第三百二十四話 経験が悪い方に活きた?及第点とは手厳しい!?
一話目。
昨日の活動報告の答え合わせは後書きで。
「やっと帰ってきた!この二日間暇だったよ!?」
母さんへの説明が終わるとほぼ同時に令音がやってきた。
そう言えば家に置いてけぼりだったな。色々ありすぎて忘れてた。
「ああ、悪かったな。でもすり抜けるんじゃ仕方ないだろ?」
「…ギーナの様子がおかしいの。」
「気のせいよ、気のせい。」
またギーナと入れ替わっている事を忘れていた。もうこの体に馴染み始めてしまっているらしい。
性転換の経験が悪い方向に活きてしまったせいだろうな。これまでのボロも同じ理由だろう。
「とりあえず、この二日間の話をするからそれで許して。」
「ミャ~。」
「あ!猫なの!かわいい…すり抜けたの…」
レイを見た令音が近づいて撫でようとしたが、当然すり抜ける。
それを知ってかしらずか、レイは逃げようともしなかった。それどころか目を瞑って毛繕いまでしている。
「あ、そう言えばちょっと前に守のお母さんがすり抜けるはずの守にチョップしてたの。あれはどうやったの?」
言われてみれば…この前令音と一緒に自分の体から放り出された時に、母さんのチョップで正気を取り戻したことがあったな。
今考えてみれば、普通にチョップなんてすればすり抜けて終わりなはず…なのに、なんで当たったんだ?
「ああ、あの時は魔法を使ってね。物理的に触れられるようにしたんだ。」
「令音も地面に足が着くのは魔法が関係してるみたい…だぞ?」
へえ~、そうなのか。魔法って何でもありなんだな。
「じゃあ、魔法が使えれば物に触れることが出来るの!?」
「そうね。まあ、それは一時間で使えるようになるから守に教えてもらって。」
「え?あ、ああ。復習も兼ねて教えてやるよ。後で来い。」
「分かったの。」
話はまとまった。
これで令音が物に触れることが出来るかもしれない。
そうなれば、令音を異世界に連れて行くこともできるようになるだろう。習得は割りと簡単だったしな。
次の日になった。
今日は平日。俺は本来学校に行かなければならないのだが…入れ替わっているためにそれは叶わない。
あの後帰ってきた父さんにも、入れ替わりの事は隠している。つまり…
「つまり、ギーナの目的は学校に行く事か。」
わざわざ見学しに行く辺り、本当に学校に行きたかったのだろう。
そんな時に入れ替わりが起きた。これを利用しない手は無いと思ったギーナはこの事を母さんや令音、そして父さんに隠して学校へ行こうとしたのだと思われる。
「当たり。もっと早く気付くかなと思ったけど、自分で気付けたから及第点ね。」
「及第点とは手厳しいな。」
これで及第点かよ…本当に厳しい。
「でもな、そういう事は言ってくれよ。言ってくれれば了承したのに。」
「なんとなく試したくなったのよ。」
なんとなくかよ。
「まあ、とにかく学校を楽しんで来い。俺はギーナのフリして学校見学してるからさ。」
「ありがとう。じゃあ行ってくる。」
ギーナは玄関のドアに手を掛ける。
あ、一つ言い忘れた。
「ちょっと待った!」
「なに?」
「学校でその喋り方は止めてくれよ!」
「そう言う守こそ、私の喋り方に合わせてね!」
ふう~、これでよし。
さて、俺も喋り方には気をつけないとな。
俺は後ろで待機していた皆と一緒に、ギーナについていった。
今、学校では授業中だ。
俺は一年三組の窓に張り付いている。理由は…
「ねえ、いつまでそうしてるの?」
「授業が終わるまでだ。」
ギーナの様子が気になるからだ。
ボロを出していないかどうかが気になりすぎて仕方無い。
もしとっさにギーナの喋り方がちらりとでも出てみろ。そしたら…元に戻ってもなおいじられる。確実に。
だからこうしてじ~っとみている訳だが…どうもクラスメイトの視線がギーナに集中している気がする。
何度かギーナからちらっと見てくることがあるのだが、何故かジト目だ。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…
お、授業が終わった。
と同時にギーナがものすごい勢いで俺のところに向かってきた。
そして教室のドアを勢い良く開け放つ。
「さっきっから私を見すぎでしょ!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ど、どうしたの!?」
ついに…ついにボロを出しやがったああああああああ!!
…い、いや、誰も聞いてないよな…
「守、その喋り方は何だ?」
「割と似合ってたな…どこからか殺気が!?」
思いっきり聞かれてたじゃねえか!
どうすんだマジで!マジでどうすんだ!?だんすうどでジマ!?段数度出島って何だ!?
正解は筋肉痛でした~…首から下は全身筋肉痛で、特に足が酷い。
しかも疲れのせいか、頭がぼんやりして宿題のレポートに書くことがまとまらないと言うおまけつき。最悪です。(泣)




