第三百九十七話 遅すぎた援軍?津瑠の無駄骨!?
二話目。
「皆!大丈夫!?」
壊れたシャッターから出てきたのはギーナだった。
「驚かすなよ…新しい敵かと思ったぞ。」
「せっかく急いできたのに…そりゃないって。」
続いて火太郎、居図離、タムが来る。
「ひょっとして、援軍のつもりだったのか?」
「だったらもう遅いぞ。魔物は見てのとおり全員戦闘不能だ。」
辺りには障壁で身動きが取れない魔物や、その前に倒された魔物がそこらじゅうに居る。
「そうみたいね…あとは残った皆と津瑠が合流すれば、1人を除いて全員ってわけね。」
「1人を除いて?」
ギーナの言葉の中に、一部引っかかるところがあった。
「ええ…実は、タカミが…」
「詳しく聞かせてくれ!」
「俺達も知らねえぞ!?」
「…そうね。あの時は居なかったから…じゃあ話すわ。」
「つ…疲れた…」
「お疲れ。良く走ったね。
あと、急いでもらって悪いけど…もう魔物は全部片付いたよ。」
「えぇ~…私が頑張った意味は…」
津瑠、ドンマイ。
ギーナの説明が終わると、壊れたシャッターの方から令音、フォルフ、リセス、ルー、津瑠の5人が出てきた。
「それにしてもあのピエロが…ちょっと追加攻撃してくる。狂戦士のソウルは無いけどな!」
「ストップ。間違いなくオーバーキルになる。」
壁にめり込んでいたピエロを、どっかのカードゲームのオーバーキルのごとく追加攻撃しに行こうとすると、太郎に肩をつかまれて止められた。
「放せ!カードは無いが、現実はターンも無いんだ!!」
「確かにムカつく奴だったが、もう充分だろ!」
「何を持って充分とするかなんて、それはそれを思った本人が決める事だ!
俺が充分じゃないんだから充分じゃない!!」
「格言っぽく言ってもだめだ!
5メートルくらいめり込んでるだろ!軽く穴になってんだぞ!!」
「黙れ!同じことを何度も言わせ…?」
「どうした?」
ピエロがめり込んでいた場所に違和感を感じた。
「あ、おい!さりげなく奴に近付くな!」
障壁を伸ばし、太郎につかまれたままピエロがめり込んでいた壁に近付く。
「!」
違和感の正体はこれか!
「皆!大変だ!
ピエロが居ない!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「『!?』」」」」」」」」」」」」」」」」」
違和感の正体は、ピエロの気配を感じない事だった。
俺はピエロの気配の大きさから、死なないと言う条件で可能な限り与えられる最大の威力を計算し、それを食らわせた。
なので死ぬことは無いはずだった。
しかし、気配が無くなっている。何故か。
それは逃げたからに他ならない。奴は俺たちの隙をついて逃げ、この場から居なくなったのだ。
「一体どこに…」
階段のような障壁を創り、それを下りながら考える。
奴の気配は…駄目だ。この部屋は魔物の気配が邪魔で探れない。
じゃあ、この部屋以外の場所を調べるか………
「あ、おい守!そっちは…」
「え?
うわっ!?」
何かに躓いて転ぶ。
階段の上には何も無かったはず…
と思って見てみると、俺が躓いたのはギーナが壊したシャッターだった。
「階段ならとっくに下りてたぞ。ボーっとするな。」
「ああ…悪い悪い。」
階段を下りていた事には全く気付かなかった。
……あれ?何考えてたんだっけ?
やばい、飛んだ。
「それより、居なくなったなら早く探しに行かねえと!」
「そうね。早くタカミを探さないと!
ちょっと試したいことがあるからついて来て!!」
「へ?探すのはピエ…おい!待てよ!」
俊太が何か言いかけていたが、どうせどうでもいいことだろう。
俺たちは走るギーナについて行った。
「戻って来たはいいけど…これ、今通ってきた階段以外は全部罠なのよね?」
ギーナは光の確認に頷く。
俺たちは階段を上がって階段だらけの部屋に出たのだが、今光が確認したようにこの階段は全て罠。
「確かに、今の階段以外は全部罠だった。
でも、さっきの広間で気付いた事があってね…誰か、この階段が全部等間隔にあることに気付いた?」
言われてみるとそうだ。
少なくとも、目視する分には等間隔と言っても良い並び方だ。
「確かに…でも、それがどうした?」
「この壁、何も無いように見えるでしょ?
でも、この壁の真ん中はこの階段とほぼ等間隔…つまり!」
と言って、ギーナは壁を蹴る。
すると壁が倒れ、上へと続く階段が出た。
「やっぱり!ここに隠し階段があった!
さ、行きましょ。」
隠し階段をあっさり見つけて上るギーナ。
しばらく呆気に取られていたが、我に返ってギーナを追った。
現状(必要かどうかはともかく)
探索 太郎、レイ、キャビ、俊太、フラル、光、ルド、トーナ、守、火太郎、ギーナ、居図離、タム、津瑠、令音、フォルフ、リセス、ルー
?? タカミ




