第三十七話 怖すぎて駄目だ?太郎は誤解を受けられた!?
途中でデータがとんだせいで遅れた…
何故だ!
太郎は日記を読み終えたようだ。
「どんなかんじだったんだ?」
「ああ、ここがヤバイ場所だってことは分かったよ。ベタなホラゲー並みにはな…」
ホラゲー並み?怖い。体の震えが止まらない…
「おい!どうしたんだ!守!?」
おかしい。普段の俺ならこんなことじゃ震えるほど恐怖を感じることはないはずだ。なのになんでこんなにも怖いんだ?
「ここが地下室か…守!?どうしたんだ!?」
俊太達が来る。皆来たようだ。
「まさかあんたが守を!」
「ちが…くないけど違う!」
「どっちだよ!」
ギーナとフラルが太郎を疑う。こいつはこんなことをするやつじゃない。少なくとも、わざとじゃないのだろう。
まあ、あいつらは太郎に会ってなかったからな。普通こうなるか。
「俺はわざとこんなことをしたんじゃない!あと、皆よくも俺を忘れやがったな!?」
「ああ、スマン。」
「軽いよ!」
「え?コイツ、お前らの知り合いなのか?」
「ああ、佐藤太郎。僕達の友達だ。」
火太郎が太郎を紹介する。
「で、なにがあったか、話を訊こうじゃないか。」
「オッケー。」
太郎はここまでの経緯を話しだした。
「ごめんなさい!」
「俺も悪かった。」
太郎の話が終わると、ギーナとフラルが謝る。
「それはいいさ。ところで、フラル…だったかな?男?女?」
そう思うのも無理はない。男口調のフラルは中性的な顔のせいで、性別が区別できない。
…マジでどっちなんだ?
「失礼な!俺は女だ!」
違和感が凄い台詞だ。まあ、思っても言わないが。
「す、すまん。」
太郎、お前は悪くない。
「そ、そうだ!太郎、日記を見つけたとか言ってたな!それを読んでくれないか?皆で回し読みすると、かなり時間がかかるしな!」
露骨に話題をそらす。
「あ、ああ!わかった!読むぞ!」
太郎は日記を読み始めた。
七月六日
妻にすすめられ、日記を書くことになった。
面倒くさがり屋のあいつのことだ。どうせ人には書かせておいて、自分は書いていないんだろう。
そもそも日記を書くことになったのは妻がなにかの研究を始めたからだ。ますます自分で書けよ…
まあ、俺も孫も、その実験の手伝いをすることになるだろう。俺も妻も、もう老い先は短いだろうがな。
研究のテーマは、異世界に行くこと、だそうだ。なんでこんなオカルトに俺も付き合わねばならんのだ…
そこからしばらくは、何て事のない、ただの日記だった。
研究のことはたびたびあったものの、めぼしいものはなかった。しかし…
十一月二十四日
妻が研究のテーマを変えた。どうやら長期戦を見越しての事らしい。
テーマは、自分の人格を、ロボットに移せるか、というものだった。
聞いた所によると、思考パターン、癖、その他もろもろを、脳をスキャンし、コピーすることによって、自分の人格を移すとか。
大層なテーマだが、できるとは思えない。まあ、数少ない妻の生きがいだ。俺も出来る限り手伝おう。




