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第四百六十三話 言わなくても選べ?一番損!?

一話目。

 …とりあえず、思いついた奴を並べてみよう。


 1 幸い耳が近いので、思いっきり叫んで隙を作って逃げる。

 2 褒めて照れてる隙に逃げる。

 3 全て壊すんだ(壁)

 4 死んだフリ

 5 あ!あんなところにUFOが!


 1は後が恐いから止めとくとして、2と3もうまくいくかどうかは怪しい…

 特に3は後で父さんに殺されるからパス。初給料は出世払いということで壁代で全額消えることになるかもしれない。破壊の程度によっては。

 4は…熊じゃあるまいし、どうせすぐばれる。

 5…UFO…異世界人が分かるか?

 だが、2では後で津瑠にばらすとかなんとか言われて脅しのネタにされる可能性もある。

 よって、この選択肢では5しかない。


「…あ!あんなところにUFOが!」


 …どうだ?


「ゆーふぉー?」

「なんだそれは!?早く教えるがいい!!」


 …ギーナを押しのけてフラルが食いついてきたので、ある意味正解だったらしい。

 よし、ここから取引に持ち込めば…


「ああ、この状況をなんとかしてくれるなら教えるぞ。

 どうも説明がしづらい空気だからな…」


「なるほど。では、一掃する!」


 と言って、フラルはシャボン玉を撒き散らした。

 …って、それはまさか爆発する奴じゃ…


「ストップストップ!早くそれを消せー!!」


「無理だ!だがこの状況は変えられるだろう!」


 偉そうに言うな!

 なんて考えている余裕も無く、障壁でシャボン玉がある範囲を囲む。

 シャボン玉を囲んだ障壁は数回衝撃を発し、静かになってしばらくしてから障壁を消した。


「あ、あぶねー…」


「では、説明を」

「ふざけんな!俺の部屋を壊す気か!!」


「しかし、あの状況が変わったのは事実…

 手段を選べとは一言も言われていない!」


「言われてなくても選べ!」


「過程はどうあれ結果は良かったのだ!別に良いだろう!

 それより説明だ。さあ、早くするといい。」


 くっ…こ、こいつ…

 だが、危機的状況はなんとか脱した。だから別に…

 …いや!ここで納得してしまったらフラルの思うつぼだ!なら…

 いや、だがしかし…

 この後、こんなどうでもいい葛藤を五分弱続けた。






 …で、あの後フラルにUFOの説明をして、全員解散になったんだろ?

 結局あの誘いには乗らなかった。というか断っていたと言うのに聞こえないフリをされた。

 なのに…


「…なんで今、俺は学校に居るんだ…」


 夜。俺は誘いの話になる前に眠ろうと布団を被った。

 扉を叩かれようが、布団をはがされそうになろうが、必死に眠ることだけに集中した。そして俺は眠りについた…はずだった。

 しかし、今俺は学校の中に居る。

 しかも南凧野高校ではなく、高校ですらない。小学校だ。

 何故小学校になんているのか、それは想像がつく。

 今日の危険な誘いと言うのは、夜の小学校に潜入すると言うものだった。

 タムはその小学校に、“返して君”と言うオバケが出るという噂がある。と、バイト先で聞いたらしい。

 俺は、10月なのになんで肝試しなんだ!俺は降りるぞ!と言わんばかりに断ったはずだったが…眠っている間に運び出されたらしい。


 ブツッ


「!?」


 一瞬何かが切れたかのような音がする。

 誰だ?あいつらか?それとも…


『あー、あー、守、聞こえる?』


 上に設置されているスピーカーから聞こえてきたのは、ギーナと思わしき声。

 思わずずっこけそうになったのは芸人魂が眠っているからだろうか。それとも、それ以上この状況にぴったりな表現が無いからだろうか。


「ってか、ナチュラルに学校の放送機材使うなよ…何故使えた!?」


『え?使い方壁に貼ってあるし。』


 …なるほど。放送機材は生徒も使うからな…小学生でも使えるようにマニュアルのようなものでも貼っているのかもしれない。


「…なんで会話できてるんだ?」


『それは秘密。

 じゃあ、そろそろ本題に入るわ。』


「本題?」


『そう。

 簡単に言うと、守には返して君を呼び出してもらうわ。』


 うわー…一番損な役回りだろ、それ。

 他の奴らは見てるだけで良いが、実践する方はたまったもんじゃない。

 いつオバケが出てくるか、オバケに何をされるのかと言う恐怖が付きまとうのだ。

 異世界も魔法もあったし、なにより身近には幽霊の令音がいる。マジでいてもおかしくないだろうなー…

 …早く帰って寝たい。

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