第三百二十話 事件の真相?間に合ってくれ!?
一話目。
昨日はゲームで頑張りすぎてぐったりしてました。
似たようなことは既に3,4回はありましたが、なんでゲームでここまで疲れるのか…
命でも燃やしてるんでしょうかね?
「お~い!そこの君達~!」
皆と話し合って、これからあの村を避けて通って別の村へ行こうという方針が決まった直後に、森の奥から誰かの声が聞こえてきた。
辺りに俺たち以外の人間は居ない。もしかしなくても俺たちが呼びかけられたのだろう。
「君達、この辺でレイガーを担いだ人を見なかったか?」
走ってきたその男は息を切らしながら訊いてきた。
そんな奴なんて見たら忘れるに忘れられないだろうが、少なくとも俺には見覚えが無い。
目配せをしてみると、誰も見ていないことが分かった。
「誰も見てないらしい。」
「そうか…時間を取って悪かったな。」
「…ん?そこのレイガーは無視?」
今もまだキャビが肩にレイを乗せているのに、レイガーを捜していると言っているこの男はそれを見ていないかのように無視していることがおかしいと思った俺は思い切って訊いてみた。
「え?
…ああ、俺達が捜しているのは成獣のレイガーだからね。そんなに小さくないさ。」
「俺”達”?」
「ああ、俺達はレッドサーカス団っていう少し名の知れたサーカス団でね。
次の公演場所に移動してる途中にレイガーを誰かに攫われてしまって…」
…さっき村で聞いた話に似ている。
「…その話、聞かせてもらっていいか?」
「早く捜したいから、その後にでも」
「実は、その話で俺たちが疑われているんだ。ここから少しのところにある村でな。」
「なんだって?サーカス団員は全員この森の中だけを捜しているはずで、この事を知っているのはサーカス団のみ。情報はどこにも漏らしていないはず…
まさか!そいつがレイガーを攫った犯人!?」
「なに!?」
なんてことだ…アイツは俺たちに濡れ衣を着せるために、または捜査をかく乱する為にあんなことを…!
しかし、それは裏目に出た。何故なら、犯人の情報を俺たちに与えたようなものだからだ。顔もしっかり覚えている。
もっとも、俺たちがそのサーカス団の団員に会うことは想定外だっただろうがな。
「今すぐにでも団員皆に知らせないと!」
団員は森の中に走っていき、見えなくなった。
「これで一件落着…って、なればいいけどね。」
「まったくだ。心配だし、着いていくかな。お前らはここに残ってて良いぞ?」
「それは俺達の台詞だ。少なくとも、守とキャビは行かない方が良い。」
「なんで!?」
「さっきの騒動の中心だったからな。お前らがさっきの村に行くだけで騒ぎになりかねない。
混乱が起きてもっとめんどくさい事になるかもしれないだろ?」
返す言葉も無い。
俺とキャビ、そしてキャビの肩に乗ったままのレイは大人しく森に残り、団員が走っていった方向に向かう皆を見ることしか出来なかった。
サーカスの団員を名乗る男を追いかけて合流し、捜査に協力する旨を言った。
レイに関する誤解を解く絶好のチャンスだ。これを逃す手は無い。と考えているのは俺だけではなかったことは走っている最中に確認している。
サーカス団の方も人員が増えて悪いことは無いと言い、快く承諾してくれた。
そして今、俺達は先程の村に戻り、犯人と思われるあの男の行方を追っていた。
「なかなか手がかりがつかめないもんだな。」
「そうね。この村の人達は皆守やキャビが注目を集めてたから、最初に騒ぎ立てた男の事なんて覚えてないみたいな感じだったわね。」
犯人と思われる男は、そこまで計算してあの騒ぎを起こしていたのだろうか。
恐らくそうなのだろう。でなければ、わざわざ自分が犯人とばれるかもしれないというリスクが大きすぎて行動に移せなかっただろうからな。
「ここからは皆一人一人バラバラになって捜した方がいいんじゃねえか?」
「確かにそれは効率が上がるけど、一人での行動には大きな危険が伴うからね…特に非戦闘要員のトーナとタムが危ない。」
「なんか足引っ張ってるみたいでゴメンな。」
「いや、戦闘が出来ても一人じゃ危ないから、そんな事は無いよ。」
皆の話を聞きとめながらも周囲を警戒していると、ある光景が視界の隅に広がっている事に気付いた。
この村で会った犯人らしき男が路地裏に入り、その後ろを森の中で会った団員がついていくそんな光景だった。
その光景を見た俺は、思わず走りだす。
「太郎!?突然走ってどうしたんだ!?」
ルーの声が後ろから聞こえてくるが、今はそれどころではない。
あの犯人らしき男、こっそり後ろの様子を窺いながら路地裏に入っていった。
つまり犯人は団員がつけていることを知っていて、わざと気付いていないフリをして路地裏におびき寄せたのだ。
このままではあの団員が危ない。
俺は団員の無事を祈りながら、必死に走っていった。




