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第三百七十六話 高まる焦り?運が良かった!?

一話目。

話を考えていたら詰み、布団に潜ったら寝てました。

ノリに身を任せた結果がこれだよ!

何度計画性の大切さを知っても懲りないのか私は…

 ギーナの話によると、守の気配はそう遠くない場所にあるらしい。

 ギーナの気配察知は俺達の中でもトップクラスの精度を誇るので、信用できる話だ。


「…あの塔の中ね。」


 塔?そんなのこの辺りにあったか?

 そう思いながらギーナが指を指した方向を見ると、そこには三階建ての一軒家ほどの塔があった。

 この森の木々がやたら大きかったため、それに紛れて気付かなかったらしい。


「色々と怪しい…わざわざ木の大きさに合わせたように造られてるとか。」


「遠目から見ても、この塔も木の一つに見えますからね。それを狙ったかのような形ですし。」


 タカミとリセスが言ったように、まるでこの塔は森に隠れるような仕様になっている。

 カラーリングも木のそれだし、怪しさしかない。


「乗り込む?守はこの中みたいだけど。」


「もちろんだ…と言いたいところだが、入り口はどこだ?」


 見たところ、入り口は存在しないように見える。無いわけが無いのは分かるが、どうやって入るというのか。

 あまりのんびりとしていられない状況なだけに、ますます焦りが高まる。


「…塔の周りを一周してきたけど、無かった。」


 塔の横から出てきた移図離が言う。いつの間に探してたんだ!?


「ってことは、まずは入り口を探すことから始めるのか…くそっ!」


 時間が無いかもしれないというのに…とにかく早く入り口を見つけなければ。

 そう思った俺達は、塔の入り口を探し始めた。






 目が覚めた。

 でも、目が開けられない。目隠しをされてるみたいだ。

 目隠しを取ろうにも手も足も動かせない。恐らく拘束されている。

 そんな状況でも冷静でいられるのは、以前にもこんな事があったからだろう。

 寝ている間に縛られて小さな小屋に閉じ込められた事があった。軽く脱出できたけど。

 あの時と同じ方法で縄を抜ければ………あれ?縄が解けない。

 なんで?まさか能力が使えない?一体どうすれば…

 そうだ、守に相談してみよう。


(起きてる?守?)


『……』


 返事が無い、気絶してる。

 となると、自分で考えないといけないらしい。

 拘束しているのは目隠し、縄、手錠、足枷、猿轡。そこまでするかというほど厳重。

 縄を抜けても、手錠や足枷を取れなければいけない。

 力尽くで縄を引きちぎる事はできても、手錠までとなると難しい。

 そもそも縄を引きちぎる事ができない。強化系の魔法を使えれば簡単なんだけど、魔法も使えないらしい。

 何か他に手は……忍術はどうだろう。

 さっき習得した分身の術を使えば、分身(守)が縄を解いてくれるかもしれない。

 …守は気絶してたんだった。なら意味が無いか。

 忍術で縄抜けの術とかあればいいのに…


『………気付いてるか?』


(あれ!?気絶してたんじゃないの!?)


『返事が無いからと言って気絶してる事にするなよ…まあ、十秒くらい前まで気絶してたが。』


(やっぱり気絶してたじゃん!)


『聞こえてたのか…それより、気付いてるか?近くに皆の気配があるんだが…』


 気付かなかった。この状況のせいで少なからず動揺はしていたらしい。本当に冷静だったら気付いてただろうし。


『動けないんだかなんなんだか知らないが、皆が来るまで待つのも手じゃないか?どうせ何も出来ないんだろ?』


 それもそうだ。

 身動きが取れない今の状況からして、皆の助けが来るのを待つしかない。

 私はひたすら待つことを決めた。







「…見つからない。」


 あれから四十年…ではなく数分。

 いくら塔の周りを回っても入り口は全く見つからず、途方に暮れかけていた。


「実は塔の近くに地下通路でもあるのかと思ったが、探しても無かったぜ…」


 俊太はそんなところまで探してたのか…

 しかし、塔の入り口が塔の一階にあるとは限らないな。その発想は無かった。


「守は無事なのか?それとも…くそっ!!」


 ガン!バコッ!!


「うお!?」


 俊太が塔の壁を殴ると、殴った場所が扉のように両開きで開いた。

 偶然隠された入り口を殴ったのか…運良いな。


「………い、一番乗りだ!」


「お前…子供か。」


 俊太の子供っぽさに呆れながらも、先に走って行った俊太を追いかける。

 あと、余談だがムキになってるかと思ってキャビを見ると俺達同様呆れていた。俊太はキャビ以上に子供だったらしい。

 この塔には何があるのか。守は無事なのか。

 そんな思いを抱えつつ、俺達は塔の中を走った。

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