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第二百八十八話 違和感だらけ?不可解すぎる!?

一話目。

今回も遅れました。ごめんなさい。

 どうやら違和感を感じていたのは俺だけではなく、フォルフもだったらしい。違和感を感じている相手は違うが。


「お前もそう思ってたのか。実は俺も皆の様子がおかしいと思ってたんだ。」


『なに?お前以外は皆普段通りだぞ?まさか頭でも打ったのか?』


「まあ打ってはないが殴られはしたな。」


『……それが原因じゃないのか?』


「いや、例えそうでも明らかにおかしい。ルーがあんなに恥ずかしがって看病するなんて言う訳が無い。」


『……やはり成長して無かったのか…』


「さっきから何を言ってるんだ?成長とかなんとか…」


『いや、少し雰囲気が変わって女誑しが軽くでも直ったかと思ってな。』


 …女誑し?俺が?ハハッ、なにそれワロス。


「何を言ってるんだか…」


『お前がな。』


 ナンパをしたことが無いどころかしている奴がいたらブッ飛ばすような人間が、どう頑張っても女誑しと呼ばれることは無いだろう。


「まあ、疑問が晴れてすっきりし…きれてない部分もあるが、ある程度はすっきりしたぞ。ありがとな。」


『ああ。お前は一応怪我人なんだ。無理はするなよ。』


「分かってるさ。」


『……そう言って無茶をするのがお前だからわざわざ言ったんだがな。』


 そうだったか?そんな事……思い当たる節が無いことも無い。最初に異世界に来た時、怪我してるのに元の世界に帰る方法を探したりとか。

 もっとも、アレは未遂で終わったんだがな。

 しかし…この会話でも少し何かがずれていた気がする。どこがと言われても答えられない部分とかもあるが、一番ずれていると思ったのは女誑しのところだ。

 俺が頭を殴られたからそんな感じがするのか?それとも…

 と考えながら、トーナの家に戻っていった。

 …あ、部屋は女子まみれだった。戻れない。






 あの後、結局外で障壁ハウスを創り、そこで眠った。あんな部屋で眠れるか!俺は小屋を創って寝るぞ!!

 …と、思いながら眠ったのがいけなかったのだろうか。翌朝、俺の前には九人の人間と、一匹の魔物が居る。

 魔物は呆れたような顔で、人間は怒った顔で。デュアとルソードは部屋で置きっぱなしになっているようだ。


「なんであんな怪我してたのに外で寝てたの?」


「いや、女子だらけの空間でのん気にぐーすか眠れるわけないだろ。居辛いにも程がある。」


「アンタはそう言うところを全く気にしない奴のくせになんでこういう時だけ…」


 こういう時だけじゃないぞ?なんで俺がそんなキャラになってるんだ?

 やはり、今のこいつらの言動はおかしい。一体どうしてこうなったのだろうか。


「………なあ、お前らなんかおかしいぞ?集団で風邪でもひいたのか?」


「ひいてない!というか、私達じゃなくて守がひいてるんじゃないの?」


「……頭でも打ったんでしょうかね?」


「まあ殴られはしたが…」


「それだな。」


「それだと思う。」


「それ以外に考えられない。」


 ……なんでいつの間にか俺がおかしいみたいになってるんだ?

 もしかして、これが多勢に無勢という奴なのだろうか。ふむ、理不尽だ。


「守は大丈夫じゃないみたいね…ここはしっかり休んでもらう事にしましょう。」


「いや、大分収まったんだが…」


「本人は自覚無し、ね。仕方ないから、無理しないように私が監視しておくわ。皆は部屋の外で見張ってて。」


「あ!守と二人っきりになることが狙いでしょ!抜け駆けはさせないよ!」


「あっ!そうだったのか!」


「危うく騙されるところだった…でも、そうはいかない!」


 それを皮切りに、女同士の戦いのようなものが始まる。

 だが、俺はそんな戦いを止めることも出来ず、呆然としていた。

 …こいつらが俺と二人きりになることで争うようなことは無かったはずだ。なのに何故…

 その時、俺に一つの考えがよぎった。

 まさか…いや、でもそんな…


「見張りなら私がする!」


「いえ!ここは私が!」


 ……この争いを見るに、俺によぎった考えが間違いない事が分かった。

 こいつらは俺に恋愛感情を持っている。

 だがしかし、不可解な点が多すぎる。

 第一、今までそんな兆候は全く見られなかった。俺はあらゆる創作物の主人公のように鈍感ではない。なので、そんな兆候があれば気付いていたはずなのだ。今のように。

 俺が昨日居なくなってからそうなった、という線は薄いだろう。例え自覚していなかったとしても、その兆候は確実に出るはずだ。あくまでそれは持論でしかないが。

 一体何故なんだ?こいつらに何が起きたんだ?

 俺は目の前の争いを見ながら、ぼんやりとそのことだけを考えていた。

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