第三百三話 訊かれたくないことを?嘘はつくもんじゃない!?
一話目。
生活リズムがががが。
「守~!」
変化をつけてネクストモーニング。校門をくぐった所で友原に呼び止められた。
今日も学校を探索するのであろう、俺についてきた居候組も立ち止まり、聞き耳を立てている。
「なんだ?」
「ああ、昨日のことなんだけどさ…守は何者なんだ?あんな石持ってたり、僕を元に戻したり。」
ゲッ、訊かれたくない事を。
「高壁守、探偵さ。」
「どこの高校生探偵だ…で、本当のところは?」
「地獄からの使者!高壁守!」
「今度はどこの蜘蛛男なんだ…そろそろ本当のことを言ってくれても…」
「じゃあ魔法使いで。」
「…そろそろ怒るよ?」
魔法使いは本当のことなのに。
「…昨日のアレはお前が触れた石を使っただけだ。直接触れなければ効果は出ないからな。」
「ああ、なるほど…で?正体は?」
「……言わなきゃだめか?世の中には知らないほうが良い事もあるんだぞ?」
「気になって仕方ないんだ。言ってくれ。」
割と切実に言ってきた。ので、ちゃんとした答えを言う事にする。
「分かった。実はあの石は俺にもよく分からないんだ。なんか突然家に送られてきてな…」
ちゃんとした答えを言うとは思ったが、正直に答えるとは思っていない。
異世界の話なんてしてたら長すぎて日が暮れる。
「分からないのか……そう言えば、守はあの石で性転換した事があるのか?」
またしてもかっ!またしても訊かれたくないものを!
「……な、無かったぞ?」
「嘘おっしゃい!なってたでしょ!」
ゲッ!?ギーナがチクリやがった!なんでこんな時にしゃしゃり出てくるんだよ!!
「え?やっぱり?」
いや、落ち着け…俺とこいつらとの関係は友原には知られてないはずだ。
「な、何を言ってるんだ?俺たちは初対面じゃないか」
「嘘はいけないよ!」
「同じ家に住んでるのに、何をとぼけた事を…」
「え!?同じ家に住んでるの!?」
しまった、余計な情報まで言われた。
「……分かった。白状するさ。こいつらの事も含めてな。」
結局俺は異世界の事も白状することになってしまった。
嘘はつくもんじゃないな…トホホ…
「この石は異世界で手に入れたものなんだ。こいつらも異世界で出会ったんだ。色々とあってな。」
仕方無いのでざっくりと説明する。全ての出来事を話したらそれこそ日が暮れる。
「……信じがたいね。まさか異世界が本当にあるものだなんて…」
これが普通の反応だろうな。だが、この場合は普通とは違うことがある。
「でも、あの石のことを考えると本当なんだろうね…羽とかわっかとかある人もいるし。」
それは、既に現実では考えられない事象に遭っていることだ。
石に触ったら性別が変わったなんて、普通はありえないだろう。
あと、友原が言ったのってタカミじゃねーか。
「あ、ついでに言うと、こいつらは昨日お前の話を盗み聞きしてたぞ。」
「ちょ!?守何を言って…」
「なんだって!?」
さっきチクッた仕返しだぜ、ハッハッハ。
その後は友原が必死に居候組に口止めをしている様子を見つつ、俺は教室へと歩いていった。
さて、二日が過ぎてとうとう土曜日になった。
今日は異世界を探索する日だ。
「準備は出来たか?」
「おう!ばっちりだ!」
前もって俊太たち五人には言っていたため、既に俺の家まで来ている。
「じゃあオラにつかまりぃ。」
「誰の真似よ…」
「瞬間移動が出来る某宇宙人の真似。」
「はぁ…?」
なんだかんだ言いつつも皆が俺につかまったことを確認し、ナイフの鞘を使って異世界に転移した。
目指すはトーナの村と黄金人の村。どっちも名前が分からないが、いつ着くことやら…
追記 軽く改訂。
更に追記 作者は間違える限り何度でも改定します。




