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第四百七十三話 統率だけは整っている?ツッコミどころ満載のブーメラン合戦!?

「…いつから俺が捕まっていたと錯覚していた?」


「なに?」


 次の瞬間、俺は向かってきていたゴロツキの一人を殴り飛ばしていた。


「ぐえあ!?」


「なっ…なに!?」


「捕まったフリだよ。

 お前らはまんまと騙されて、リンスの居場所も、目的も話してくれたって訳だ。」


 リンスの居場所や目的は相当苦労しなければ聞けないものだと思っていた。

 しかし、図らずも俺が捕まっていると誤解したゴロツキが油断して話してくれた。俺にとっては嬉しい誤算だったけどな。


「国から財産を巻き上げようとは…浅はかだったんじゃないか?

 2つの国を敵に回すことになるんだぞ?」


「なぁに、もうとっくに付け狙われてっから、関係ねぇよ。

 山賊、って言えや分かるだろ?」


「山賊?

 全くわからん。」


「ハッ!王女様も落ちぶれたもんだな!」


「俺王女じゃないぞ?」


「……はぁ?」


 さっきまで騒がしかったゴロツキの声が静まる。


「ついでに言うと、女でもない。男だ。」


 ついでに爆弾も投下。

 余計だとは思うが、言っておかなければならない気がしたから言った。後悔はしてない。


 なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?


 ゴロツキの大勢の大声が建物に反射して、更にうるささを増す。


「おい!どういうことだ!?」


「わからねえよ!

 だがあの王子、コイツを王女って…」


「誰だこの2人の会話を聞いてた奴は!もっとよく聞け!」


 ゴロツキは各々、隣の者と話し始めた。

 その話し声は喧騒となり、うるさいと言えるほどになるまでそう時間はかからなかった。


「黙れええええええええ!!!」


 ハイッ!!


 鶴の一声。

 ゴロツキのリーダー格が叫ぶと、その喧騒は一つの返事を残して止んだ。

 結構統率されているらしい。


「お前、王子まで騙してたってことか?

 そいつは犯罪じゃないのか?王女のフリして近付くなんてよぉ?」


「いや、それは王子とお前らが勝手に誤解してただけだ。あとニヤニヤすんなイライラするから。

 王子は何回否定しても信じてはくれなかったし、そもそも近付いてきたのはこいつだ。よって俺には全く非は無い。

 そして、お前らが人に犯罪とか言うな。今まさに犯罪をしようとしてた直前だったじゃねえか。ってか、それ以前に山賊って時点で悪い奴じゃねーか。」


「…まあ、そんなことはどうでも良い。

 お前が王女じゃないなら、この国から財産を貰うのは無理だ…

 だが、そこの王子の国ならどうだ?そいつだけでも充分なだけの金は手に入る。」


「そうか。

 まあ、俺はコイツを連れて逃げるから、頑張れよ。」


「逃がすか!行け野郎共!

 我等山賊ゴロボ一味の力、見せてやれぃ!!」


 おおおおおおおおおおお!!


 一斉に襲い掛かってくるゴロボ一味と名乗る山賊達。統率だけは整ってんだな本当に。


「じゃあ、上に参りまーす。」


 障壁をせり上げ、上へ逃げる。

 もう常用手段になり始めてるな、この逃げ方。


「逃がすかああああああああ!!」


 リーダー格は超人的な脚力で、地面から障壁の上の俺へと飛び掛ってきた。


「おい、ここ二階建ての屋根くらいあるんだぞ?そう簡単に人間やめるなよ。」


「お前が言うな!」


 声が上がったのはリーダー格ではなく、偽王子からだった。

 あ、そう言えばさっき俺も全く同じことしてたな。

 まあ、あれは魔法も少し使ってたからノーカンってことに…


「覚悟おおおおおおおお!!」


 その前に、もの凄い剣幕で飛び掛ってくるコイツをなんとかしないとな。


「バ~リヤ。」


 小学生の時、遊びでよく言ってたな~…と、少し懐かしみながら障壁を創る。


「ぐぅっ!?」


 障壁を創ったのは俺の目の前なので、必然的に俺に向かってきているリーダー格は障壁にぶつかる。

 うわ~痛そうだなオイ。

 とのんきに考えていると、障壁の向こう側から手が出てきて障壁をつかんだ。


「…へ?」


「まだだ…まだ俺は落ちてねぇぞ…!」


「おお、しぶとい。」


 どうやら、リーダー格はぶつかった障壁にしがみついていたらしい。

 ぶつかって結構な痛みがあったはずなのに、そこまでするとは…恐るべし。


「まあ、消しちゃえば落ちるんだけどな。」


「うおああ!?」


 リーダー格がしがみついていた障壁を消し、落とす。

 まあ、ジャンプでこんな高さまで上れるんだったら落ちても死にはしないだろう。

 …能力持ちって、本当にチートだな。あんな化け物みたいな奴をこんなにコケに出来るとは…


「くっ…アイツは能力持ちか何かか?化け物め…」


 お前に言われたくねえよ。お前だって充分化け物だろ。


『守も相当な化け物だけど…』


(…瑠間、それはブーメランだって思わないのか?)


『なにやら化け物たちがお互いを化け物と言い合っていますね。』


(それを軽く超える女神様が言うな。)


 なんか脳内が騒がしくなってきた。

 なんだ?思わず口に出しちゃうくらいこのやりとりはツッコミどころ満載なのか?皆テレパシーみたいなもんだけど。


『あ、そろそろ向こうが動き出しそうだよ。』


 おっと、じゃあ向こうに集中しないとな。

 さて、この状況でどう出るか……もう普通に逃げればいい気がしてきた。少し様子を見て逃げるか。

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