第四百八話 何故戻れた?もう限界だった!?
一話目。
なんとなく予約投稿。
『これでも急いだんだ、文句はあまり言わないでくれよぉ~?』
「ま、タイミングピッタリだったからいいけどね。」
左手に握られているのは、紛れも無くルソードの柄。
守を見てみると、守の右手にはデュアの柄が握られていた。
「バ…バカな…」
「その2本は折れていた死んだはず…一体何故!?」
表情が無かった2人が初めて見せた表情は、驚愕だった。
『あのな、折れたことと死んだことを一緒にしないでくれないか?
我もルソードも、折れたくらいでは死なない。それこそ、完全に消滅しない限りはな。』
「どこの魔人だよ…」
そう言った守の表情は、言葉とは裏腹に安堵したものだった。
私もだったけど、気配が近付いてきてるとはいえ、本当にデュアとルソードかどうかは半信半疑だったからね。
『粉にされてもそうなるかもしれないぜぇ~?』
『もしそうなっても、最悪元に戻れなくなるだけだろう。
しかし、それでも我等の魂は消えない。そうだろう?』
『…かもしれないなぁ~。』
「だが、どうやって元に戻ったんだ?
あいつ等が言ってた通り、お前らは真っ二つに折れてたはずだろ?」
確かに、それは私も気になる。
あの時確かに2本の剣は折れた。でも、今は何事も無かったかのように元通りになってる。
ギャグ漫画じゃあるまいし、一体どうやって…
『我等の性質を忘れたか?』
「性質って…まさか!」
『そのまさかだ。
あの部屋の隣は食料庫だったよなぁ~?』
デュアとルソードの特殊な性質。
それは人の姿になって食べ物を食べると、切れ味が戻るというもの。
『切れ味と言うものは刃こぼれによって低下する事もある。
それすらも直せるとしたら…と思って人の姿になったところ、とてつもない空腹に襲われた。
我々はそれに抗えず、隣の食料庫の物を全て平らげた。
そして剣の姿に戻ると…折れる前の状態と全く同じように再生していたのだ。』
「……あー…あのさ…」
『何だ守?』
「あの食料子の食いもんなんだが…腐ってるやつもあったんだが?」
『腐っていても、口に入れば全て修復のエネルギーに変わる。』
『まさか、テーブルや椅子まで食うとは自分でも思わなかったぞ?』
えー…腐ったものどころか、テーブルや椅子まで…
『まあ、そんなわけだ。
それで、そこの2人はどうする?
得物をなくした貴様らが、我等を持った守と瑠間に挑むか?』
「…無理だな。」
「ああ、ジュエリィツールは単体でも強力。
なのに素手で挑めと言われても…無理だ。」
2人が次に見せた表情にこもっていたのは諦めだった。
両手を上げ、無抵抗をアピールする。
私は分身の術を解き、2人を縄で拘束する。今度は逃げられないようにしっかり縛って。
「そっちも終わったみたいね。」
「疲れた…」
戦いが終わった私に、タカミとキャビが近付いてくる。
その後ろには縄で拘束された黒幕が居た。
『さて、あとはルドとルーだな。あいつらは…』
ルドとルーが戦っているであろう場所を見ると、2人は黄金化して戦っていた。
「…やばくない?」
『ああ…最悪俺たちが2人を元に戻さないとな…』
このしんどい戦いがようやく終わったと言うのに、黄金化した2人を相手にしなきゃいけないのか…
「あの2人はギーナがなんとかしてくれるんじゃない?
前にも魔法で直したことがあったし。」
そう言えば、モスタ村…だったかな?
そこで黄金化したルドを、ギーナは魔法で止めたことがあった。
『なら安心だな。』
(……そうでもないみたいだけど?)
『え?』
さっきから見当たらないギーナを捜すけど、この部屋には居ない。
つまり、ギーナはこの場に居ないということになる。
「ねえ、ギーナがどこにいるか知らない?」
「え?あ、居ない…」
「……じゃあ、今度は2人の相手?」
もう勘弁して欲しい。
こっちは限界で今にも倒れそうだって言うのに…目眩がしてきた。
『おい!しっかりしろ!マジでしゃれにならない!』
(しゃれじゃないし…本当だし…)
意識したらまぶたが重くなってきた。
魔法で治療したからと言って、無理してきたのは否めない。
だからここで寝るのも仕方ない……
「全部終わったら起こして…」
とだけ言って、私は横になって眠った。




