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第四百三十八話 どっちも悪いという結論?山が怒った!?

一話目。

「…何!?レイン!?」


 少し遅れてフレンも反応する。

 まさかレインが相手とは思ってなかった。誰かさんがミスリードしてくれたおかげで…


『俺のせいかよ!』


(そうだよ!守がそう思わせるような言動を取るからでしょ!?

 まるで私が自意識過剰みたいになったじゃん!!)


『そ、それは…過去の痛い経験が…』


(……そう言うことなら良いか。)


『分かってくれて何よりだ。

 ってか、レインって…』


「レイン、お前…」


「『女だったのか?』」


「…え?」


 …言われて見れば、レインの性別は分からない。

 言葉遣いは男女兼用の敬語。

 容姿と声は中性的で、どちらか分からない。

 一人称は記憶が戻ってから一度も聞いたことが無い。

 結論。判断材料が無い。


(確かにどっちなんだろう…

 失礼なのは分かってるけど、全く分からない。)


「えっと…まずはそこからですか?

 というか、フレンとの付き合いってそんなに短くありませんよね?なんで分からないんですか?」


「え、あ、いや…

 そりゃ、紛らわしいと言うか、わかりづらいというか…

 じゃあこの際だから訊くぞ!お前は男か、女か、どっちだ!?」


「全く、失礼な」

「失礼すぎるぞ!俺の惚れた女が男と紛らわしいだと!?」


「…言わせてください。」


「え、あ、えっと…」


「…もう何も言いません。」


 と、レインは二人から離れていじけ始めた。


「おい!お前のせいだぞ!」


「俺かよ!お前もレインの言葉を遮ったから同罪だ!!それでいじけてるしな!!」


「何を言うか!お前が男だか女だかわかんねえなんて言うからだろ!!」


 結論、どっちも悪い。


「……なんなのこの空気。」


「そうだな。」


「私達は関わらないでおくかね…」


 後ろから3人の小さな声が聞こえてきた気がした。

 フレンとゴロツキボスの言い争いは、2人以外の全員が関わるまいと距離を置き始めてもまだ続いていた。

 …その次の瞬間までは。


「!?」


 向こうでいじけていたレインの近くの空間が、音も無く突然歪み始めた。

 あれは世界の歪み…なんでこんな時に!?


「お頭!山の怒りがレインの姐御あねごを…!」


「何!?」


 いつからレインが姐御になったんだろう。

 それより、山の怒りってどういうこと?世界の歪みの事を言ってるんだよね…


「山の怒りってなんだ!?」


 フレンが訊くと、ゴロツキの集団の中から知的そうなゴロツキが出てきて説明を始める。


「山の怒りってのは、この山で時々出てくる空間の歪みの事だ。

 それは異世界に通じてるって話だが、いつどこで何故発生するのかは謎。

 一説によると、山が怒ってるせいだとか…」


 解説ご苦労様。

 ここでは世界の歪みの事を山の怒りって呼んでるんだね。


「まずいぞ!山の怒りに吸い込まれたヤツは戻ってこねえ!

 だから、早くレインの姐御を助けねえと…!」


「その役割、俺が引き受けた。」


 しゃしゃり出てきたのはゴロツキボス。


「いや、お前に俺の友達は預けられねえよ。」


 と、フレンも前に出る。


「いいのか?失敗したら別の世界に飛ばされるんだぜ?

 俺がアイツを助けるから、お前1人でな!!」


「言ってろ!別の世界に1人で引きずり込まれんのはお前の方だ!!」


 2人はまた言い争いを始める。

 この2人は駄目だと思ったので、私が1人で助けに行く。


「瑠間!」


「大丈夫今助け…!」


 引きずり込まれているレインを引っ張ると、抗えない大きな力が返ってきた。

 いくら力を込めても、私ごと引っ張られていくだけだ。


「瑠間、早く放してください!このままでは…」


「大丈夫だから…!きっと…」


 レインにはそう言ってるけど、内心諦めてる。

 私は歪みに近付きすぎた。例えこの手を放しても、逃げる事は出来ない。私も吸い込まれるだろう。


『なあ、瑠間。思ったんだが……

 別に吸い込まれてもよくね?』


(な!?なんでそんなことを…)


『だってさ、今の瑠間は……』


「……あ。」


 守が言いたい事を察し、それもそうだと思って力を抜く。


「え?なんですか?

 なんで力を抜くんですか?なんか諦めてませんか?」


「大丈夫。」


「その自信はどこから来るんですか!?」


「良いから良いから。」


「良くないですよ!!さっき向こうで吸い込まれたら二度と戻って来れないって言ってましたよね!?だったら少しは…」


 そうこうしているうちに、レインが完全に歪みに飲み込まれる。

 それを見た私は自ら歪みへと入っていった。

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