第三百三十一話 新聞部の相談とは?マジですげえ!?
一話目。
遅れた理由は…まだ言えません。そのときになったら言います。
ただ一つ言うとするなら…作者はサボってたわけじゃない!本当だ!信じてくれ!!
「尾行?」
「そう、尾行。」
新聞部員の相談、というのは、イケメンでモテモテの二年生に他校生の彼女ができ、今日は二人でテーマパークへ行くという。
そのデートに尾行し、噂が本当かどうかを確かめてきて欲しいらしい。
「だが、ギーナが許可してくれるかどうか」
「全然オーケー!」
「うわあ!?」
「なに!?」
「えぇ!?」
「本人!?」
「……」
突然ギーナが現れ、三者三様の驚き方を見せる俺たち。
「なんでこんなところに居るんだ?」
「バイト先に行ってみたら、今日は休みだから良いって。守の父上が休みの日はシフトを無くすように言ってたみたい。」
なるほど。異世界の旅があるからか。
「とにかく、この相談は受けてくれるみたいね。」
「もちろん!守も良いわよね!?」
「…ああ、良いぞ。」
有無を言わせぬ勢いだったので、断っても力尽くで従わせられる事は確実だ。
そのため、俺は仕方なく了承するしかなかった。
「さて、着いた訳だが…早すぎたな。」
了承の返事を出した後、ギーナはものすごい勢いで俺を家まで引っ張っていき、各々準備をしてテーマパークへと歩いた。
ギーナが早すぎたのか、誰もついてきていない。マジで二人っきりだ。どうしてこうなった。
テーマパークは俺の家から割と近かったので、あまりにも早く着いてしまった。尾行する二人はまだ来ていないだろう。
だって集合は十一時って新聞部員が言ってたし。今九時だし。
「早く行きましょ!」
ギーナはというと目を輝かせていて、今にも入り口へと駆け出しそうだった。そのせいで、今の俺たちの雰囲気はデートのものとも尾行のものとも違っていた。変に緊張しないと言う点ではありがたいがな。
「まあそう焦るな。まずはチケットを買うぞ。」
今のギーナは餌をお預けにされた犬の気分が良く分かるだろうなーと考えながらギーナを諌める。
今回の尾行のためのチケット代は新聞部の方から支給されている。
一日中乗り物に乗り放題のフリーパスが二枚買えるくらい貰った。気前がいい。
もしフリーパスでなければ、フリーパスを買ったほうが安かったと言うくらい色々なアトラクションに乗りそうだったので、俺としてはありがたい。
だが、チケット売り場は混んでいて、なかなか進まない。
「長い~。」
「全くだな。」
ギーナの愚痴をテキトーに流しつつ、俺たちはひたすら待ち続けた。
チケットを買えたのは、それから十分ほど経ってからだった。
どうやらその時間すらギーナにはとてつもなく長かったらしく、買ったときの喜びようと言ったら近くにいる俺が恥ずかしくなってしまうくらいだった。
「守!あの大きいわっかのところに行こう!!」
入り口の職員から地図つきのパンフレットを貰ったギーナが指差したのは観覧車だった。
「いきなりそれですか。」
「良いじゃない!目に留まったんだから!」
「まあ、別にいいんだがな…尾行のことも忘れるなよ?」
「分かってる。じゃあ、早速行きましょう!」
絶対にその内忘れるな。
俺はそれを確信しながら、いざという時にはしゃいでいるギーナを尾行にリードできるかどうかを不安に思っていた。
時は過ぎ、そろそろ十一時に指しかかろうとしている頃。
「次はあっち!」
ギーナは約二時間アトラクションを回ってもなお強欲な好奇心のままに従って指を指している。
「なあ、そろそろ尾行」
「何言ってんの!せっかく来たんだから楽しまなきゃ損でしょ!!」
駄目だこりゃ。完全にお楽しみモードに入っている。
「だが、もうそろそろ十一時だぞ?」
「…私がそれを考えていないと思っていたの?あっちを見なさい。」
ギーナに言われてその方向を見ると、テーマパークの入り口があった。
「このパンフレットを見ながら一周して入り口に戻ってこれるように誘導されてたのに気付かなかったの?」
ギーナの奴、そこまで考えて…
まったく、本当にスゲー奴だよ。
「さて!じゃあ、あっちのアトラクションに乗りましょ!」
と言って、ギーナはさっき指差したアトラクションに向かう。
俺にはその背中が頼もしいものに思えた。




