第四百五十話 やっぱり?もう一つの理由!?
一話目。
最近話が思い浮かばない…
「え?
それどういうこと?
消と麻里が守の…」
「正真正銘、両親だよ。」
もちろん私だって信じられないと言う気持ちが無いと言うわけではない。
でも、この家は確実に私たちの家だ。それに…
「それに、消と麻里は私の父さんと母さんの名前。
さっきまでは同姓同名だと思ってたけどね。」
「え!?あの名前の人が2人も居ると思ってたの!?
麻里はともかく、消すって書いて消って名前は他のどこにも無いでしょ!?」
「まあ、それはタカミの言う通りなんだけど…世の中どんな人が居るか分からないし、何が起きるかも分からないでしょ?
そんな名前をつける人が一人でも居るなら、もう一人位同じ考えの人が居てもおかしくは」
「おかしいわよ!?」
「……薄々そう思ってはいたけど…
やっぱり?」
「やっぱりよ!
瑠間だけは唯一まともだと思ってたのに!」
「散々信じられないような出来事にあった後じゃ、そう思っても不思議じゃないと思う。」
異世界に行ったりとか、能力が目覚めたりとか、二重人格になるとか…不思議ってなんだっけ?
当時の私からすれば信じられない事ばかり起きた。今はもう何が起きても驚かない自信があるけど。
『今思えば、俺の人生って波乱万丈ってレベルじゃないよな。
濃密過ぎて中毒でも起こしそうだ…』
(現代人からすればね。
それより、目が覚めたんだ。)
『ああ、よくも気絶させてくれたな。』
(前に私を気絶させた事があったよね?これでお互い様だよ。)
『……それで勘弁しとくか。
意図的にやったかそうでないかの違いはあるけどな。』
結果的には同じだよ。
「…守。いや、瑠間。
今の話は本当なのか?」
「守がタカミの能力の暴走で未来から来た、私と消の子供だなんて…
何かの間違いじゃないのかい?」
…やっぱり、聞かれてたみたいだね。
玄関から出てきたのは、消と麻里。ずっと玄関に気配があったから聞かれてたとは思ってたけど…
「いや、私は確かに2人の子供だよ。
名前は全く同じだし、雰囲気もほとんど同じ…ちょっと違うけど、それは年れ」
!?
今、もの凄い殺気が…
突然湧き上がった殺気に、タカミも消も固まっている。
『年齢って言いかけた辺りだったな…凄まじい殺気だった。』
でも、一体誰から…
…答えはすぐに見つかった。
だって1人だけ凄くにこやかな表情だから。
顔は笑ってるけど、気配は激怒しかけている時のそれだったから。
『…これ以上、年齢について何か言うのは止めよう。』
言われなくても分かってる。
「…とにかく、色々根拠があるから間違いないと思うよ。」
「わ、分かった。納得した。」
殺気に恐れをなしたみたいで、心なしか消も少し怯えてるように見える。
年齢の流れをどうにかして断ち切りたいらしい。それは私も、ひいてはタカミもだろうけど。
「立ち話もなんだし、家にあがらせてもらって良い?」
「それはどっちかと言うと俺の台詞だと思うんだが…
良いぞ、話したいこともあるしな。」
と言って、消は先に家に戻る。
首の冷や汗には気付かなかった事にしよう。
「で、話したいことなんだが…」
「あ、未来の話以外でよろしく。」
「……たった今無くなった。
ってか、なんで駄目なんだよ。」
私たちを居間まで連れてきて、早速質問を始めようとした消。
でも、一応未来に干渉しないように予防線を張ったんだけど…まさか質問が無くなるとは思わなかった。
「未来はちょっとしたことで変わるんだよ。
ちょっとだけでも未来の事を知ったことで、本来とる行動とは別の行動をとるかもしれない。」
「……だが、そうと決まったわけでもないだろ?」
「……じゃあ、消。
貴方はこれから殴られる未来です、って言われたら避けない?」
「ああ。
当たるっていう未来があるなら、当た」
「それが命を落とすほどの威力だったとしても?」
「………そ、それなら避けるに決まってるだろ。」
「つまり、そう言うこと。
一つ未来を知っただけで未来が変わるのに、いくつも知られたら…
それが直接的なものでなくても、変化が訪れるのは免れない。」
「な、なるほど…」
「この話はここでおしまい。
じゃあ、私たちはそろそろ帰るよ。」
「え?もう帰るのか?」
「だって、長居したらそれだけ未来を変える可能性が高くなるじゃん。
だからさっさと帰ろうかと。帰る手段もあるし。」
「そうね。早く帰るわよ瑠間。」
部屋から去ろうとする私たち。
「ちょっと待て。」
しかし、消はそれを引き止めるように腕をつかんでくる。
居続ける理由が無いどころか、帰る理由が2つもあるのになんで止めるの?
私たちが今すぐ帰る理由は、未来を変える可能性を無くすためというものの他にも一つある。
そしてもう一つは…
「…麻里の機嫌取り、手伝ってくれ。」
…未だに怒っている麻里。




