第四百六話 黒幕の過去?理不尽な戦う理由!?
一話目。
昨日は何故か考えていたものが文にまとまりませんでした。
待っていた方、ごめんなさい。
「試験は…試験はどうなったんだ!?」
試験の事を太郎が言うと、黒幕は一瞬目を見開いて驚く。
が、次の瞬間には元の表情に戻っていて、こう言った。
「何故試験の事を知っている?
…まあいい。話が早くて済む。
試験の合否の前に、俺の目的を話そう。」
「何…?」
「皆、黙って聞こう。」
こちらとしても目的が分かるのは嬉しいけど、試験の合否も気になる。
焦らす気なのかなんなのかは分からないけど、もしかしたら合格して神技を使えるようになってるかもしれない。
そうだった場合、下手に反抗してしまえば何をしてくるか分からない。なら、ここは素直に聞いたほうがいいだろう。
「用意が整ったなら話すぞ。
俺にはひたすら想い続けた女がいた。
その女も俺のことを想ってくれていて、あるとき両思いだと知った俺達は付き合い、結婚するに至った。
結婚してからの毎日は楽しく、いつまでも続いて欲しいと思っていた…」
「思って“いた”?」
黒幕の言葉の最後は過去形だった。
「しかし、彼女は突然病で倒れ、今もなお眠ったまま…
どんな名医に見てもらっても答えは同じ。原因が分からないと言う事だった。
原因が分からなければ治療の方法が分からないため薬は使えず、魔法も使えない。
俺には何も出来ないのか。そう思って居た時のことだ。俺はある方から古文書を授かった。
その古文書には神技を使う条件が書いてあった。そして私は思ったのだ。
使者をも蘇らせる神技なら、彼女を治す事もできるかもしれないと。」
「それでそんなことを…
でも、いくら大事な人のための行動だからと言って、全て許されるわけじゃないわ。」
「分かっている。
それを知った上で、俺はこんなことをしていたのだからな。
しかし俺は…そんな大事な試験に……!!」
黒幕の様子から、試験の結果は分かった。
これで分からないのは…
「こればっかりは努力の仕方が分からないからね。
どんな試験かなんて、想像がつかないし。」
『完全なるぶっつけ本番か…
それだけでも厳しいだろうに、神技とかいうとんでもないものの使用権が掛かってんだ。内容も厳しくないわけが無い。』
考えれば考えるほど試験はえげつないものだった。
もっとも、それくらいしないと神技を使える人が溢れたりするかもしれないけど…だからと言って思うところが無いわけじゃない。
「そして、その話には続きがある。」
「え?」
続き?
今の話にどんな続きが…
「数日前、その女は亡くなった。」
何も言えなかった。掛ける言葉が見つからなかった。
「つまり、俺には神技を使える様になる以外の道は無かったのだ…
だが結果は見ての通り。
全てを犠牲にしてでも手に入れようとした力は手に入らず、二度とその力を手に入れることは出来なくなった…」
「……」
…黒幕がかわいそうな過去を持っていることは分かった。
多分、内心では悲しみや、神技を習得できなかった自身に対する憤りの嵐が吹き荒れている事だろう。
「…俺は悔しい。自身の無力さがな。
だから、というわけでもないが…お前らに八つ当たりしようと思う。」
「んな!?」
「そんな理不尽な!?」
「これだけのことがあったなら、ガス抜きが必要な事はわかるよ。
でも、それが私たちに向けられるのはおかしいでしょ!」
「そんなことくらい分からないと思うか?
だが、今の俺にはどうしようもない。この気持ちはお前らを叩きのめせば消える。
お前らは今まで俺の邪魔をしてきたのだからな!!」
皆は仕方なく臨戦態勢を取る。
「ここは私に任せて!」
走ってくる黒幕を迎え撃つようにタカミが前に出る。
黒幕の実力は分からないけど、タカミならいけるかもしれない。
「誰かと思えば、さっき魔物に洗脳されていた小娘か!
そんなお前が俺に適うと思うか!?」
「何言ってるの?
アンタが私に勝とうなんて、思い上がりも甚だしいわ!」
タカミのハリセンと、黒幕がいつの間にか拾っていた赤い大剣が激突する。
しかし、その直前にタカミに向かう者に気付いたのでその者の前に立ちはだかる。
「黙って不意打ちさせると思った?」
「「ちっ…」」
舌打ちしながらも、表情は相変わらず無表情だ。
そっちが2人なら、私も…
「守!頼むよ!」
「ああ!」
私は分身の術を使って、守を出す。
「なんだ!?」
「増えただと!?」
いきなり私がもう1人出てきて戸惑う2人。
「分身の術、って言えば分かるかな?」
「分身の術…あ!そう言えばあの子供はどこにいるんだ!?」
……あ。今の今まで忘れてた。
「お前ら2人は知らないのか?」
「知っていたとしても、教える義理も無い。
それを知りたければ、俺達を倒すことだな!!」
私達4人は、ほぼ同時に構えた。




