第四百三十七話 三つ目の噂?フラグ強化すんな!?
一話目。
昨日は自動車学校で忙しかったので、執筆どころかなろうラジオも見れませんでした。タイムシフト予約しといてよかった…
あと、今後も勉強のため執筆を休むかもしれません。その時はご了承下さい。
「止まれ!」
ひたすら続く山道を下っていると、その道の先に1人の人間が居た。
その人間は剣を肩に担いでいて、私たちを通せんぼするかのように立ちふさがっている。
「何だお前は!?」
「そりゃこっちの台詞だ。
ここは俺達の山だぜ?ここを通るってんなら、相応の対価を払ってもらわねーとなぁ?」
格好はボロボロの服で、みずぼらしい。
なんというか、絵に描いたようなゴロツキだ。小物臭がすごい。
この人1人だったらあっさり通り抜けられそうだ。こっちの人数も多いことだし。
「そこを通せ。
それとも、この人数相手に1人で来るとでも言うのか?」
「誰が俺一人って言った?
おい!いいカモが来たぞ!出て来い!!」
ゴロツキが合図をすると、そこらの木の陰などから大勢の人間が出てきた。
どの人もボロボロの服で、手には武器が握られていた。
そう。最初のゴロツキもだったけど、私たちの前にいるのは皆“人間”だ。
それも筋骨隆々で、どこか歴戦の戦士を思わせる雰囲気を持っている…そんな“人間”だった。
「噂の元狩人か…」
フレンの呟きで、一昨日聞いた噂話の一つが思い出される。
ギルドを追放された極悪な元狩人、それがこの山を隠れ家にしている。
あの噂も本当だったんだ…
戦うこと自体嫌だけど、人と戦うのは特に嫌だ。例えそれが極悪人でも。
『なら瑠間、分身の術を使え。
お前はそれを維持してくれれば、戦わなくても良いからな。』
(でも、私だけ何もせずに見てるだけなのも嫌だよ…)
『…戦いたくないんじゃないのか?』
(でも、皆に戦いをまかせっきりにするのも…)
『……好きにしろ。
瑠間が戦おうが戦うまいが、俺は戦う。
だから分身の術を使ってくれ。それで』
「なんだなんだ!?
部下が騒がしいと思って来てみたら…運命の出会いってヤツをしちまったみてぇだな!!」
山の道から外れた木々の奥から、ひときわ大きなゴロツキが出てきた。
「お頭!」
「お頭だ!!」
そのゴロツキ(大)の姿を認めた大勢のゴロツキ(小)は騒ぎ始めた。
話の流れからして、ゴロツキ(大)がゴロツキ(小)のボスで、ゴロツキ(小)がゴロツキ(大)の部下ってことだよね?
『最後はややこしいが、言ってる事は前半と後半ほぼ一緒なんだよな…』
(そうだね。)
とにかくゴロツキ達には上下関係があるって言うことで。
「それよりもお頭、運命の出会いって…」
「ああ。
俺はどうやら、一目惚れってヤツをしちまったらしい。」
「おお!」
「マジですか!」
「とうとうお頭にも春が…!」
ゴロツキボスの言葉で、ゴロツキ達にどよめきが走る。
「おいお前ら、気がはえぇよ。
まだ俺の気持ちを伝えたわけでも、返事を出してくれたわけでもねえのによ。」
とは言いつつも、ゴロツキボスの顔は赤い。
ああ言われて、満更でもないらしい。
『もうこの時点で告ってるようなもんだと思うのは俺だけか?』
(言っちゃだめ。
それに、まだ相手も言ってないでしょ。)
『それもそうだな。』
「よし!今から言うぞ!俺の気持ちを!!」
オオオォォォォォ!!
ゴロツキ達から喝采があがる。
『…なあ、今思ったんだが…
その相手って俺たちじゃないよな?』
(……か、考えられなくも無いね。
でも、そうと決まったわけでも無いし…)
『おい!それはフラグだ!本当にきたらどうすんだ!!』
(い、いや、そんなわけ無いって…)
『フラグ強化すんなああああああああ!!』
心の中でどんどんフラグを建てていく私。
その間にも、ゴロツキボスはギクシャクとした歩みを止めない。
(こ、こっちに来る!)
『だからフラグは強化すんなって言ったんだあああああ!!』
断るのはもちろんとして、こういうのは断った後が恐い。
最悪、ゴロツキ達の手によって血で血を洗う大乱闘になる可能性も…
(き、来た!)
私の目の前にゴロツキボスが来ていた。
これから起きる惨劇を回避する手段を考えることで頭がいっぱいだ。一体どうすれば…
「たった今好きになったんだ!付き合ってください!!」
……あれ?
ゴロツキボスは私の隣を通りぬけ、私の斜め後ろの誰かの手を握っていた。
ゴロツキボスが握った手の持ち主は…
「…え?」
レインだった。




