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第四百四十一話 隙だらけ?書置きとはなんだったのか!?

一話目。

「な、何なんだよお前…」


「俺はそいつに惚れた、1人の男だ。」


 ロッソの殺気は守のそれを上回っている。

 そりゃそうだ。守は本当に殺す気は無いけど、ロッソは違う。本気でナンパを殺す気だ。


『守、ロッソを止めて!』


(分かってる!

 たとえナンパでも、殺すわけにもいかないしな!!)


 守はナンパが大嫌いだけど、精々トラウマが残る程度に留めて殺すまでの事はしなかった。

 でも、ロッソは元極悪人。足を洗おうとしているとはいえ、そんなポリシーは無いはずだ。


「待て!ロッソ!!」


「!?

 瑠間の雰囲気が変わった…?」


 ロッソは驚き、一瞬殺気を緩める。

 しかし、それがいけなかった。


「おい、デカブツ!これを見ろ!!」


「!?」


 レインをつかんでいたナンパを見ると、ナンパはレインののど元にナイフを突きつけていた。


「お前…!」


「おっと、動くなよ。動いたら…

 …へぶぅ!?」


「…隙だらけですよ。」


 今何があったかというと、捕まっていたレインがナイフを突きつけていたナンパのお腹を肘で打った。

 ナンパはちょうどロッソを見ていたので、レインの動きは見ていなかったらしい。


「さて…動いたらどうなるんだ?」


「あ…ああ…」


 ナンパは恐怖で動けなくなっている。

 ロッソの見た目が見た目だからね…


「あ、ちょっと待ってください。」


「なんだ?」


 さすがにレインも止めるよね。


「いくらなんでも殺しはしないで下さいね。

 この村に居られなくなってしまいますから。」


「…分かった。」


 …あれ?止めるんじゃないの?


「ひぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」


 ロッソによるナンパへの制裁。

 それは村に断末魔を響かせ、道行く人にキョロキョロさせた。


「…あ!あの2人逃げやがった!!」


 いつの間にか他のナンパ2人は逃げていたらしい。


(だが、次に会った時は…フッフッフ…)


 ナンパ逃げて、超逃げて。






 その後、他の三人もロッソに付いて来たので結局全員合流することになった。

 書置きェ…


「んで、瑠間から守に替わっちまったと。」


「なんだ替わっちまったとは。

 まるで替わって悪かったみたいだな。」


「いや、実際残念だし。」


「なんだと~!?」


「アンタ達、ストップ。

 それ以上暴れたらハリセン百叩きの刑に処すよ。」


「すまない、言い過ぎた。」


「いや、俺もすぐに怒ったりして悪かった。」


『コロッと態度変えたね。』


 誰もあんな攻撃を100回も食らいたくないだろ…死にはしないけどさ。


『…それもそうか。』


「それより、替わったとか守とか何の話だ?

 さっぱり話に付いて行けない。」


「ロッソにはまだ言ってなかったが、俺は二重人格なんだ。

 今表に出ている人格の俺が守、さっきまで表に出ていた人格が瑠間だ。」


「全く訳が分からない…」


 ……まあ、複雑な話だからな。


「簡単に言うと、俺の中に2人の人物が居るってことだ。」


「………分かった気がする。」


 気がするだけかい。


「とにかく、そう言うわけだからよろしくな。」


「どういうわけだ…」


 理解し切れていない様子だが、これ以上分かりやすく言う事ができないので話を止める。

 それより、一つだけ試したい事がある。


(瑠間、今すぐに替われるか?)


『え?今?』


(一回だけでいいから試してみてくれ。)


『分かった。』


 瑠間は強く念じ始める。

 しかし、俺と瑠間が入れ替わる事は無かった。


(…なんだったんだ?アレは。)


『さあ…?』


 感情の爆発、と言うのは時として膨大な力を発揮する。

 さっきの入れ替わりはそのせいなのだろうか。


『…あんなことで感情の爆発なんてさせないでよ。』


 俺にとってはあんな事で済まされないんだが。

 ナンパだぞナンパ。あれで怒らずしてどうする。


『…それが分かっちゃう自分が嫌になるよ…』


 同じ自分だからな。嫌でも分かるさ。

 とにかく、これまでと同じように一回気絶するか眠らないと入れ替われないってことか…

 せめてなにか変わったことがあればよかったんだけどな。ハァ…

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