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第三百八十九話 突然の報告?諦めるのはまだ早い!?

一話目。

「フン!」


「ぐっ!」


 人モドキの攻撃を受け、後ろに飛ぶ。

 戦いは、誰が見ても分かるような劣勢だった。

 素の力で戦わなければならないということが大きく、更に女になったことで筋力が低下している。

 人モドキの攻撃を受け止めるには力が足りない。

 攻撃を受ける度に後ろに下がったり受け流しをしたりしてなんとか凌いではいるが、それがいつまで続くか分からない。

 なにせ、要求される集中力が大きすぎる。いつまで集中力が続くのか、分かったものではない。

 しかもあの巨体だと言うのに、動きは素早いため攻撃に出ることも叶わない。

 そんな時、デュアとルソードからテレパシーが伝わってきた。


『……守、そろそろ我らもまずい。』


『何回かは耐えられるだろうがなぁ…折れる覚悟もしとかねぇとなぁ。』


 折れる?

 一瞬その意味が理解できなかった。


「……冗談だろ?」


『この状況でそんなことが出来るか?』


『俺にも無理だなぁ~…』


 二人が…折れる…

 ますますまずい事になってきたな。この戦いを長引かせるわけにはいかない。さっさと決める!

 そして二人を守るんだ!


 ブン!


 ガキン!


 人モドキの大剣の一撃が飛んでくる。

 とっさにデュアとルソードを交差して受け止めたが、その両腕は震えている。


「まずい…!このままじゃ…!」


 このままでは押し切られる。

 デュアもルソードも折れてしまう。

 何か無いのか?この状況を脱する手段は…

 能力は使えない。

 魔法も使えない。使おうとしても…

 …ちょっと待てよ?

 瑠間が魔法を使おうとした時のことを思い出す。

 あれはまさか…そう言うことだったのか!?


『守…そろそろ我らも限界が近い…』


『短い間だったが、世話になった…』


 デュアもルソードも諦めている。

 この状況を覆す手段は無い。そう思い込んでいる。


「おい…まだ諦めるのは早いかもしれないぞ?」


 そう言って、俺は手錠に魔力を思いっきり流した。

 すると、


 ブワッ!


『何!?』


『なんだと!?』


「なんだ!?」


 強烈な風が吹き、人モドキが怯む。

 俺はその隙を逃さず、一旦後ろに退く。


『守、今のはなんだ?

 確か、魔法は使えなかったと思うのだが…』


「ああ、今のは魔法じゃない。この手錠だ。」


『何?どういうことだ?』


「分からないのか?この手錠は吸風石で出来てるんだ。」


『なるほどなぁ~。』


『通りで魔法が使えなくなるわけだ。』


 そうだと思い至ったのはついさっき。

 手錠を壊すために魔法と能力が使えないかを試した時の瑠間が気付いた事がヒントになってくれた。

 仕組みとしては、魔法を使おうとしても、魔力が吸風石の手錠に持っていかれる。

 するとどうなるか。魔法の発現に必要な魔力が足りなくなり、魔法が使えなくなる。ということだ。

 しかし、使えないのは魔法であって、魔力は使える。だから手錠に大きな魔力を送って強風を吹かせることができた。

 とはいっても、強化系の魔法が使えないのは痛いし、能力も使えない。風を起こすくらいしかできないのである。


『…なあ、守。一つ訊いていいか?』


「なんだ?」


『あの壁に立てかけられている鍵はなんだと思う?』


 鍵?確かにあるが…

 …まさか、あれが足枷と手錠の鍵とは言わないよな。

 しかし、試してみる価値はある。問題は…


「話が違う…魔法や能力は使えないんじゃなかったのか!?」


 部屋の隅で喚いている人モドキだな。


「魔法は手錠で封じている、聞いた!能力は足枷で使えない、聞いた!

 でも、どっちもあの鍵を使って外していない、なのに、風が起きた!何故!」


 …ペラペラ喋ってくれるとは微塵も思わなかった。

 カタコトな喋り方と巨体からして、あまり頭が良くない力持ちみたいなイメージはあった。

 しかし、まさかここまでバカだとは…敵に情報を与えすぎだろ。かんしゃくを起こして何も見えてないようだ。

 情報を与えられ、黙っているわけにも行かない。俺は鍵へと走り出す。


「オイ!まさか、その鍵、取る気じゃないだろうな!?」


「そうでなければなんなんだ!?」


 叫び返すと、人モドキが追ってくる。

 初動はこちらの方が早かったので、人モドキに追いつかれる前に鍵を根こそぎ取った。

 しかし、一回でも鍵が合っているかどうかを試すには少なからず時間が必要だ。

 つまり、人モドキの動きをなんとかして止める必要があるのだ。それを逃げながら考えなければならない。

 戦って倒す…は駄目だ。デュアとルソードが持たないかもしれないし、勝つ気がしない。

 風を起こしても、さっきは初見だから意表を突けたに過ぎない。今しても効果は薄いだろう。

 …魔法さえ使えれば、なんとかなるかもしれない。

 足枷に鍵を差し込む時は屈む必要があるが、手錠なら走りながらでも出来る。

 俺は人モドキから逃げながら、鍵を一つ一つ試していくことにした。

おまけ

一行の現状

階段 火太郎、令音、ギーナ、フォルフ、移図離、リセス、ルー、タム

残り 太郎、レイ、キャビ、津瑠

牢屋 俊太、フラル、光、ルド、トーナ

脱出 守、デュア、ルソード

?? タカミ

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