第四百六十一話 偽者の理由?ほぼ取られた!?
一話目…
栄養ドリンクと羊羹の組み合わせは駄目だ…滅茶苦茶まずい…ガクッ(就寝)
「さて、事情聴取と行こうか。」
一度叫んだら意外とスッキリしたので、すぐさま取り調べに戻る。
「う…」
「うるさい…」
今の叫びで何人か目が覚めたらしい。
「まず、何故俺たちに成りすましていた?」
「成りすます?なんの」
「もう良いんだ…
さっきのをまた出されたらどうする。」
「……」
冷静な偽守の言葉で黙る偽ギーナ。
「じゃあ話すぞ。
俺達は……」
ここからは偽者の話を要約して話そう。
俺の偽者…イルは、親が多大な借金をしていたらしい。
その借金を取りに来る借金取りは質が悪く、毎日家に押しかけては脅迫までして金を持って言ったらしい。
このままでは、借金取りに隠していた娘のイルに危害が及んでしまう。
そう考えたイルの両親はイルを親戚に預け、借金取りからイルを守ることにした。
しかし、当時のイルは借金取りの存在を知らなかった。両親が借金取りにイルの存在を隠していたように、イルには借金取りの事を隠していたのだ。
借金取りに追われているなんて、口が裂けても言えない…その時の両親はそう思っていたのだろう。
だが、それは裏目に出てしまった。
借金取りの存在を知らないイルにとっては、突然両親に捨てられたようなものだった。
理由も分からずに最愛の両親から離されたイルは塞ぎこんだ。
そんな時、その親戚は近くで公演するレッドサーカス団のサーカスのチケットを入手した。全てはイルの元気を取り戻すため、死ぬ気で取ったらしい。
そのチケットでイルは親戚とサーカスを見て、親戚の狙い通りイルは元気を取り戻しましたとさ。
めでたしめでたし。
『途中で終わりにしないでよ。』
…瑠間に言われてしまったので、続けるとしよう。
サーカス団の団長は、サーカス終了直前の挨拶に言ってしまった。
その公演の前に、俺たちに助けられた事を。最初から最後まで、事件の全てを。
『しかも、かなり美化されてたって言う…』
そうそう。
で、それに憧れたイルは彼女と同じように俺たちに憧れた少年少女達を集め、団長の話に出てきた特徴を思い出してコスプレを始めたらしい。
ヒーローの真似をする子供と同じだな。
『さっきアニメの技名を叫んでたのは誰だったっけ?』
…いきなり毒舌になるな。
戻るぞ。全員が着替え終わってしばらく経ってから、路地裏から悲鳴が聞こえてきたんだってな。
『そして、その格好のまま悲鳴の主の女性を助けたら私たちと勘違いされた。』
俺の台詞を取るな。
『他人の感謝と言うものが心地よいものだと知ったイル達は、信頼性の関係上コスプレをして次々と事件を解決していく。
時には別の町へ行き、時には危険を冒しても人々を助け続けた。
そんな中、イルは両親が質の悪い借金取りに追われていることを知る。
その借金取りは周囲の人々の尊敬を集める善人だったので、驚くイルだったけど…真実を知らせようと色々な人達にそれを言った。
しかし、表向きは善人。それを信じるものは誰もいなかった。
そしてイルは決意した。
このまま人々を助け続けて、借金取りよりも大きな名声を手に入れる。
そして、悪質な借金取りから両親を助け出す、と…』
……とまあ、ここまでが理由だ。後半ほとんど瑠間に取られたが。
で、わざわざ要約したのは…
「眠い…」
「寝るな!人がこうも親切に教えてやってるってのに!」
話の途中で寝る奴が続出し、その度に話が中断されたからだ。
偽者達も一度は目が覚めてもまた寝なおす者が出て、その度に中断…
無理も無い。昨日の夜は悪魔と戦い、偽者達もまた眠っていないようだからな。
ここに居る全員が徹夜をしている。そう言っている俺ももの凄く眠………
『よくそんな状態で要約でき……』
「ああ!?お前は大丈夫だと思ったのに!!
しっかりしろ俺の本物!おーい!!」
…今、何時何分だ?
朝日が眩しい。確か今日は月曜…
「月曜!?しまった!!」
勢い良く起き上がる。
周りには眠っている皆と偽者達が転がっている。あの後全員眠ったようだ。
「おい!起きろ!」
まずは目に入った太郎を起こす。
「…なんだ?もう朝か?」
太郎は寝ぼけ眼をこすりつつゆっくりと起き上がる。
「そうだ、朝だ!」
「そこは寝ぼけてんじゃねーよとかだろ…ツッコミがなってないなお前は…」
「ついでに言うと月曜だ!学校だ!!」
「月曜?学校…ああああああああああああああああ!!」
素早く後ろに下がり、太郎の頭を避ける。
あと一瞬遅ければ食らっていた…危ない危ない。
「なに~?」
「うるさいぞ…」
太郎の大声で全員が起きる。
口々に愚痴を言っているが、そんな場合ではない。
「今日は月曜!学校だ!
寝ぼけてないで早く帰るぞ!!」
「…忘れてた…」
移図離は起きているのか寝ぼけたままなのか分からないな…
とにかく、今の声で学生組は目が完全に覚めたようなので肩や腕をつかませ、世界を移動する機能を付けたナイフの鞘で現代に戻る。
…次からは移動鞘とでも言おう。




