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第二百八十六話 倒れた守?子供の秘策!?

二話目。

ああ…ついに二千字を超えた…

最近は千四百字~二千字未満って決めてたのに…

 

「………」


「さあ、とりあえずその剣とやらを見せな。」


 俺はルソードを抜き、太った男に見せるように持つ。


「おお…これがあの…では、その剣を渡せ。さもないと…」


「ひっ!」


 子供は突きつけられた怯えきっている様子だ。

 ここで下手に逆らえばどうなるか…それは火を見るよりも明らかだ。一応、まだ子供に剣は触れていないようだが…

 俺は鞘にルソードを納め、男に差し出す。


「へっ、ありがとよ…グッ!?」


 俺は渡すフリをして、男のあごに鞘を強く当てる。


「お、おい!何やってんだ!子供の命がかかって」

「その剣をよく見てみな!」


「へ?…なっ!?何だこれは!?」


 俺は剣を渡すタイミングで後ろの男達の注目を集めている事を確認し、男達が持っている剣の刀身を障壁で包んだ。

 子供に突きつけられているものは、もう野球用のバットにしか見えない。

 羽交い絞めにしている男が驚いている隙に、俺はルソードの鞘で男のすねを叩き、悶絶している間に子供を取り返した。


「人質は居ない。もう諦めろ。」


「そううまくいくかな?」


「なに…ぐあ!?」


 俺は太っている男と悶絶している取り巻きの方に気が逸れていて、もう一人の取り巻きのことを忘れていた。

 背後から剣の鞘と思われる物で頭を殴られた。

 今更気付いたのだが、この三人は皆剣を持っている。

 この世界では多くの人が剣持ってるので、スルーしてしまったらしい。

 殴られた俺は、ルソードを放して倒れてしまう。それを太った男が拾う。


「ようやく手に入れたぞ…もうここには用は無い。行くぞ。」


「待てよ!」


 立ち去ろうとした三人を、子供が大声で呼び止める。だが、三人はそれを無視し、そのまま進んでいく。


「待てって…言ってるだろーーー!!」


 子供は太った男の足に突進し、完全に気が緩んでいた男はバランスを崩して倒れる。

 その男は倒れながらルソードを手放し、それを男より少し早く立ち上がった子供が掴む。


「ガッ…ガキの癖に生意気な…!」


「来るな!来たらこれを振り回すぞ!!」


 子供はルソードを抜き、切っ先を下に向けながら言う。やはり持ち上げられないのだろう。


「ハッ!お前はその剣を持ち上げられないんだろ!?その下に向いた切っ先が証拠だぜ!!」


 痩せ気味の男の一人が勝ち誇ったように言う。


「例え少ししか持ち上がらなくても…振り回す事は出来る!」


「おもしれえ…やってみろよぉ!」


 さっきから喋ってる方の取り巻きが、子供に向かって走る。油断しているのであろう。奴の腰にある剣は抜いていない。

 だが、剣を持ち上げる事すら適わない子供相手には充分だ。

 俺は頭の痛みが引いてきたので、割り込んで子供を助けるために立ち上がろうとする。

 だが、まだくらくらして思ったとおりに動けない。これでは間に合わない。

 しかし、子供はそんな状況をものともせずに、子供が体を回るようにひねり、それに合わせて剣を引く。何をするつもりなんだ?

 そしてそのまま回転し…剣を横薙ぎに振った。

 遠心力を使って剣を振ったのか…それで切れるとは思えないが、威嚇くらいにはなるか。


「なっ!?うわあっ!?」


 男はなんとか勢いを殺し、剣の射程範囲に突っ込むことを防いだ。


「どうだ!これでまだおれが剣を振れないって言うのか!?」


 子供は勝ち誇った顔をし…完全に油断している。

 そのせいで、後ろにいる太った男に気付いていない。子供は、なんとか剣を避けて驚いた顔をしている取り巻きに気を取られている。


「おい!後ろだ!」


 しかもあの男、剣を抜いて既に振りかぶっているのだ。

 子供は気付いたが、重い剣を持った上、完全に不意を突かれていては避ける事は出来ないだろう。

 …デュアを抜いて迎撃するより、こっちのほうが早い。

 と、思った俺は、子供の手からルソードを奪い、男の剣を迎撃し…そのまま剣を切った。

 切れた剣の先はそのまま真上に飛び、落ちてきて…俺の肩に刺さった。


「ぐっ!!」


「なにっ!?」


「あ…あぁ…」


 子供は怯えている。危うく命を落としていたという事実に。そしてこの剣に。


「さあ、死にたい奴からかかって来い!!」


 俺は剣が刺さった痛みを堪え、三人の男にほえる。


「ひ、ひいー!!」


「に、逃げろー!!」


「うわー!!」


 三者三様の叫び声を上げ、三人は村から出て行った。


「行ったか…うっ…」


 三人が出て行ったことを確認すると、安心したのか、肩の痛みが強くなった。


「どうしたんですか!?今の叫び声は…って!怪我してるじゃないですか!早く手当てをしないと!!」


 そう言えばここ、トーナの家の前だったな。完全に忘れてた。

 あ…そう言えば頭も打たれて…


 ドサッ


「守さん?守さん!?まも…」


 遠くなっていく意識の中、トーナの声だけが聞こえていた。

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