第四百一話 タカミの過去?現れた黒幕!?
二話目。
一体何人がユーザーページに向かったのか…
あと、活動報告の番外編に時系列をつけました。
まだ読んでない物があるかもしれない方は、興味があれば是非どうぞ。
…元々タイトルにあったものは無いかもしれませんが。
ピエロを倒してしばらくすると、ようやくタカミが落ち着いた。
ピエロを倒した事も、守が気絶していた事も気付いていなかったらしい。
それに気付いてまた取り乱したが、それもやがて落ち着いた。
「で、なんであんなことをしたの?」
津瑠が不機嫌に尋ねる。
その言葉はタカミだけでなく、私にも言っているのだろう。わざわざ津瑠を止めて邪魔させないようにしたから。
「私は…タカミが守に恋愛感情ではない、もっと他の大きいものがあるって思ったから。
邪魔しちゃいけ無い気がして。」
「恋愛感情が無い?
なら、なんで抱きついたりするの?」
津瑠はますます不機嫌そうな顔になり、更に質問を重ねた。
「それは分からない。
だから、それをタカミに訊く。津瑠のためにもね。」
タカミは納得のいく答えを言ってくれる。
なぜだか分からないけど、私にはそんな予感がしていた。
「……あんまりその話は掘り返さないで欲しいんだけど…
恥ずかしいし。」
「でも、それじゃあ津瑠が納得しない。
だから言って。」
「分かったわよ…
守の姿が、私の父さんに重なって見えたの。」
「父さん…?」
タカミの父上に?
一体何故?
「……実は私、小さかった頃に不審者に攫われそうになったことがあるの。
そんな時に助けてくれたのが、会社で仕事をしていたはずの私の父さんだったの。
それで、私を助けてくれた時に父さんが言ってくれた言葉が、さっきの守が言った言葉と全く同じだったんだ。
だから2人の姿が重なって見えたのかもしれない。」
倒れた守を横目で見ながら、タカミは懐かしそうに言う。
「そんなことが…」
「……ふふっ。」
突然津瑠が笑う。
「津瑠?」
「あ、ゴメン。
そんな理由なら、嫉妬してた私がバカみたいだなって思ったから…」
「そんなことは無いって。
事情があっても、私が守に抱きついたのは事実だし…嫉妬されても仕方ないわ。」
…後は2人だけにしておこう。
それより、倒れてる守に治癒系統の魔法を使わないと。
これから脱出するにしても、体力は回復させておかないといけないからね。
守に近寄り、手を当てて魔法による治癒を行う。
「ギーナ、できればで良いから俺達にも頼む…」
太郎の声を聞いて、皆のほとんどが傷を負ってることを思い出す。
トーナとタムが治癒に回ってるけど、守の治療が終わったら皆の治療もしないと。
「う…」
守がうめき声を上げる。
もう少し掛かると思ってたけど、そろそろ目覚めるらしい。
目が覚めると、目の前にはギーナの顔があった。
「気がついた?大丈夫?」
「うん…」
「守…?」
タカミとの戦いは見てた。いや、その前からずっと。
だからタカミが洗脳されて戦った事も、守が洗脳を解いた事も、守が限界まで疲労し、その結果倒れたことも知っている。
その間何もできなかった自分に憤りを覚えた。
頑張る守に、何か手助けはできなかったのかと。
守の問題は私の問題だ。だって、私と守は“高壁守”という1人の人物だから。
人格が分かれても、それだけは変わってない。
「どうしたの?
明らかに様子がおかしいけど…」
「大丈夫。
少し疲れただけ…」
ギーナが治療してくれたのか、倒れる前よりは調子が良い。
とはいえ、完全にダメージや疲れが取れた訳でもない。立ち上がってみると少しふらついた。
「動かないで!守はもう少し休まないと…」
「でも、すぐに帰らなきゃいけないんだよね?
だったら、早く帰ろう?休むのはそれからでいいから…」
「……高壁君?」
他の皆の治療は終わってる。
なら、後は帰るだけ…
「「させぬ!」」
扉に近付こうとしたら、突然聞いた事が無い声が2人分聞こえて、両腕をつかまれる。
「あの道化師魔物がやられたか…」
私が向かっていたものとは逆方向の扉から1人の人物が現れる。
中世の貴族が着ているような服装で、中肉中背の男だ。
「ご苦労。
そのまま、しばらくそいつを捕まえていてくれ。」
「「ハッ。」」
私を捕まえている2人が声をそろえて返事をする。
その顔にはなんの感情も映っておらず、無表情な人形を連想させた。
「アンタ誰!?
守をどうする気!?」
ギーナが突然現れた男に問う。
その気迫はこちらにも伝わってきて、少し冷や汗をかいたくらいだ。
そんな気迫の中でも眉一つ動かさず、貴族風の男は言った。
「質問は一回に一つに絞って欲しいな…
まあいい。一つ目の質問の答えは…そうだな。こう答えよう。
“全ての黒幕”
とね。」




