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第三百七十八話 まさかの分断?なんか聞こえた!?

一話目。

 バタン!


「……は?」


 何故か光が持ってきていたトランプをグループごとに分けてババ抜きで勝ち抜き戦をしながら俊太とフラルを待っていると、俊太達が落ちていった落とし穴が閉じた。


「しまった!閉まった!!」


 審議拒否。


「はああああああああああああああああああああああああああ!!!???」


 落とし穴が閉じた場所から、俊太の絶叫が聞こえてきた。

 もしやと思って落とし穴が閉まった場所を何度も踏みつけるが、再び開く様子はない。


「…これ、分断された?」


「最悪閉じ込められてるかも…」


 不穏な会話を聞きつつ、歯噛みをする。

 落とし穴が閉じる事も考慮に入れておくべきだった。


「なら、この床を壊せば良いんじゃない?」


「駄目だ。その真下に二人がいたら危ないだろ。」


 壊した床の破片が当たって二人が怪我をするかもしれない。

 開いた床は結構な厚さがあったため、破片の大きさによっては重傷を負うかもしない。


「地下につながってる別の通路を探しましょ。」


「そうだな。」


 もしかすると地下への道を探している内に守が見つかるかもしれない。

 そう思った俺は、ギーナの提案に乗って先に進んだ。







「どうすんだよこれ!閉じ込められてんじゃねえか!」


「それはワタシの台詞ウサ!どうするウサ!!」


 落とし穴が閉まった後、俺達は口論を始めていた。


「とにかく、早くこっから出て皆と合流するぞ!」


「言われなくてもそうするウサ!とりあえず鉄格子を壊すウサ!!」


 その時だった。


「う゛~…」


「「!?」」


 こもったような呻き声が聞こえたのは。


「…驚かさないで欲しいウサ、俊太。」


「いや、俺じゃないぞ…フラルじゃないのか?」


「ワタシにあんな声が出せると思ウサ!?」


「まあ…確かにあんな幽霊みたいな声は出せないか。」


「本当に幽霊だったら洒落にならないウサ!」


「いや、ウチにもいるだろ。」


「あ、確かに。

 でも、令音は無害だから良いウサ!もしもこっちに害を与えてくる幽霊だったら」

「う゛~…」


「「また聞こえた!!」」


「早くここから出るぞ!」


「分かってるウサ!」


「う゛~、う゛~…」


「ヒィー!ワタシが何をしたウサ!?もしかして俊太!?」


「俺もなんもしてねえよ!なんかしたのはお前だろ!」


「とにかく速やかに出て行くから許して欲しいウサ!ワタシ達は何もしないウサ!!」


「う゛~!う゛~!!」


「おい、怒ってんぞ!なにか気に障ることでも言ったんじゃないか!?」


「今のどこが気に障るんだウサ!」


「分かるかそんなこと!しかし現にだな」

 モゾモゾ…


「「ヒィ!?」」


 突然近くから物音が聞こえてきて二人同時に声をあげる。

 この物音の発信源が俺でもフラルでもない事は確かだ。


「ええいどうとでもなれ!」


 俺は物音と呻き声の正体を見るべく部屋全体を魔法で照らし、あたりを見回す。

 こうなったらやけだ。


「ちょ、俊太!何をしてるウサ!」


「見てわかんねーのか!さっきの呻き声と物音の正体を…!」


 ミノムシがあった。

 こんな事を言えばお前は突然何を言ってるんだと訊かれざるをえない事を思ったわけだが、そうとしか言いようが無い。

 ミノムシ、と言ってもそれは数センチとかの大きさではない。人間ほどの大きさだ。


「これは…ミノムシ?」


「う゛~…」


「これが呻き声の正体か!」


 そう言って近くで大きなミノムシを良く見ると、縄の塊である事が分かった。


「ミノムシじゃなくて、縄だったみたいウサ。でも、この下には何があるウサ?」


 俺はフラルと顔を見合わせ、二人してにやりと笑う。


「う゛?」


「さて…縄を解くぞ!」


「おうウサ!」


 俺達は縄との格闘を始めた。






 縄との格闘は苦戦を強いられた。

 結ばれている場所を探しても見当たらず、時には縄を引きちぎろうとした。

 それでも縄はちぎれず、解けず、既に格闘を始めて一時間が経とうとしていた。


「無理じゃねえかこれは?」


「全くもってその通りウサ。もう諦めてさっさと鉄格子を壊すウサ。」


「う゛~!う゛~!!」


 縄の塊が諦めたらそこで試合終了といわんばかりに必死に唸っているが、一時間経っても解けない上に解かなくて良い縄を解こうとする必要は無い。


「それに、もしかすると何かの罠かもしれないウサ。」


 落とし穴があるくらいだ。この縄の塊も何かの罠である危険性は捨てきれない。

 がむしゃらに頑張って得た結果が罠とか言ったら本当に萎える。


「そうだな。じゃあ、さっさと出てくか。」


「う゛う゛う゛う゛う゛う゛!う゛う゛う゛う゛う゛!!」


 声がこもっているのも手伝い、何を言ってるかさっぱり分からない。

 俺達は縄の塊の事をすっぱり諦め、鉄格子に向き合った。

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