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第四百四十二話 難儀ってレベルじゃない?見ているのは遠く!?

二話目。

これから更新が遅くなるかもしれません。

明日から仕事開始ですからね…仕事に慣れるまで書けない可能性もありますが、それでもこの小説を見てくださる方は、宜しくお願いします。

 あの後、俺たちは数日ぶり(約一名は数年ぶり)の町を満喫し、その町の出発は次の日となった。

 その間のロッソについてだが、レインが近くに居るだけで特に暴れる事も無かった。惚れた弱みと言うやつだろうか。

 とにかく、町の観光は何事も無く終わった。今は町を出て森の中を歩いている。

 さすがに観光名所らしきものも無い町を一日中歩いて回ったら飽きるしな。


「……聞いてるのか?守?」


「え?ああ。

 で、なんだっけ?」


「聞いてなかっただろ。

 いつになったら俺達の能力とやらが目覚めるのかって話だろ。」


 そう言えば、この旅の目的はタカミと麻里、そして消の3人の能力を目覚めさせ、完全に制御させることだったな…

 消は何度も能力らしきものを使っているので、なにかきっかけがあれば完全に目覚めるだろう。

 しかし、問題はタカミと麻里だ。

 2人ともどんな能力なのかは分からないし、消のように目覚める前兆すら無い。


「旅の目的が能力の制御…なかなか難儀な課題だな。」


「難儀ってレベルじゃねーぞ。」


 能力はきっかけがあれば割とすぐに目覚めるのだが、目覚めるきっかけがなんなのかは目覚めてみるまで分からない。

 だからこうして旅をして、目覚めるきっかけを作ろうとしているのだ。


「でも、能力の制御が出来るようになったら4人とはお別れなんですよね…」


 …考えても無かった。目先の問題にばかり気を取られすぎていたらしい。

 能力の制御が出来るようになった時、旅を続ける意味が無くなり、同時にそれはレイン、フレン、ロッソの3人との別れを意味する。


『でも、皆のところに帰りたいっていう気持ちもあるんだよね…』


 これが、最初に異世界に来た時に忌避していた状態。

 この世界の住民と関わりすぎて、元の世界に帰りたいと言う気持ちと、この世界と別れたくないと言う気持ちが同居した状態。

 どちらかが上回ればそちらを選ぶのだが、それらが拮抗していると選べなくなってしまう。

 こういうものは打算などで選ぶ事は出来ない。割り切れない。だから迷う。


「……そうだな。

 でも、俺は元の世界に帰らなきゃならない。」


 だからこそ、迷いの無いこの声を聞いたときは驚いた。


「消?

 皆と別れたくは無いのかい?」


「そりゃあ、皆と別れるのは嫌だ。

 しかし、俺は元の世界の住人だ。本来この世界に居るべき人間じゃない。

 俺が居ない事で、元の世界の俺の周りの人達…友達や仕事仲間が心配してるかもしれない。

 それは麻里にも、守にも、タカミにも言えることだ。」


 ……確かにそうだ。

 俺は一体何度似たような言葉を聞けば学習するのだろうか。

 父さんも言ってたじゃないか。俺が居なくなった事で父さんも、母さんも、親友も心配していたと。

 だから俺は…いや、俺たちは帰らなきゃならないんだ。元の世界に。


「…そうだったわね。

 私も元の世界に帰って、皆のところに帰りたい。

 例えどんなに辛い思いをしても…」


 タカミは空を見上げて言う。

 しかし、その姿にはどこか違和感があった。

 まるで俺よりもっと遠くを見て言っているような…そんな様子だった。


「そうだね。

 よし!じゃあ、守にどうやったら能力が目覚めるか、訊いてみるよ!!」


「え!?なんで俺!?」


 どういう経路を辿ったらそんな結論に行き着くんだ!?


「唯一能力を完全に制御してるのは守だけじゃないか。

 だったら、どうやったら能力が目覚めるかくらい知ってるんじゃないかってね。」


「いやいやいや!能力が目覚めるきっかけなんてしらねえよ!」


「おいおい、嘘を付く必要も無いんじゃないか?」


「付いてねえよ!」


「へぇ~。

 なら、吐かせるのは私に任せて。」


「口元がにやけてんぞ!お前絶対分かってて言ってるよな!?」


「問答無用!」


「や、止めろー!」


 この後、夫婦の説得にかなり時間が掛かった。

 主にどっかのエセ天使のせいで。

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