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第三百七十七話 いくらなんでも非情?どっちもどっち!?

二話目。

 

「よっしゃー!一番乗りだーあああああああああああああ!?」


 前を走っていた俊太が突然消えた。

 俊太が消えた場所を見ると、その下には遠目から見ても分かるほど大きな穴が開いていた。落とし穴か。


「なんでそんなに下手な罠に引っかかるの?本当に下手な人ね~。

 いや、一周回って逆に斬新?でもやっぱり…」


 追いついてきたタカミがなかなかに辛辣な事を言う。もう止めてやれ。


「そんなことより早く助けてくれ!落ちる!!」


 落ちたと思われた俊太だが、近くに来てよく見ると落とし穴から指が出ていた。俊太がつかまっているらしい。


「あらら、まだ落ちてなかったみたいね。じゃあ落として後でネタに」

「「お前はどっちの味方だよ!?」」


 いくらなんでも非情すぎるタカミにツッコむ。必死につかまっている俊太とハモッた。


「それはさすがに冗談として…一回落ちてみる?落ちた先に守がいるかもしれないし。」


「どっちでも良いからとりあえず助けてくれ…マジで落ちる…!」


 タカミは助ける気配が無いので、俺が助けに行く。

 しかし、落ちた先に守がいる可能性が無いとは言いきれないので、一回落ちてみるのもいいかもしれない。

 問題はここまで戻ってくる手段だが…まあ、どこかに上まで通じる道くらいあるだろう。


「す、すまん太郎。危うく落ちるところだった。」


 俊太が落ちた穴を見てみる。

 そこが暗くて見えないか…転落死の可能性もあるから落ちるのは止めた方が良いか。守がいる場所に行けても死体では意味が無い。

 …待てよ。俊太の能力で落ちる速度を遅くすれば、無事に穴の底まで辿り着けるかもしれないな。

 もっとも、そこに守がいるとは限らないが。


「……守の気配は下ね。地下室かしら?」


 下か。なら、一回俊太を落としてみるか。


「俊太、能力を使ってゆっくり落ちてくれ。」


「はあ!?せっかく上がってきたのにか!?」


「守がそこにいるかもしれないだろ?

 あと、戻ってこれるように飛べる奴も一緒に俊太と落ちてほしいな。」


 飛べるやつと言うと、フラルとタカミの二人だ。

 ギーナもひょっとしたら飛べるかもしれないが…今回は省いておこう。見てきている間に敵でも来たらまずい事になる。


「なら私が!」


「お前は信用ならん!」


「なんで!?」


「さっき見殺しにしようとしたのは誰だよ!!

 フラル!頼んだ!!」


「了解ウサ。」


 見殺しは言いすぎだとしても、落ちそうな俊太を面白がって見ていたタカミが信用できないのはしかたない。

 しかし、フラルもな…結構薄情じゃなかったか?

 ……どっちもどっちだな。空飛べるやつって、皆性格に難があるのか?


「いってらっしゃい。」


「俺達はここで待ってるぞ。」


 落とし穴の調査は二人に任せ、俺達は待機しておく事にした。

 下手に動いてバラバラになることは避けなければならないからな。戦えない奴とはぐれるのはまずいし。







「結構長かったな。」


「おかげで退屈だったウサ。」


 俺の能力でゆっくり落ちること数分。ようやく落とし穴の底に着いた。


「お前は暇だっただろうが、俺は能力の制御で忙しかったぞ?」


「知らないウサ。」


 知らないはねえだろ。

 しっかし、着いたはいいが真っ暗で何も見えねえな。

 魔法を使ってその辺を照らす。


「何も無いな。」


「あ、そこに鉄格子みたいなものがあるウサ。」


 鉄格子?なんか嫌な予感が…


 バタン!


「「あ。」」


 落とし穴が閉じられた。これってもしや閉じ込められたか?

 …やばくねえ?


「ちょっと上の方を見てくるウサ。」


「分かった。」


 だが、こっちには空を飛べるフラルがいる。

 よし、これで脱出できれば…


「俊太~!出られないっぽいウサ~!」


「……へ?出られ…なんだって?」


 戻ってきたフラルがなんか言った。


「だから、出られないんだって。」


「…………はああああああああああああああああああああああああああ!!!???」


 狭い牢獄に俺の叫び声が響いた。

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