第三百十四話 そんなものなのか?ここで一句!?
わずかな時間を見つけて一話目。
明日もまた執筆できるといいな…と願う作者であった。
「実は、さっきからこの森を拠点にすると言って木を切り倒している者がいてね…
森の住人である獣や魔物が追い出そうとしているのだが…状況は芳しくない。だから、それなりの実力者に助太刀を頼もうと思ったのだ。
…引き受けてくれる?」
「私の体で上目遣いとかしないで!」
光(偽)が上目遣いでこちらを見ながら頼んできた。姿を借りられている光(本物)はたまったもんじゃない。
「…同性にそれをするのか?」
「それもそうだな。」
「誰が同性だ誰が…あ、今はそうか。」
一応、今の俺の姿はギーナだ。よって、今の俺は女となる。
それなのになんで上目遣いが効くと思ったのだろうか…
光も光だ。昔から散々俺や太郎にふざけて上目遣いとかしてきたくせに、なにを今更恥ずかしがるんだ。
「自分がふざけてするのと、他人がふざけてするのでは大違いよ。」
思考を読まれたようで、俺の口にも出していない疑問に正確に答えてくれた。そんなものなのか。
「とにかく、困ってるのは分かった。助けよう。」
「本当か!?」
「ちょっと守!そんなに安請負しちゃって良いの!?それで前にいろいろあったじゃない!!」
「……だ、大丈夫だ。仮に罠でも、その罠ごとブッ飛ばせばいいんだ。」
タカミに言われてとある悲劇が頭をよぎったが、なんとか正気を持ちこたえる。
「…考え方が脳筋ね。」
「だが事実だ。」
「そうかもしれないけど…」
「それで、助けてくれるのか?」
「ああ。」
「ありがたい。こっちだ。」
光(数多姿族)は俺たちに背を向けて歩きだす。俺たちもそれについていった。
「オラオラオラ!その程度か!?」
「よくその程度で俺達に歯向かおうだなんて思ったな!ハハハハハ!」
「まったくだぜ!ハハハ!」
数多姿族の案内で来た場所には、見覚えがある三人組がいた。
そう。ルソードを狙い、さっきの村を襲った三人だ。魔物や獣が向かっていっているが、全く歯が立たないようだ。
魔物や獣に気を取られ、まだこちらには気付いていない。
仕掛けるなら今だ。
「さて、さっきは結局何も出来なかったし、こらしめるとす」
「覚悟ー!!」
「おい!!」
せっかく意気込んでいたところだったのに、タカミがハリセンを持って突撃していった。
「ん?なんだオメエ?」
「なんか妙な格好してるな…」
「構うな構うな!立ちふさがる奴ぁ皆ブッ飛ばす!それが俺達だ!!」
三人には怯えた様子は無い。そりゃそうだ、タカミはパッと見ただの…ただの…天使?だからな。
もっとも、だからと言って甘く見ると…
スパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ……
「ぎゃああ!?ちょ、止め…」
「おた…すけ…」
「止め…ろ…」
ハリセン地獄に遭うけどな。
「君らが!死ぬまで!叩くのを!止めない!!」
そのハリセンいくら叩いても死なない奴じゃないですか~。
つまり永遠に叩き続けるって事じゃないですか~やだ~。
あ、何か一句出来た。
「ここで一句。
終わり無き~ハリセン地獄に、ご用心~。」
「字余り、内容、その他もろもろで七点…」
「低すぎだろ!?」
「…減点ね。」
「おお!じゃあ93点」
「十点満点中。」
ひ、光の奴…下げて上げてからまた下げやがった…器用なことしやがる…
「あんたが勝手に百点満点だと思い込んでただけよ。」
ダメ押しも完璧…だと…なんと恐ろしい…
パパパパパパパパパパパパパパパパパ…
「「「……」」」
既に三人は気絶している。だが、タカミは叩くのを止めない。マジで永遠に叩く気だろうか。
「…はっ、寝てた。」
叩きながら寝てた!?
パパパパパパパパ…
「うるさいわね…って、私か。」
タカミはいまだに三人に攻撃している事に気付くと、攻撃をぴたりと止めた。
体が勝手に動いてたのか?なにそれ恐い。
「……で、あっさり解決したわけだが…俺たちはこれからどうすればいいんだ?」
「…………え!?あ、ああ。もう帰ってよろしいです…」
さっきまでボ~っとしていたらしい数多姿族は我に返ったらしく、時間が掛かったが返答を返してくれた。
特にこの場に留まる理由も無いので、俺たちはお言葉に甘えてさっさと退場する事にした。
しばらくして、
「…なんとあっさり…」
と、遠くから聞こえてきたが、気にしないでおこう。




