第三十九話 研究と幸せ?衝撃の事実発覚!?
「お願いじゃ。妻の研究を止めて、孫達を救ってくれ…」
俺はこの爺さんが何を言ってるのか、よく分からなかった。皆も同じような顔をしている。
「どういうこと?その研究を止めることと、孫を救うことに、何の関係があるの?」
ギーナが尋ねる。爺さんは話し始めた。
「妻は、わし達の子供とその妻を、事故とはいえ、殺してしまった連中が許せていないのじゃ。
わしも完璧に許せている訳ではないが…連中は深く反省し、同じことが起きぬよう、神経質になりすぎではないかと思ってしまうくらいに気をつけている。
だから、わしはもう連中を責める気はない。
…そのことは置いておいて、妻は異世界に行く研究が終わったら、連中に報復しに行くつもりなんじゃ。息子達と同じ目にあわせてやる…とな。
そして、それが終わったら、異世界に逃亡するらしい。」
「なんでわざわざ異世界に?別に異世界に逃げる必要は…」
俺は訊いてみた。
「妻は元々ファンタジー小説が好きだったからのう。報復はこの世界への置き土産…といったところじゃろう。」
んなついでみたいなノリで報復すんなよ。
「で?まだ孫とやらを救うことにはつながってないが?」
「おお、そうじゃった。ここで問題なのはその”報復する相手”なのじゃ。その報復する相手というのが…」
爺さんは少し間を置き、言った。
「孫を預けた親戚、なんじゃよ。」
「「「「「「「『!?』」」」」」」」
「…」
約一名を除き、全員が驚いた。
「なんで両親を事故とはいえ殺した相手に!?」
「孫を引き取って欲しいと親戚を集めて頼んだとき、話を聞いて真っ先に頼んできたのが連中だったんじゃ。
もちろん、反対はした。だが、せめてそのくらいはしないと、あの子の両親に顔向けできない、と何度も何度も言ってきたんじゃ。
結局根負けした。連中の熱意には勝てんかったわい。」
「大丈夫だったの?それ。」
火太郎が訊く。
「ああ、この前町に出て世間話を聞いたら、大丈夫だということだったぞ。」
「…まさか、幽霊のまま出たのか?」
フラル、マジで誰だか判んなくなるからその口調そろそろ止めてくれ…
「ああ、もちろんじゃ。」
「おい!なにやってんだよ!そういえばこの前この町に幽霊が出たとかって聞いたが、お前のことじゃないよな!」
「かもしれんな、スマンスマン。」
「オイィーーーーーーー!!!」
その噂は一ヶ月前くらいに流れたやつだ。本当になにやってんだこいつ!
「ああ…孫に一目逢わんと、成仏できんだろうな…今頃なにやっているのか…」
「爺さん。」
「ん?なんじゃ?」
ここまで沈黙を保っていた太郎が突然しゃべった。
「その孫とやらの名前、言ってみろよ。」
なんだ?太郎の雰囲気がいつもと違う…なにやら怒っている様な、悲しんでいるような…
「?ああ、わかった。わしの孫の名は…」
「佐藤太郎じゃ。」
その時、俺達はとてつもない衝撃を受けた。爺さんと太郎を除いて…
これを思いついたとき、作者は衝撃を受けた。
孫って、太郎だったのか…!?
と。




