第三百二十一話 名前は妙なものばかり?さっきの空気はどこ行った!?
一話目。
課研復活…だと…
これじゃあ執筆がし辛くなって投稿が遅れるじゃないか!畜生!!
…というわけで、これからまた作者の自由時間が無くなり、執筆が遅れます。あしからず。
「……暇だな。」
「…そうだね。」
仕方が無いとは言え、何も無い森でただ待っていると言うのは詰まらな過ぎる。
「あれ?お前らまだこの森に…って、二人しか居ないが、他のやつらは?」
森の中からさっきの狩人が来た。
「ああ、ちょっとした事情でここで待って…って、何だその犬!?」
狩人の後ろから、ナマズのような髭が顔にあり、腹の横にはヒレらしきものがある奇妙な犬が居た。
「ああ、コイツは俺のパートナーで、トフィッグという魔物だ。出会うまでどれほど歩いた事か…」
トフィッグ…毎回思うのだが、魔物の名前は珍妙なものばかりだ。名前を付けた奴のネーミングセンスの底が知れる。
と思っていたら、突然トフィックの髭が光った。
…は?髭が光った!?
「トフィッグはちょっとした予知能力があってな。危険が起きる場所が匂いで分かるんだ。そして危険の匂いを嗅ぎ取ると、顔の髭が光るんだ。」
「ということは、すぐにどこかで危険が起きるってことだよね?」
「「あ。」」
キャビの指摘でようやく気付いた。狩人も気が付いていなかったのか、俺と声がそろった。確かに今コイツの髭が光ってるってことはそうなるよな。
「もしかすると誰かが魔物に襲われているのかもしれない!案内してくれ!」
トフィッグは鳴きもせずに走り、魔物使いとなった狩人がそれを追っていく。
「ねえ、あの方向って…」
「さっきの村だな。間違いなく。」
危険の匂いがどこから出ているのかは分からないが、トフィッグが走る方向は完全に村があった場所だ。
嫌な予感がした俺は、騒動が起きる事を顧みずにトフィッグと魔物使いの後を追った。
ドン!
「ぐうっ…」
路地裏に入ると、案の定団員が犯人に襲われていた。
団員は壁によりかかり、辛そうだ。
「あんなへっぽこな尾行に俺が気付かないとでも思ったか?バレバレなんだよ!」
犯人が拳を振りかぶり、団員に一撃を加えようとしている。
そんな状況で大人しくしていられる俺じゃない。
「待て!!」
俺が叫ぶと犯人はぴたっと拳を止め、こちらを見てくる。
「…なんだ?」
「なんだも何もあるか!人の友達に濡れ衣を着せようとした挙句に、知り合いに暴力を振るわれて黙ってられるかよ!!」
俺は完全に頭に血が昇っていた。理由は今叫んだ通りだ。
「フン、さっきの奴とコイツの知り合いか。だったらなんだ?俺を倒して捕まえるとでも言うのか?」
「そんな程度じゃ生ぬるいが、それで勘弁してやるよ。覚悟でもしてやがれ!!」
俺は走って犯人に向かっていく。
魔法を使うまでも無い。俺は異世界に初めて来た日から数日特訓していたんだ。
それだけでも戦える。
「……遅いな。」
「な!?ぐっ!!」
気付いた時にはすぐ横に奴がいた。
拳をなんとか避けたものの、かなり危なかった。奴を完全に見くびっていたようだ。
「ほう…今のをあのタイミングで避けるか。」
「散々鍛えられたからな…その程度、造作も無いさ。」
余裕ぶってるつもりだが、内心はかなりヒヤヒヤしていた。ポーカーフェイスはちゃんと維持できているのだろうか。
「なるほど。お前を少し見くびってたみたいだな…少し本気を出すか。」
「消えた!?」
奴が言い終えるころには、既に奴の姿は無かった。
「こっちだ!」
「なにっ!?ぐっ…」
奴は後ろから突然現れて攻撃してきた。
俺はその攻撃を避けられず、背中に一撃貰ってしまった。
「さっきの言葉、そっくりそのまま返すぜ。覚悟でもしてやがれ!!」
…俺も本気だ。魔法を使って身体強化を施し、次の攻撃に備える。
「覚悟なんて必要ないな。俺もここからが本気だ!!」
「口だけは威勢が良いな。なら行く」
ドーーーーーーーーーーン!!
「!?」
…何が起きた?
今起きた事をそのまま言葉にすると…なにやら喋っていた奴の上から、突然黒い直方体が落ちてきた。
言葉にしても意味不明だ。自分でも思う。マジで何が起きたんだ?
「やった!出来た!」
後ろから声が聞こえてきたので振り向くと、そこには守…の姿をしたギーナが居た。
「太郎~!大丈夫~!?」
光がその後ろからやって来る。
「…あれ?消せない…」
守の姿でもギーナの喋り方はなかなか様になってる気がする…はっ!?殺気が…
ではない。状況は飲み込めた。恐らく、ギーナが能力の練習がてら犯人に障壁を落としたのだろう。
まったく…さっきまでの戦いが始まるみたいな空気はどこに飛ばしたんだよ。せっかく盛り上がってきたところだったってのに。
…結構なサイズだが、犯人潰れてるよなコレ?大丈夫なのか?




