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第四百二十九話 人間は変わるもの?二重人格は難しい!?

二話目。

「ただいま~。」


「お前もか!帰ったんじゃなかったのかよ!!」


 スタっとスタイリッシュに着地すると、既にタカミと夫婦、レインとフレンが居た。

 着地したのは俺たちが入っていった穴があった場所だ。今は穴が無くなって普通の地面になっている。


「守も来たみたいだね。

 事情があって帰れなくなったから、もうしばらくこの世界に留まる事にしたっていう説明が終わったところなんだ。」


 おお、来た時には説明が終わってたなんて今まで無かったぞ。

 説明しなくて良いのがこんなに楽な事だとは………いや、物足りないだけだな。

 説明が習慣になりかけているのか、説明しないと物足りない気分になる。

 以前はあれだけ説明が嫌だったのに、今はむしろ説明がしたい。

 人間って、変わるもんだなぁ…


「で、その能力ってのは分からないのか?」


「ああ、心当たりが無い事は無いんだが…具体的にどんな能力なのかは教えてくれなかったからな。」


 そう言えば、世界の意思は4人“全員”に能力があると言っていた。

 消は片鱗のようなものを見せているが、タカミと麻里の能力に関しては全く分からない。

 更に、3人の中に能力が暴走した事がある奴が2人居ると…

 片方は消だとしても、もう1人はどっちだ?

 ……もしかしてタカミか?

 あの時…この世界に来る直前、タカミから光が出た。

 それが収まると俺の部屋は物置部屋に変貌していて…

 もしや、この世界は平行世界なのか?

 そして、タカミの能力は転移とかそういった系統の…


「……守?…守!?」


 考え事にのめりこんでいると、タカミらしき声が聞こえてきた。

 俺はその声で我に返る。


「…悪い、考え事してた。

 なんだって?」


「レインとフレンからこの村に留まるかって訊かれたの。

 消も麻里も私も、守の判断待ち。どうする?」


 ……どういう経緯で俺に決定権が回ってきたかを問い詰めたいところだが、とりあえずどちらかに絞ろう。


「……1D6のダイスロールで。

 1~3だったら村に留まる、4~6だったら村を出て行く。」


「は?」


 脳内でダイスを転がす。

 出た目は…


「4だな。

 と言うわけで、村を出て行く。」


「なんだ?ダイスロールって…」


「要はサイコロを転がす事だ。」


「…まあ、分かった。

 とにかく、この村を出て行くんだな?」


「そうだ。」


 村から出て行った方が危険は増えるものの、戦闘は多くなるし、それで経験が増える分身を守る術を身に付けやすくなる。

 更に、戦闘、もしくはそれ以外のことで能力を目覚めさせる事につながるかもしれない。

 一つの村に留まるより、旅をして多く場所を見る方が溜まる経験の量が全然違う。それは異世界での旅を通じて学んだ事だ。


「…もしよければ、その旅に付いて行って良いですか?」


「レイン!?

 ただでさえ村を出て行った後なのに、了承されるわけが…」


「村を出て行ったのは何のためだと思いますか?

 村では見れない多くのものを見たい、村では知れない色んなことを知りたい、そんな想いがあったからですよ?

 そんな想いを持っているというのに、村を出て旅をする機会をみすみす逃すとでも?

 何、村の皆にはなんとか言いくるめますよ。以前のように黙って出て行くことなんてしませんから心配は要りません。」


 レインの決意は固い。

 今の言葉でそれが良く分かった。


「なら…なら、俺も付いて行く!

 レインを1人で行かせはしない!大切な友達だからな!!」


 フレンもただならぬ決意を秘めた目をしている。

 レインは良い友達を持ってるな。

 あいつらは元気にしているだろうか…


「それで、良いですか?付いて行っても…」


 改めて、レインが問う。


「俺は構わない。」


「私も。」


「私も。

 で、守は?」


 俺以外の3人はオーケーの返事を出す。

 そして俺は…


「もちろん良いぞ。」


 その問いに肯定の意を唱える。

 断る理由が無い。20人くらいで旅していたので、どうも4人だけだと寂しいと思っていたところだしな。


『私はノーカン?』


 ……訂正、5人。

 いや、俺と同一人物だから4人の方が正しいか?二重人格って難しいな…


「とりあえず、村の奴らに断って来い。

 無断で出て行くわけにもいかないんだろ?」


「はい。

 では、待っててください。」


 レインとフレンはこの場から立ち去る。

 その後の話し合いで出発は明日にする事になったので、俺たちは泊めてくれると申し出たレインの家に泊まった。

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