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第四百六十六話 1人で居たい?不思議なほど嫌だ!?

一話目。

拝啓読者様


5日ぶりです。

書いてはグダり、書いてはグダりの繰り返しが続いたせいで遅れてしまいました。申し訳ないとは思っています。

……書くことが思いつかないので、敬具。

 返して君の成仏を見届けた俺は、障壁で即席の服を創って窓から飛び降りる。

 来た通路を戻って学校を出ようとは思ったものの、目が覚めたのは廊下だったので出口が分からない。


「…結構高いな。」


 飛び降りてから気付いた。あの教室2階じゃん。

 やばい…と思ったのは一瞬だった。

 そして、俺は地面に…


「…ねえ、守が飛び降りたんだけど。」


「まあ、守のことだしなんともないでしょ。」


 …普通に着地した。誰も地面に叩きつけられて怪我したとか思わないのか。

 誰にも心配されていないのかよ…

 いや、確かに痛い程度で済んだし、これ以上の高さで落ちたことがあったり、1人で魔物蔓延る森の中に入ったこともあったりしたけどさ…

 ……心配されるわけが無いな。2階から飛び降りた程度で誰が心配するかそんな奴。

 やばい、自分で言ってて凹んできた。


「…帰るか。」


 学校には異世界組がいるが、俺は1人で帰ることにした。

 何故か1人で居たい気分になったからだ。






 時は飛んで2週間後。

 先週は津瑠の演劇に出演する事となり、白雪姫役を演じる事を強いられた。

 それで終わればよかったのだが、あろうことか俊太がそれをクラスで言いふらしてしまった。

 結果、休み時間はクラスの連中に男女問わず追われ、捕まればメイクという恐ろしい状況から逃げることとなった。

 異世界で培った身体能力を、誰も見てないことを確認しながら駆使して逃げていくそれはどこぞのミッション付き鬼ごっこの番組も真っ青だっただろう。

 そして、平日5日をなんとか乗り切って今に至る。


「…なあ、今週も休ませてくれないか?」


「休ませるとでも思う?」


 見えないところで全力を出したため、身体的な疲れも残っているが…精神的な疲れの方が辛い。

 捕まった時のペナルティが重過ぎる。良くアレで劇に出られたなと不思議になるくらい嫌だ。

 今日は土曜。休みなので俺は布団を被って二度寝しようとしていたが、タカミが部屋に乱入してきた。


「そう言えば守、先週はメイクがお似合いだったわね~?」


「お前もか!お前もなのか!!

 俺に安寧と平和をくれ!悪魔でもなんでも良いから!!」


「冗談冗談。疲れてるみたいだし、ちゃんと休ませるわ。」


 心の底から安堵した。

 安寧も平和も、ちゃんと天使タカミが与えてくれた。


「とりあえず二度寝でもすれば?布団被ってるって事は、まだ眠いんでしょ?」


 察しもいいとは…ありがたや、ありがたや…

 …眠気でテンションがおかしくなってるな。


「ああ、ありがたくそうさせてもらう…」


 俺はゆっくりと意識を夢の中に沈めていった。


「…作戦パート1、成功。」


 何か聞こえた気がしたが、なんと言ってるかまでは分からなかった。








「……」


 目が覚めた。

 なんの夢も見ず、ただぼんやりとした感覚だけが残っていた。

 振動が伝わってくる。前にもこんなことがあったような…


「おっと、お姫様の目覚めだ。」


 …お姫様?

 そこはかとなく嫌な予感がしたので、目を開けて周囲の状況を確認する。

 まず、視界の下部に誰かの頭が見える。

 次に、視点が少し高い気がする。

 そして最後。白い袖に包まれた腕が見える。

 …おんぶか。おんぶなのか。


「降ろせ。おんぶなんだろ?」


「状況の理解が早いな…」


 前にお姫様抱っこされたことがあったからな。

 状況が近いので、それに似た何かだと思ったため分かった。


「ったく、なんでそんなことしてんだか…」


 …ん?

 なんか服がおかしい。寝巻きじゃなくなっている。

 何か前にもこんなの来たような…


「…これこの前の衣装じゃねえか!?」


 俺が着ていたのは、津瑠と出た劇で着ていた白雪姫の衣装だ。

 下を向いただけで分かる。何故なら、控え室では恥ずかしさからしきりに下を向いていて見飽きたからな。


「演劇部から借りたんだ。あと、コレ。」


「ん?変わった写真入れだな。」


 手鏡みたいに持ち手があって、どこかで見たことがあるような女の写真が…


「写真入れ?

 これは鏡よ。」


「え?いや、俺こんな顔じゃなかっ」

「鈍いわね。メイクよメイク。」


 …え?メイク?

 そう言えば、この前の劇ではこんなメイクを…


「…何故こんな事を?」


「いや、この前は守だって分からなかったけど、あれが守だって知った上でまた見たくなったんだ。

 その意見は全員一致だったから、津瑠に頼んで演劇部の部長に直談判を」

「そこまでするか!?一体何がお前らをそこまで動かしたんだ!?」


「純粋な好奇心だな。」


 ……俊太はいつもそうだった。

 俊太は、好奇心が働けば何でも実践しようとする。それは信念を通り越して習性にまでなっている。

 そして、その場合大抵凝る。

 何が何でも徹底的にというもっと真面目なことで働いて欲しい姿勢は、こんな無駄なところで発揮されてしまう。

 それが俊太がトラブルメイカーたる由縁の一つだろう。もっとあるだろうが。


「…俊太、お前には既に数え切れない程言ってるが…また言わせて貰う。

 いい加減にしろ!!」


 もう叫ぶことさえ飽きてきた台詞を、今回もまた叫んだ。

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