第四百十一話 劣化アフター?瑠間の機転!?
二話目。
「何!?なんなの!?」
タカミは、光に包まれてようやく自分から光が出ていることに気付いたらしい。
光は徐々に収まっていき、部屋の風景が変わる。
部屋にあるものは机やら本棚などから、箱や埃を被ったものばかりに変わった。
窓から差していた夕焼けの光は、昼のような明るいものに変わっている。
なんというビフォーアフター…劣化してるけど。
「ってか、ここどこ?」
「それは分からないが、この部屋は俺の部屋と全く同じだ…」
広さや天井の高さに至るまで全く俺の部屋と同じだ。
『ここはなんなんだろうね…』
(とりあえず部屋から出るか?
いつまでもここに居ても仕方ないだろ?)
『そうだね。』
この部屋に居ても、俺の部屋に戻れるわけではない。
「タカミ、とりあえずこの部屋から」
「この部屋から物音が?」
「「!!」」
部屋から出ようとしたそのときだった。
この部屋の外から人の声が聞こえたのだ。
「タカミ、隠れるぞ!」
小声で呼びかけ、とりあえず入り口からは見えなさそうな場所に移動する。
タカミもそれについてきたが、幸い2人とも隠れるスペースがあったので2人で隠れることにした。
恐らくこの声の主は家主、もしくはそれの関係者だろう。泥棒や空き巣だったら警戒して近付いてこないだろうしな。
ここで見つかるのはまずい。
事情を説明して納得してもらう、というのも無理がある。
俺もタカミも何故こうなったかは分からない。だから気が付いたらここに居ましたとしか言えないからな。
だからとりあえず隠れた。
「ん?気のせいだったのかい?」
そう、気のせい!気のせいだから!
何も気にせずさっさとどっか行ってくれ!!
「どうした?」
新手とか無いわー。
今度聞こえた声はまた別の者の声だ。
なんでわかるって、最初は女の声、今のが男の声だ。一瞬で性別を変えない限りそんな芸当は出来ない。
むしろ、そんなことが出来る奴が居たら見てみたいな。
『じゃあ、鏡でも見ればいいんじゃない?』
(え?なに言ってんの?)
『…それより、いつまでも隠れられると思う?どうするの?』
「ちょっとこの部屋から物音がして…」
「なに?
ここは物置だぞ?誰も居るわけが無いだろ。」
「だろうね…」
「もしかすると泥棒かもしれない。俺が見てくる。」
部屋の入り口から足音が近付いてくる。
捜し始めやがったか…まずい。
(………なんかいい案無い?)
『無い。あったらとっくに教えてる。』
だろうな~…
何か無いか!?何か無いか!?何か無いか!?何か無いか!?
超高速で考えろ!頭のギアはトップスピードだ!ハリーアップ!!
ハリーハリーハリーハリーハリー…
『どうどう、落ち着いて。
能力でなんとかならないかな…ひときわ暗い所に行って、そこに障壁を盾にするように隠れれば…』
(それだ!その案採用!!)
少しでも可能性があることはする。
暗い場所を何度も指差し、タカミに隠れるように指示する。
タカミはなんとか察してくれたようで、暗い場所に行く。
俺も暗い場所に行き、俺を隠すように障壁を創る。タカミにも同じようにする。
元々この場所は暗い。置かれているものが窓からの光を遮り、あまり光が行き渡ってないからだ。
「誰か居るのか!?居たら出て来い!!
……誰も居ないな。気のせいだったんじゃないか?」
「そうみたいだね…良かった良かった。」
2人の足音は部屋から遠ざかっていく。
うまくやりすごす事ができたようだ。
結構危なかったが、瑠間が居なければどうなっていた事か…
(瑠間、ありがとな。)
『どういたしまして。』
礼を言いつつ障壁を消す。
「あ、危なかった…ありがとう、守。」
「俺じゃない、瑠間だ。
このアイディアを出したのは瑠間なんだからな。」
「そ、そう…じゃあ、次会った時にでもお礼言っとくわ。」
しかし、さっきの声…2人ともどっかで聞いたような気が…
「キャアアアアアアアアアアアアア!?」
「ま、麻里!!
なんなんだこれは!?」
悲鳴。
これは間違いなくさっきこの部屋を見に来た2人のものだった。
「行くぞ、タカミ!」
「ちょっと!大丈夫なの会っちゃって!?」
「その時はその時だ!」
俺は居てもたっても居られずに悲鳴の元へ走る。
この時の俺に、この家の誰かに出会ってしまうとかそんなことを考える余裕は無かった。




