第三話 もう走れない?誰か助けてくれ!?
※守が目を覚ましたのは夜です。書き忘れてしまい、申し訳ありませんでした!
ドン!ドン!
「いでっ!?」
「キャン!」
今のは花火の音ではない。俺達が木にぶつかった音だ。
ふらふらしながら木が群生している森を走れば大体こうなる。あれから狼共々何度も木にぶつかり、とうとう意識がもうろうとしてきた。どんな苦行だよ…
「もうだめだ…」
走り続けた疲れやら木にぶつかった痛みやらで、俺はとうとう走れなくなってしまった。
「クゥ~」
狼も座りこんでしまった。狼なだけに俺よりも速く、それなりの勢いでぶつかったため、俺と似たような感じらしい。
より一層親近感がわき、何だか可愛く見えてきた。
何度も頭をぶつけ、おかしくなってしまったのだろうか…
「狼、お前に食われるならそれは本望だ。今俺は動けない。食うなら食え。」
俺は本気でそう思っていた。
狼を見ると何処か悲しげな表情をしている様に見える。そんな訳ないのに…本当に頭がおかしくなってしまったらしい。
「じゃあ…な…」
俺は意識を手放した。満足感と共に…
「クゥ~…」
獲物を前にしたマルフのなきごえは、悲しげなものだった。本当にこの者を食わなければいけないのか。食わなくても良いのか。
マルフはそのことに対して悩んでいた。
しかし、そんな時間は与えられなかった。
「グルルル…」
マルフがある方向に対して威嚇する。
ガサッ
「ガアアアアア!!」
マルフの威嚇した方向から熊が出て来た。
マルフは守をかばうように身構える。
魔法が使える魔物は知能が高く、少なくとも人間並みであると言われている。知能が高い魔物は、時として人間を友として認め、力を貸す事もある。
「ガウ!」
マルフの魔法を使った攻撃は熊に当たり、それなりのダメージを与える。が、
「ガアアアアア!」
倒しきるには至らなかった。やはり先ほどのダメージのせいだろう。
「クゥ~…」
ここでマルフにも限界が訪れ、マルフも意識を失った…
俺は目が覚めた。しかし意識は朦朧としていた。
ぼんやりした頭でわかった事は目の前に危機が迫っている事だった。
脳裏に浮かんだのは大きく、頼もしく、何からでも守ってくれる”壁”だった。
壁が脳裏に浮かんだ直後、俺の目の前は真っ黒に塗りつぶされた。安心感と安らぎに満ちた、真っ黒な壁に…
「ここはどこ!?私は誰!?」
目が覚めたら見知らぬ部屋に居たので言ってみた。
一回言ってみたかったんだよな~っと何か忘れてないか確認だ。
俺は高校一年生の高壁守。同級生で幼馴染み(男)の佐藤太郎とゲームで遊び、家に帰って寝た…そして目が覚めたら!
見知らぬ森に居た!俺はそこで狼と遭遇し、必死に逃げる。
しかし、よく分からない友情を育むに終わり、結局逃げ切れず、食われる覚悟をし、そのまま気絶した…
…まあ、ここまで言えれば充分だろう。しかし、何故俺はここに…まさか死んでしまったのか?まだ川も渡ってないのに…
あれ?なんか隣にいるぞ…
「え!?何故あの狼が!?」
そう。隣にいたのはあの狼だった。
まさかここはこの狼の家で、このあと俺は食われてしまうのか…そう思うと逃げ出したくなる。
あの時は覚悟出来たのに、何か不思議だな…
ガチャ
おっと、誰か来たようだ。俺をここに運んだ人だろうか?
現れたのは俺と同じくらいの歳の美少女と言ってさしつかえのない、きれいな少女だった。
明日は休みなので投稿できると思います。
今日連投するかもしれませんが。