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第四百四十四話 少ししか変わってない?どうもしないのかよ!?

一話目。

 2秒後。


『ぐふぅ…』


 ワンパンKO余裕でした。

 飛び掛ってきた河童をほぼ反射的に殴ったら一発でのびた。

 最初から出てこなければやられなかったものを…


「んで、誰が狙いやすいって?」


『オ、オマエ…強かった…のか?』


「誰が弱いって言ったんだよ。」


 全く…俺のどこが狙いやすいと思ったんだ。


『くっ…人間の女は非力ではないのか…』


「誰に聞いたかは知らんが、一概にそうとは言えないぞ。」


 ラノベでは結構ヒロインに守られる主人公も多いしな。

 女は強い、みたいなことはよく言われるし。


「ってか、俺男なんだが…」


「守、ティエスの実。」


 …あ。

 そう言えば、前に食ってから戻ってなかったな。

 あんまりこの姿で居るのもどうかと思うし、さっさと戻るか。

 俺は能力を使って性別を変える機能を付けた障壁を創り、それを使って男に戻った。


「……一緒に泥も落ちてくれれば良いのにな。動きづらい。」


 しかも固まり始めてますます動きづらくなってきた。早いところ落とした方がよさそうだ。


「……なんだ?

 守が少し変わったような…」


「少しどころかかなりでかい変化だぞ。

 なんせ、性別が変わったんだからな。」


「……そうか?

 確かに声は低くなっているようだが…」


 …これはどこぞの女神サマのせいだ。だから落ち込むことなんて何も無い。

 なのに、何故こうも気分が重くなるのだろうか。首から下に泥を纏ってるせいなのか?


「……今の一瞬でどうやって性別なんて変えたんだ?」


「これで。」


 と言って障壁を差し出す。

 するとフレンが手を伸ばしてきたので、その手を避ける。

 するとまた手を伸ばされたので避ける。避ける。避ける。


「…なんで避けるんだよ。」


「触っただけで性別が変わるからな。手に取らせる事もできない。」


「いいじゃねえかよ。ちょっとくらい。」


「お前にはTS願望があったのか?」


「ティーエ…なんだって?」


「つまり、自分の性別を変えたいという願望だ。

 それよりその手を止めろ。」


 フレンの手は、この会話の間にも障壁を追っている。

 ちょっとでも触れば即ドカン…じゃなくて性転換なので、避けるのに結構必死になっている。

 だんだん早くなってきたフレンの手の追尾だが、あるとき急加速して俺の腕に当たる。

 そのはずみで障壁を河童が作った底なし沼に落とし、障壁は沈んでいった。


「ああああああああああああああああああ!!??」


「あ~あ。」


 障壁はすぐに沈んでいき、回収不可能となってしまった。


「どうしてくれんだよ!」


「どうもしないんだよ。」


「くそっ…もう少し見たかったのに…

 んで、一回女になった自分を見てすぐに戻るつもりだったのに…

 意外と美人だったらどうするんだよ!」


「どうもしないんだよ。

 あと、美人って損しかしないぞ。ナンパとかストーカーとか…」


 フレンに厳しい現実を教えながら、更に先に進もうとした。


「うわっと!?」


 しかし、それはまたしてもぬかるみに阻まれた。


「なんだ…?河童モドキならそこでのびてるはず…」


 振り向いてみると、確かに河童モドキがのびていた。

 まさか、死んだふり…


「…こいつ、気絶したままだぞ。」


「何?」


 では、一体何故こんな…


「なっ!?」


 推測を立てようとしたところで、ぬかるみの中から足を引っ張られた。

 どうやらこれも底なし沼らしく、俺の体は一気に沈んだ。

 完全に沈む前になんとか振り払えたものの、腰の下からは沈んでしまっている。


「何!?」


「なんだ!?」


「なっ…!?」


 続いて、ロッソ、フレン、レインも引きずり込まれてしまった。

 3人は反応が遅れたのか、俺よりも深い肩の辺りまで沈んだ。


「…飛べてよかった。」


「大丈夫か?麻里。」


「ああ…消のおかげでなんとか。」


 残ったのは飛んでいたタカミ、横に跳んでついでに麻里を突き飛ばしてなんとか助かった消と麻里。

 3人がさっきまで立っていた地面は、ぬかるみと化していた。


『今のを避けるとは…』


『敵ながら見事だ。

 しかし、我々の敵ではない。』


「どこだ!?どこから話している!?」


『見てわからんのか。ここだ、ここ。』


 その声がすると同時に、先ほど出来た3つのぬかるみから手が出てくる。

 その手はぬかるみから這い出し、やがてぬかるみから全身を引きずり出した。


「3匹だと…!?」


「じゃあ、あの河童っぽい魔物は最初から一匹だけじゃなくて…!!」


『というか、誰が一匹だけだと言った?』


 となると、俺たちは勝手に河童が一匹だけだと思い込んでたってことか…迂闊だった。


『『『さあ、次はオマエだ!』』』


「「「!」」」


 全員じゃねーか。と突っ込んでもどうにもならないので、その言葉を飲み込む。


『いてっ、オマエはそっちだろ!』


『いや、オマエがそっちだ!』


 …なんか地中で喧嘩が始まってる。

 お前らちゃんと意見合わせろよ。

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