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第三百六十六話 慣性の恐ろしさ?アイデンティティーの危機!?

一話目。

明日以降、勉強のためまたしばらく投稿できないかもしれません。

もしそうなってもご了承ください。

 

「あれ?デュアとルソードは?」


 ひとしきり笑った後、二人が居ない事に気付く。


『…よくもまああんなに飛ばしてくれたものだな。』


『それで自覚無しってぇ~のはちぃ~とばかしひどいぜぇ…』


 森の中から二人が出てきた。

 なんでそうなってたんだ?


『あのな、分かってないようだから言うが、お前があんなスピードで動いてる時に突然我らを放したせいで吹っ飛んだんだぞ!』


『慣性の恐ろしさが身にしみたぜぇ~…』


「…なるほど。悪かった。」


『全く…しかし、お前のそれは後々大きな弱点になるかもしれないぞ?』


「え?俺の弱点?」


『ああ。守、貴様は人を殺したくないから我らを放して攻撃を斬るから殴るに変更したのだろう?」


 …ばれてたか。

 俺は幾つもの魔物を屠ってきたが、人間を殺した事は無い。

 なので元の世界の影響もあり、人間を殺すことに忌避感があるのだ。

 大男は人外染みた動きをしたものの、姿形は人間。斬ることをためらってしまった。

 いつまでもそれでは、いつか人間と戦うことになってしまった時には大きなマイナスとして働いてしまうだろう。

 無論、そんなことは起きないのがベストだが。


『今回はなんとかできたが、次にはなんとかしておけよ。』


「…善処はする。ただ、今回みたく殺す必要が無い限り、俺は生かす方法を取る。例え、それが敵でもな。」


『それがいつまでも続くと良いがなぁ~…』


 二人の忠告を肝に銘じ、俺は先に進もうとした…が、どこに進めば良いのか分からないので立ち止まった。


「……なにしてんの?」


「進むの、どっちだっけ?」


 おい、皆してそんなに呆れるなよ。ヘコむじゃないか。






 しばらく歩くと、皆はどことなく眠そうな様子になっていた。

 昼間に休んだとはいえ、眠ってはいなかったのだ。無理も無い。


「私が障壁を出してみる。」


「え?ギーナ?」


 俺が障壁を出そうとしたところ、ギーナが言った。


「この前、入れ替わった時に、守は私の体で障壁を使ってたでしょ?

 だからちょっと試してみようと思って。見てて。」


 確かにそんなこともあったな。

 と思った直後、俺たちの目の前に障壁ハウスが出現した。


「……俺のアイデンティティーが…」


 その瞬間、俺のアイデンティティーは木っ端微塵に粉砕された。

 俺のアイデンティティーは犠牲になったのだ…ギーナの能力チートの犠牲にな。


「大丈夫。その気になれば移図離以外の能力を全部再現できるから。」


「「「「「ヤメロ。」」」」」


 能力持ちがツッコむ。

 まあ、そういうことなら何も言わないでおくか。


「でも、今回は入れ替わりの経験があったおかげね。

 守の体で障壁を出す事ができたからイメージがしやすかったわ。」


 なるほどな。


「い、入れ替わり?

 そんなことまであったの!?」


 津瑠が驚く。そう言えば、入れ替わりの話はしたことが無かったな。する必要も無かったから。


「入れ替わりって言えば…結局、どうやって元に戻ったんだ?」


 …俊太には言えない。言ったら悪巧みに使われる。

 今の俊太の顔はものすごく悪い。悪戯を企んでいる子供よりも数段上の邪念がある顔だ。


「べ、別にどうでも良いだろそんなこと!

 さ、それより早く寝るぞ!俺はもう眠いからな!お休み!!」


 俺は俊太から逃げるように障壁ハウスに入り、布団に入って目を閉じた。






 翌朝。俺たちが起きた頃には、太陽は大分昇っていた。

 どうやら眠りすぎてしまったらしい。

 俺たちは遅く起きた分を取り戻すように歩き、予想していたよりも早く町に着く事が出来た。


「ようこそお嬢ちゃん達。タウ町にようこそ。」


 …着いて早々ナンパかよ。でもなきゃ2メートル先の看板を見れば分かるようなことを言うわけが無いだろう。


「俺は男」

「守、今女だけど?」


 ……今の今まですっかり忘れてた。

 まだ男に戻ってねえよ…記憶が無い間ずっとこの姿で過ごして来たから全く違和感無くて馴染んでたぞ…なんでギーナが障壁を出した時に能力関連で気付けなかったんだ…

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