第三百五十三話 再びリセット?どうせごまかされる!?
二話目。
これからとある鬼畜なゲームをしようと思います。
俺、今日中にクリアできたら三話目を書くんだ…
「……こ、こういう時はもう一回叩けば…」
「バカヤロー!んなことさせられるか!!」
「で、でもよ、もう記憶は無いし、試してみる価値は」
「ねえよ!」
向こうでなにやら喧嘩している。
私、置いてけぼりなんだけど…
「あの二人のことは気にしなくてもいいよ。」
「はあ…」
殴り合いになってるけど、この人たちにとっては日常茶飯事なのかな?
「あ!ちょっと!殴り合う元気は魔物と戦うときまでとっておきなさい!!」
…二人の心配はしないんだ。
「あの二人のことより、まずは貴女の名前から教えるよ。
それと、私たちが何をしていて、どんな関係なのかも。」
「ちょっと待った!津瑠、その説明なら私も混ざるわ!捏造防止のためにね!!」
二人の説明が始まった。
…一瞬津瑠って呼ばれた人が見せた表情が恐かった。
私は記憶喪失で、名前は高壁守。そして、それぞれの目的を持った友達と旅をしている。
…よし、うまくまとめられた。長々と説明してくれた二人には悪いけど、かな~り簡潔に。
それと、皆の名前も聞いた。20人以上というと覚えられるかどうかが心配だったものの、失った記憶のサポートがあってか難なく覚えられた。
あと、失った記憶に関しては自分で取り戻せと言われた。
なんでも、他人からの目を通すと、色々と誤差が出てくる可能性があるとか。ぼんやりしている頭ではなかなか理解が難しい。
「しかし本当にあるんだな。記憶喪失なんてよ。」
「その言葉は今更過ぎるぞ。」
「しかも、それを起こした本人が言うのもねぇ…」
…それを起こした?
「あ!バッ…ハハハ、な、なんでもないからな。気にしないでくれ。」
……今の反応からして、俊太さんが記憶喪失になんらかの要因で関係しているのは事実だと言う事は分かった。
私は冷ややかな目で俊太さんを見ながら考える。
記憶を無くす前の自分は、この人達にどう思われていたんだろう。
私はこの人達をどう見ていたんだろう。
「おい守!早く来いよ!!」
私はいつの間にか歩き出していた皆に気付き、慌てて追いかけた。
「そう言えば、守は学校どうするんだ?」
「学校?」
森を歩いていると、太郎さんがそんな事を言う。
私は学校に通っていたらしい…って、それかなりまずいじゃん。そんな事どころか大事だった。
「そうね…また”高壁ルーマ”なんて名乗らせる訳にも行かないし。」
「高壁ルーマ?」
「あ、気にしなくていいぞ。こっちの話だ。
それより、どうするんだ?」
「…学校に記憶喪失って説明すれば良いんじゃないですか?」
「……それは諸事情により駄目だ。」
諸事情って何!?
…とは言わないでおく。ごまかされて終わりなのは分かってるから。
「なら、前みたく転校生って事にして、名前を瑠間にすれば良いんじゃない?」
「それなら良いかもな。ルーマみたく前と被らないし、外人っぽさは無いしな。」
「じゃあ決定!学校に行く時は校長先生に断ってね!」
…そんな簡単にいくものなのかという不安はあったものの、他に良い案がある訳でも無いのでそうすることにした…直後に思いついた。
「仮病で休みにすれば良いのでは?授業の内容なんて覚えてませんし。」
「「「「「……」」」」」
この案が可決されたのは言うまでもない。
「何なのこの森は!!」
タカミさんの声が森に響く。
あれから夕方になるまで歩いていたものの、まだ森を抜けていない。
確かに長い。というか、迷ったんじゃないの?
「一応言っておきますが、迷ってないですよ?」
そんな私の思考を読まれたかのようにリセスさんが言う。
地図を持っているのはリセスさんだ。以前痛い目にあったということで、方向もしっかりと確認している。
そこまでこの森は長いらしい。
「なあ、まだまだ抜けられそうに無いか?」
「そうですね。このペースで歩いてもどこまで町に近づけるか…」
「なら早く守の家に戻ろう。早めに戻っても悪い事は無いしな。
それに、守の家族にも言わなきゃならないことがあるしな…」
…記憶喪失の事だ。
顔も名前も思い出せないけど、私の家族は私の記憶がなくなったと聞いてどんな顔をするだろう…
「そうね。守、ポケットのナイフを出して。」
「ナイフ?」
ポケットにそんなものが…
私はポケットを探り、両ポケットに石のようなものがあることを確認する。
その石に触れた瞬間、私の体が光り始めた。




