次の質問に答えるか。お前の仲間だが…

 2人捕まえた。他は逃がしちまったけどな。」


「2人だと…」


「ああ。

 オイ!連れて来い!」


 2人…候補は、津瑠とトーナ、あとはタムか?

 この3人は戦闘が出来ず、身体能力も俺たちのように一般人の域を出ていない。

 しかし…どれほどかは分からないが、少しは鍛えていると言っていた王子が捕まっていたことを考えると、戦闘できる奴が捕まっている可能性が無いわけじゃない。

 数で圧倒されれば、凄腕の戦士でも圧倒されて負ける。

 無駄に統率だけは取られているらしいので、足を引っ張り合うことは考えない方がいいだろう。

 一体誰が…

 考えば考えるほど増えていく人質候補。

 ついに全員に達しようかと言う時、とある2人が思い浮かんだ。

 ギーナとタカミ、あの2人なら大丈夫だろう。

 そして、2人さえ居れば百人力。チートの力であっさりと捕まっている2人を助け出せるはずだ。


 ガチャ


 奥の扉が開かれる。


「おっと、来たみたいだぜ。

 お前用の人質がな。」


 縛られている2人が、2人を連れてきたゴロボ一味に投げられて床に叩きつけられる。


「大丈夫か…なっ!?」


 苦悶の表情を浮かべて床に転がる2人を見て、俺は絶句した。

 何故ならその2人は…


「タカミと…ギーナ…?」


 まず捕まらないだろうと踏んでいた、2人のチートだったからだ。

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