表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
376/630

第三百五十九話 それだけでも上出来?夢の中での邂逅!?

一話目。

ただでさえテスト勉強があるというのに、レポートも書かなければならないとか…マジ鬼畜。

だが今日は全く手をつけてない。

モ、モチベーションは大事ですから…(震え声)

「なんでだよ!?なんでいきなりそんな事を言うんだよ!!」


 僕達よりも早く立ち直った俊太は、守につかみかかるような勢いで叫ぶ。


「恐くなったんです。記憶を取り戻すのが。

 あの新聞を見て、以前の自分の事を知って…

 記憶を取り戻したら、またあの私に戻るでしょう。そうなるのが恐いんです。」


 今の守はとんでもない勘違いをしていて、以前の自分が最低な奴だと思い込んでしまっている。

 だからこんなことを言い出した。少し考えれば分かる事だ。誰だって悪い変化はしたくないからね。


「あのな、お前はとんでもない誤解を」

「ストップ。今はまだその時じゃないわ。」


 危うく話してはならない内容まで話そうとしていた俊太を、光が止める。


「熱くなりすぎ。少し頭を冷やしてよ。」


「でもな!」


「…俊太、守を信じられないの?」


「何?」


「俊太は守を信じられないのかって言ってるの。

 この問題は私達じゃなくて、守自身が解決しないといけない問題でしょ。余計な手出しなんてしたら、それこそもっとまずい問題になりかねない。

 だから、私達は守を信じて祈るしかないの。分かった?」


「………あ、ああ…」


「…俊太のこの反応は分かってない反応。」


「な!?ちゃんと分かったぞ!?とにかく、俺達は何もせずに信じてれば良いんだろ!?」


 …外面を理解できただけ上出来、と言ったところかな。どうせ理由までは理解し切れてないだろうけど。


「まあ、記憶云々は全部守に任せるよ。誰でもない、守自身の問題だから。」


「は、はい…なんかやたらあっさりしてますね。」


「火太郎が言ったじゃない。他でもない、守自身の問題だって。」


「はあ…」


 守は釈然としない様子だったけど、帰り道の分岐点に来たからそのまま別れることになった。

 これから解決に向かっていくのか、それとも…

 僕は前者を祈りながら、帰路を歩いていった。






 私は今、光る道を歩いている。

 周りは道と私以外真っ暗だけど、夜道を歩いている訳じゃない。

 ここは夢の中。帰ってきて部屋のベッドに横たわると、すぐに眠りに落ちてしまったらしい。

 恐らく、今日知った真実がよほどショックだったみたいだ。自分でも分からなかったけど。

 しかし…この道はどこまで続くんだろう。

 夢を見始めてからずっと歩き続けているものの、未だゴールは見えない。

 ゴールの無い道を歩く…そんな夢なのかな?

 そう思った直後に、道の少し先に人が居るのに気付いた。

 後姿なので誰かは分からないけど、どうせ無視は出来ない。

 道は人一人が通れる程度の幅しかないから、先に進むならどいてもらうしかない。

 後戻りは出来ない。何故なら、道は私が通るとすぐに消えてしまうから。

 現に後ろを振り向いてみると、そこに光る道は無い。ただ真っ暗な空間が広がるだけ。他には何も無い。

 また、光る道を避けて通ることも出来ない。真っ暗な空間に少しでも足をつければ…その瞬間に私は落ちていく。夢ならではのご都合主義で分かる。

 だから、あの人に話しかけるしかないんだ。そうしなければ通れない。私の中にはそんな確信があった。


「あの、すいません…!?」


 声を掛ける。

 そして振り返った人を見て、私は絶句した。何故ならその人の正体は…


「よう、やっとここまで来たか。」


 私だったからだ。

 口調こそ違うものの私に近い雰囲気があり、なおかつ顔かたちがそっくりだった。

 一瞬リセスさんかと思ったけど、彼女はもっと上品な雰囲気で、その佇まいにはカリスマが見受けられる。しかし、目の前に居る彼女にはそれが全く無い。


「まったく…どんだけ待たせんだよ。俺の癖に。」


「のろまで悪かったですね。

 …まさか、貴女が記憶を無くす前の私ですか?」


「……自分相手に敬語かよ…」


「別に良いじゃないですか!!話が通じない訳でもないんですし!!」


「まあ、それはさておきだ。

 お前の質問にはこう答えられる。


 ”そうだ”ってな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ