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第四百三十二話 鍵の噂?浅はかだった判断!?

一話目。今回は長めです。

修了検定が終わったので、三日ぶりの執筆。

誕生日の四分の一が勉強で終わるとか…誕生日って疲れる日でしたっけ?

「ソレモオモシロソウダガ…サキニコノイエノナカヲミテミヨウゼ。

 ヒョットスルトナンカアルカモシレン。ニンゲンノニオイガスルカラナ。」


「オオ!ソレハホントウカ!

 …ッテ、コノドアアカネーゾ、ドーナッテンダ?」


「ウワサニキク、カギッテヤツダロウナ。

 ニンゲンハジブンノイエニカギヲカケルコトニヨッテイエニシンニュウサセナイッテハナシヲキイタコトガアル。」


 鍵って魔物の中では噂になってるんだ…


『むしろ、魔物の中に鍵という概念は無いのか?』


(見張りみたいなのでもつけてるんじゃない?)


『なるほどな。』


 強力な護衛が居れば鍵なんて要らなくなるだろうしね。

 極端な話、家の玄関にライオンを繋いでおけば犯罪者なんて近付こうともしないだろう。最悪死にかねないから。


「ヘェ、マジカ。

 ジャア、アケラレナイコトダシコワスカ?」


「マアマテ。

 トビラダケヲコワセバナカニハイレル。」


「オオ!オマエアタマイイナ!」


「サア…コワスゾ」

「ナンダ!?ナンダ!?トツゼンナニカガ…」


「「ウワアアアアアアアアアアアアア!!」」


 もちろん、黙って障壁ハウスを壊させたりなんてしない。

 気配で位置を確認して、障壁で遠くに飛ばした。


(胸騒ぎってこれだったのかな?)


『さあな。』


 胸騒ぎが収まり、眠れたのはその後のことだった。

 結局、飛ばされた魔物はそのまま戻ってこなかった。

 なんだったんだろう…






 翌朝。

 いつぞやのように障壁ハウスの周りを魔物が囲っていると言うことも無く、普通に出発する事ができた。


『しかし、なんだったんだろうな?

 扉が壊される音で起きるのかとか考えてたら、何も無かったし…

 少なくとも、この山を抜けるまでは気を抜けないな。』


(そうだね…)


「瑠間、どうしたの?

 深刻そうな顔をして…」


「…なんでもないよ。」


(とっさにごまかしちゃったけど…

 黙ってた方が良いよね?)


『下手に不安がらせるよりは良いんじゃないか?

 他の魔物も居るから、警戒ならしてるだろうしな。』


 今ごまかしても後で言う事ができるけど、今言って後でごまかすのは難しい。というかほぼ無理。

 だから今は黙っておく。言うべき時が来るまでは…


「オイ、アンナニンゲン、イタカ?」


 その時、私たちが歩いていた道の上の道からカタコトな声が聞こえた。

 その魔物は筋骨隆々で、人間のような形をしてるけど、人間じゃない。

 肌の色が赤い人間なんて、聞いたことも見たことも無い。


「シラネェナ。

 ダガ、コノニオイハマチガイナクヨルニミタイエノナカニイタヤツラダ。」


「アア、アノヘンナモノニジャマサレナケレバコイツラヲ…」


 昨夜の魔物みたいだ。

 もうこんなところまで戻ってきたらしい。


「家?

 家って言うと…もしかして障壁ハウスのこと?」


「変なものに邪魔された、とか言ってたな…

 この魔物は何を言っているんだ?」


 良かれと思って黙ってたけど、裏目に出てしまったらしい。

 結果的に、皆を混乱させる結果となってしまった。まさかもう追いつくなんて…


『今回は俺たちが浅はかだったみたいだな…

 だが、なったものはしょうがない。ささっとあの二匹を吹っ飛ばして事情説明といこうぜ。』


 そうだね。

 相手は二匹。だったらまた…


「ボス!コイツラデスゼ!」


「ほう、こいつらが俺様のかわいい子分を吹き飛ばしてくれた奴らか…

 覚悟は出来てるんだろうな?」


 ……


『(ボスがいましたかー…)』


 二匹の後ろから、その二匹の二倍以上はある背丈の魔物が出てきた。

 やはりボスも人型で、ボスの色は青い。

 ……まるで、昔話に出てくる鬼みたいだ。


「吹き飛ばした?なんのことだ!?」


「ゲヘッ!シラネートハイワセネーゼ!

 オマエラガコノニヒキをヘンナジュツデフットバシタンダロ!」


 ボスと呼ばれた鬼の後ろから、その部下と思われる小さな鬼が更に出てくる。

 小さい鬼は私たちの上の道を覆い尽くしていた。


「…その二匹を吹っ飛ばしたのは私だよ。」


「瑠間!?お前何言って…」


「皆が寝てる間に、あの二匹が障壁ハウスの前に来たんだ。

 それで、ドアを壊されて進入されそうになったから障壁で遠くに飛ばした…

 だから、悪いのは私だけ。他の5人は関係無いよ。」


「そうか…なら、俺様と子分に用があるのはお前だけだ。

 そいつの度胸に免じて、そこの5人は通してやる。さあ、行け。」


「皆、早く行って。

 私もすぐに追いつくから。」


「止せよ!あいつらは昨日話してた怪力魔物に違いない!

 そんな奴相手に、瑠間1人じゃ」

「良いから!」


「!」


 1人で鬼と戦おうとする私を止めようとするフレン。

 でも…


「これは私が勝手に作った問題。

 それを解くために皆が手伝う必要はどこにも無いから。」


 もっとうまく立ち回れば、生まれなかった問題だった。

 これは私のミス。それに皆を巻き込むわけにはいかない。


「かっこつけてる場合じゃないだろ!お前も早く」

「いいじゃないの…」


「何言ってんだよタカミ!こんな数相手に瑠間が無事で居られるわけが…」


「いいじゃないの!

 ならいっそ痛い目に遭わせて、二度とかっこつけて無茶しないようにすればいいじゃない!!」


「お、おい…いきなりどうしたんだ?」


「皆!行くよ!!」


「あ、待てよ!」


 走り去るタカミを追いかけていく皆。

 その目には、うっすらと涙があるように見えた。


「タカミ…ありがとう。」


「さて、お前だけになったな…

 しかし、俺様と戦うにしても相応の実力が無ければ面白くない。

 まずは俺様の子分を倒し、実力を示すが良い。

 かかれ!!!」


 山に響く鬼のボスの声。

 その声と同時に、私に大勢の小さな鬼が一斉に飛び掛ってきた。

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