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第四百十三話 答えづらい質問?角が取れた!?

二話目。

「なあ、お前らはここがどこだか分かるか?」


 感動の再会みたいなやり取りを終えた夫婦が訊いてきた。


「俺には分からない。」


「私も。」


 世界の歪みが通じている場所など、分かる余地も無い。


「そうか…なあ、お前らは何なんだ?

 勝手に俺達の家に入ってきたり、俺達を助けてくれたり…お前らは何がしたいんだ?」


 答えづらい。

 なんなんだと訊かれても…答えてあげるが世の情けか。

 勝手に家に入った件はなんとも言えない。俺たちにも良く分からないからだ。


「あんた達を助けたい…かな?

 勝手に家に入ったのは悪いと思うけど、悲鳴が聞こえてきたと思ったら連れが…」


 連れというのは俺だろう。俺が勝手に人様の家に上がりこんだみたいな言い方は止めて欲しかった。

 悲鳴が聞こえたから飛び出したのも事実だったけどさ。


「まあ、そいつの言うとおりだ。」


 考え無しで突っ込んできたが、この夫婦を見殺しにするというのも嫌だった。

 この2人には初めて会った気がしないというか、見覚えがあるというか…まあ知り合いみたいな感じがしたしな。


「そう言えば、自己紹介がまだだったわね。

 私はタカミ。」


「俺は守だ。」


「私は麻里だ。」


「俺はしょう

 消すって書いて消。」


 …消?


「名前使うには変わった漢字ね?」


「それは親に言ってくれ。俺が自分でつけたわけじゃないしな。

 よく縁起が悪いって言われるよ。」


『この人の親はなんでそんな漢字にしたんだろ…』


(さあな。

 自分の邪魔になるものは全て消して進めとか、そんな意味でもこもってるんじゃないか?)


『なんて嫌な意味…

 せめて消してじゃなくて乗り越えてにして別の名前にすればよかったのに。』


(これはあくまで軽口以上憶測未満なんだがな…

 まあ、本当の意味は親のみぞ知るってな。)


「しかし、どうにかして元の世界に戻らないとな…」


「は?元の世界?何言ってんだ?」


 ……そうか、異世界の存在についても言わなきゃならないのか。

 ちなみに何故異世界と分かったかだが、ここから少し離れたところに魔物のものと思われる気配を感じたからだ。

 魔物なんて俺達の世界には居ません。


「まあ、歩きながら説明するさ。

 それより、早く世界を渡る手段を見つけないとな…」


 世界を渡る手段を見つけ、まずはこの夫婦を帰す。

 その後に俺たちも帰る。

 しかし、タカミから溢れた光…あれの正体はなんなんだ?

 そして、あの光に包まれた俺たちに何が起きたんだ?

 考える事は多いなと思いつつ、異世界、魔法、能力などの事を夫婦に説明した。







「これで信じたか?」


「「ハイ。」」


 俺は障壁で創った剣を肩に置きながら訊いた。

 何があったのかというと、事は夫婦への説明が終わった直後に遡る。

 説明を聞き終えた夫婦は、俺を怪しいものを見るような目で見ながら、


「「うっそだ~?」」


 と声を揃えて言った。

 説明してやったのになんだその反応はと少しムカついたその時、獣道を歩いていた俺たちを通せんぼするかのようの魔物が立ちふさがった。

 その魔物は動物が色々混ざったみたいな姿だったので、動いているそれを見てしまった夫婦はガタガタ震え始めた。

 ただでさえムカついていたというのに、通せんぼまでしてきた。

 いい憂さ晴らしの相手だ。ちゃんと戦う理由もあるし。

 と思って障壁の剣を創り、


「障壁結晶を使うまでも無い!どけぇ!」


 と言って魔物に一閃。

 魔物は無事片付けられましたとさ、めでたしめでたし。

 そして、話はさっきの台詞に戻る。


「お疲れ。疲れてもないだろうけど。」


 タカミがねぎらう…だと…?

 なんか昨日から随分角が取れたな…

 いつもだったら、


「障壁結晶を使うまでもない?

 なにかっこつけてんの?バッカじゃないの?」


 くらいは言っているはずだ。


『守は普段タカミをどう見てるの?

 さすがにタカミもそんなことは言わないんじゃ…』


 そうか?なんか、

 いつもツンツン、あなたをいじめる這い寄るチート未来人です☆

 みたいなイメージが…


『今すぐタカミに謝って。』


(今のはさすがに言いすぎたと思ってる。

 とある邪神の自己紹介みたいな感じするとここまで言わなきゃいけなくなってしまったんだ、悪気は無かった。

 すまないタカミ。)


『まあ、実際に口に出したわけじゃないから、心の中でも誠意を見せただけでもよしとするよ。』


(ありがたき幸せ。)


 ってか、なかなか町に着かないな。

 あの説明も結構な時間を浪費したんだが…


「一つ訊いていいか?」


「なんだ?」


 なんか恐る恐るみたいな感じで消が訊いてくる。


「…さっきの動きはなんだったんだ?見えなかったんだが。」


「ああ、魔法を使ってるからな。」


 一般人が強化系統の魔法を使ってる奴の動きなんて見えるわけが無いだろ。

 見えたらショックを受けるか、そいつにセンスがあると褒めるかの二択だ。


「……そ、そうだよな。さすがにアレが素な訳が無いよな。」


 そうそう、だから安心しろって。

 ……アレが本気じゃないとは言わない方が良さそうだな。

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