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第三百八十一話 巧妙すぎる罠?苦しい決断!?

二話目。

なんとか今日中に間に合った…

 ギーナ達、左組と別れた後、俺達は罠に気をつけながら進んでいた。


「さっきから罠が全くこないが…もしかして、罠が仕掛けられてたのは最初だけか?」


「まあ、そこらじゅうに罠なんて仕掛けてたらこの塔を使う人にとって不便だろうし、最初で侵入者を捕らえれば不要になるしね。」


 火太郎が言った事はもっともだろう。

 罠だらけの職場や家なんて、不便にも程がある。


『しかし、油断は出来ぬぞ。

 こうして油断を誘って、まんまと気を抜いた侵入者をおおっ!?』


 喋っている途中でデュアの足元に突然落とし穴が開く。


『っと、あぶねえ…そう言いながら自分で引っかかるんじゃねぇ~よぉ~。』


『くっ!この上は太郎達も歩いていたのに、何故我だけ…!』


 心理的なところを着いてくるトラップだな。一度歩けたからその場所は大丈夫だと思わせて、後で誰かが歩くと落ちるという…


「なかなか厄介ね。一度歩いたところも安全とは限らないって。安心して歩けないわ。」


「タカミは飛べるから良いと思うの…」


 落とし穴だった場合はな。

 しかし、落とし穴以外の罠にも気をつける必要がある。例えば…


 カチッ!


「いたっ!?」


 …上からタライが落ちたりとか。

 いや、まさかタライが落ちてくるとは思ってなかった。思わず噴出しそうになったがなんとかこらえる。


「いった~…コントじゃないんだからタライなんて落とさないでよ!」


「これがスイッチになってたみたいだね…」


 キャビがタカミの足元を見て言う。足元に注意しないといけないみたいだな。


「はあ…まだ頭痛い…」


 かと言って、壁に手をつくと…


 カチッ!


「うわ!?」


 ……壁が抜けて下に落ちるとか。


「あ、危なかった~…飛べなかったら確実に落ちてた…」


 背中の翼を羽ばたかせ、飛びながら言う。

 しかし、罠が巧妙だな…おそらくタライと壁はセットの罠だろう。

 どういうことかと言うと、まずはタライに当たって頭がフラフラしたので、壁に手をつける。

 すると突然壁が抜け、頭がフラフラしているのでそのまま何も対処できずに落下していく…と言った思惑だろうか。

 そんな事を思いつく奴を敵に回したくない…ってか、侵入した時点でまわしたも同然か。戦いたくねえな~…


「とにかく、うっかり余計なことはできないみたいだね。周囲に注意して、罠が来てもすぐに対処できるようにしないと。」


 ここまで見事な罠が考えられるんだ。何がくるのかは分からない。

 全てを疑い、全てを避ける。これをモットーにして進んでいこう。


「あ、太郎。足元にスイッチが…」


「へ?」


 カチッ


 ドン!ゴロゴロゴロ…


 …まさか…


「また岩かあああああああああああああ!!」


「太郎の馬鹿ああああああああああああ!!」


 言ったそばからこれだ。まさか考え事をして注意をおろそかにすることも計算して…!


「策士、恐るべし…!」


「なんか言ってる余裕があるなら逃げようよ!」


 余裕があるわけあるか。そう言ってる間にも、こちとら必死に走ってるんだよ。






 太郎達と別れた私達。

 通路をひたすら進んでいると、ドアがある通路に当たった。

 ドアには少しだけガラスの窓のような透明な部分があり、少しだけ扉の向こうの様子が見えるようになっている。


「ドア多すぎだろ!?」


 ルーが今叫んだとおり、ドアの量はとても多い。


「じゃあ、一人一つの部屋を調べましょう。そっちの方が効率がいいわ。」


 多少の危険も否めないけど、それくらいは仕方が無い。

 早く皆でここから出て、早く帰りたい。

 皆はそれぞれ部屋を調べ始めて、私も手近なドアを開ける。


「ここは…寝室?」


 私が調べた部屋には、二段ベッドが二つあった。

 掛け布団が乱雑に敷かれていて、汚い。掃除もあまりしていないらしい。


「さすがに、寝室には何も無いわよね…」


 そう思った私は、寝室を後にする。

 調べた部屋から出てきたのは私だけでなく、すでにフォルフ、移図離、リセス、ルー、タム、津瑠の六人は通路で待機していた。


「何かあった?」


『何も無かった。』


「…私も。」


「私もです。」


「同じく。」


「僕も同じだ。」


「私も…」


 手がかりは無かったらしい。

 残ったルド、トーナ、光の三人はどうだろう?


 ドンドンドン!


 突然ドアを叩く音が聞こえたので、音の発信源に向かう。

 そのドアのガラスのような部分には、光の顔が映っていた。


「こっちから開けられない!そっちから開かない!?」


 急いでドアを開けようとしたものの、ドアは鍵が掛けられているように開かない。

 ガチャガチャという音を立てるばかりだ。


 ドン!ドン!


「おい!どうなってんだ!?開かねえぞ!?」


「こっちも!」


 ルドもトーナも、光と同じでドアが開かないらしい。


「仕方ない、ドアから離れてて!今からこのドアを」

 ドン!ゴロゴロゴロ…


「「「「「「『!?』」」」」」」


 先程聞いた覚えがある音がしたので、音がした方向を見てみる。

 すると、そこには通路を転がってくる岩があった。


「こんな時に…!」


「皆!私達のことはいいから早く逃げて!!」


「でも!」


「このままじゃ皆潰される!俺達に構わず逃げるんだ!!」


『おい!もう岩がすぐそこまで…!!』


「……皆、走って!」


 私は岩から逃げるために走った。

 部屋に閉じ込められた三人を置いて…

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