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第四百六十四話 ありがちありがち?本気の演出!?

一話目。

『返して君は、昔友達に大事なはさみを貸してそのまま返してもらえなかったかわいそうな子。

 返してもらおうとその友達に言おうとするけど、持ってきて無いの一点張り。

 実はその友達はそのはさみが気に入っていて、持ってきてても言わなかった…

 それを知った返して君はその友達に怒るけど、その友達は知らんぷり。

 翌日返して君は事故にあって死んだ…』


「なあ、真っ暗な学校でそういう暗い話をするのは嫌がらせか?

 いや、眠ってる間に夜の学校に運ぶって時点でアレだけど。」


『その日の夜から、返して君は2年B組の教室に出るようになった…』


「あ、2年B組に行けって事か。」


『今ではその教室は使われておらず、物置になっていると言う…』


「はいはい、ありがちありがち。」


 と、表面は余裕ぶってるが、結構怖い。

 夜の学校と言うだけで妙な怖さがあるというのに、電灯一つ点かず、窓からの月明かりでうっすら見える程度の視界しかない。

 そんな中こんな話をされれば怖くもなるだろう。

 …後、さっきから気になってるんだが警備員とかは居ないのか?ぶっちゃけると今はオバケよりそっちに見つかる方が怖い。

 問題行動として取り上げられて、就職もしくは進学に影響が出るかもしれないからな…まだどっちかも決めてないが。


『…なんだか寒くなってきたわね。

 そう言えば、オバケが居るとその部屋の気温が下がるとか…』


「俺になんの恨みがあるんだ!?お前は俺が憎いのか!?」


 さっきからギーナの嫌がらせがエスカレートしてきている。


『えっ?何!?キャ』


 ブツッ!


「え?あ、おい!ギーナ!?」


 断末魔も残さず、放送が突然切れた。

 マジでこういう演出は止めて欲しい。どんだけ俺を脅かしたいんだよ…

 …演出だよな?


「一体何があっ!?」


 一瞬背中が冷たくなった。


「は、ははっ、どうせこんにゃくだろ?

 まったく、そんくらいバレバレ」

「う~ら~め~」


 タッタッタ…


「し~ゃ~・・・…」


 無言の逃走。

 こいつらの本気度がとんでもない。

 今の声もきっと誰かが声色を変えて…


「ひょこっ。」


「ぎゃああああああああああ!?」


 教室からなんかすり抜けてきた!?


「…って、令音かよ。なんだよおどかすなよ…

 セルフ効果音まで付けなくて良いんだぞ?」


「……」


 スー…


「おい!黙って戻るな!」


 ガラララ


「…居ない?

 令音?どこ行ったんだ?おーい…

 …紙?」


 ペラッ


「…暗くてよく読めないな。月明かりでなんとか読めるか?え~っと、何々?

 あなたのはさみ、持ってます…返すので出てきてください…?

 …駄目だ。他にも色々あるが、暗くてどうも…せめて電灯のスイッチの場所が分かればな~…」


 パチッ


『はい、ここだよ。』


「おお、ありがとな。これで読める。

 えっと…さっき読んだところの前に何かあるな。

 これは返して君を呼び出す呪文。ちゃんと読んで返して君を呼び出してね、ハート。

 …これ、誰が書いたんだ?異世界組に日本語書ける奴なんて居たか?ってか、ハートって片仮名で書くなよ。」


『それで、返してくれるんだよね?僕のはさみ。』


「へ?はさみ?

 そんなもの持って……」








「さて、うまくいってれば良いけど…」


「呼び出せたかな?」


 私達は今、放送室から2年B組の教室へと向かっていた。


「さっきの放送で結構驚いてたけど…逃げてないかな?」


「トーナ、それは要らない心配だ。

 守はこの学校の地図なんて知らないし、うまく誘導できたのは報告班からの報告で分かってるだろ?」


「守のケータイと守の母親のケータイを借りて連絡するなんて、うまいこと考えたもんだなタム。」


「ああ、借りるって言うか、寝てる間に取ったと言うか…」


「まあ、ばれる前に返せば問題ないだろ。」


「それはそうだが…よくケータイの使い方なんて知ってたな。

 タムがそんなことを知ってるとは思わなかった。」


「え?あ、ああ…ちょっと前に聞いたことがあるからな」

『ぎゃああああああああああ!?』


「…こんなところまで絶叫が聞こえてきましたね。」


「もう呼び出したの?思ったより早かったけど…」


「おっと、この階だな。2年B組教室は。」


「さあ、どうなってるのか…電灯が点いてるみたい。」


「……そう言えば、こういう怪談って、何かあるよな…」


「突然どうしたの?」


「いや、僕は小説なんて書いてるから、参考にするために色々な話を聞いてるんだけど…

 こういう怪談には、何か曰くがついてることが多いんだ。」


「曰く?」


「そう。オバケが出たじゃ済まされないことが多いんだ。

 あるオバケは、呼び出せば背後に出てきて、なんでも答えてくれる。

 ただし、振り返ってその姿を見るとあの世に連れ去られる。

 またあるオバケは、その話を聞いてバナナの絵を描いて枕元に置かないと、その夜に話を聞いた人を殺しに来る。

 とか、色々なタブーのようなものがある場合が多い。

 今回考えられるのは…はさみを返せなかった場合か。」


「え?呼び出す方法しか見てなかったけど…」


「……守は最悪、今日死ぬかもしれない…」


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