第三十八話 日記の全容?何でお前が!?
テーマを変えてから数年の日記が読まれている。
研究は順調に進んでいたらしい。しかし、彼の妻は研究が完成に近づくにつれ、家族に対して冷たくなっていったようだ。そして…
十二月二日
ロボットの開発を始めて、数年。ようやく妻の研究が実を結んだ。
そのことに、俺も孫も、妻も大喜びだ。やっと苦労が報われた…と、ここまでの苦労はもう書いてるのか。
危うく苦労話で今日の日記を埋め尽くすところだった。
最近冷たくなったと思ったが、やっぱり喜んでいる妻を見ると、こちらも嬉しくなってくる。
明日、妻は自分の脳をスキャン、コピーするらしい。結果が楽しみだ!
十二月三日
妻が、死んだ。脳のスキャンとコピーが済んだ後、妻は突然倒れ、そのまま病院で亡くなってしまった。
死因は脳の過剰な負荷。脳のスキャンが原因だろうと思う。どうしてこんなことに…
いや、まだ私には孫がいる。これからは妻の死を乗り越え、孫のために生きてゆかなければなるまい。
孫のために、がんばろう。
そこから何日かを飛ばす。今回の件には関係が無いかららしい。
一月十五日
俺はがんになっていたことが発覚した。しかも末期だ。もう長くはないらしい。生きてる間に思い出を作っておけと言われ、自宅に帰らされる。
これは今日孫に聞いた事だが、妻がつくったロボットは、研究室にこもり、一人研究をしていたことが、ようやくわかった。
しかし、研究室に入ったとたん追い出された。俺達を頼りにしてもいいだろうに。
とりあえず孫のことだな。親戚に預けるなりなんなりしておかないと。あいつの両親が事故で死ななければこんなことで悩むことは無かったのに…
ここから一ヶ月。彼の闘病生活がつづられていた。
二月十日
苦しい…俺はもう駄目のようだ。孫は親戚の家に預けたし、思い残すことは無い。
ただ、せめて最期は孫に来て欲しかった…自分の死ぬところなんて見せたくは無いが、最期に一目見ておきたかった…
俺は一人寂しく逝く事に
日記はここで途絶えていた。
「「「「「「「「『…』」」」」」」」」
誰も喋らなかった。静寂がその場を包む。
そんな地下室に、
『わしの日記を読んだのか…ほっほっほ。』
という声が響く。
「え?日記…?だってこの日記の持ち主は…」
『確かに、わしは死んだ。だが、世の中には幽霊というものがあるじゃろう。孫に会いたいと思いながら死んだら、こうなっていたのじゃ。』
「幽霊…」
「嘘…」
「幽霊怖い…」
「幽霊!?本当にいたのか!」
「…幽霊…!」
光、ギーナ、守の反応とフラル、移図離の反応は対照的…というのだろうか?
前者は怖がり、後者は興味津々と言わんばかりに目を輝かせている。その他は…
「「『…』」」
黙り込んでいる。俺?別に何とも思わんが。
「んで、あんたは何でここに来たんだ?」
とりあえず目的を訊くか。
『おお、そうじゃった。お前らには…わしの妻を止めて欲しいんじゃ。』
「はあ?」
俺は思わず聞き返してしまった。




